宿泊業界の面接では、職種ごとに求められるスキルが異なり、面接対策も異なります。今回はレストランサービスなどの料飲職種の面接対策を詳しく解説!実際に面接官として多くの応募者を見てきた人事担当者の意見を交えながら、内定獲得のために必要な準備や面接での回答例をわかりやすく紹介します!
人事担当者が料飲職種の面接で重視しているポイント
まずは、宿泊業界の企業で人事を担当者している方にアンケートを実施し回答いただいた、料飲職種の面接で重視しているポイントについて見ていきましょう。
下記項目の中から、料飲職種の面接において重視しているポイントを複数回答いただきました。
- アピアランス
- 清潔感
- 受け応え内容
- 受け応えのテンポ・リズム
- コミュニケーションスキル
- 自社への熱意を感じられるかどうか
- 過去のスキル・経験
- その他
最も重視しているという回答をいただいたのは「コミュニケーションスキル」で、すべての人事担当者が選択しています。
次いで、「受け応え内容」「清潔感」と続きました。
また、書類などで確認できる経験・スキルに不足を感じていても、会うことで採用したいと思ったことがありますか?という質問には、全員が「ある」と回答しており、料飲職種の採用においては、人柄など書類から伝わらないような内容が重視されていることが分かります。
人事担当に聞いた料飲職種の面接内容と回答のポイント
続いて、宿泊業界の企業で人事を担当している方に料飲職種の面接で聞く質問とその質問の意図についてアンケートを実施しました。
そこで出た質問と、その回答例を紹介します。
「転職で重視するポイントを3つ挙げるとすればなんですか?」
この質問を行う意図は、自社が応募者の転職条件にあてはまっているかどうかといった検討確度をはかるためとのこと。
このような質問があった際に注意したいのは、自分が回答した転職で重視しているポイントと、面接をしてもらっている企業に相違がないかという点です。
例えば、首都圏でしか展開していないホテルを志望して面接を受けている状態で、転職で重視しているポイントとして地方創生につながる仕事ができるかどうかという点を挙げた場合、あなたの希望する内容を叶えることができないと企業に感じられてしまい、選考を通過できないでしょう。
この質問に対する回答のポイント
- 応募先との相違がない内容であることを心がける
- 応募先の採用要件などについて、詳しく知っておく
実際に、
とのコメントをくださった人事の担当者もいらっしゃいました。
「価格帯、男女比、年齢層、ご利用趣旨、席数はご存じですか?」
自社のレストランの営業に関わる情報を知っているか確認するための質問がなされることがあるようです。
質問の意図は、サービス部分を極めてもらいたいのはもちろんですが、サービスだけでなく多角的に店舗について興味を持てているかを確認したいためとのこと。
料飲スタッフに求められるのは料理やドリンクの提供がメインではありますが、より満足していただけるサービスの提供には、料理の価格帯・利用客の客層・席数などの情報を知っておくことが必要でしょう。
この質問に対する回答のポイント
- 具体的な数値を出して伝える
回答例
回答例 1: 全体的に詳細な回答
はい、事前に調べさせていただきました。
価格帯は、ランチが約1,500円から3,000円程度、ディナーが4,000円から8,000円程度となっており、旬の食材や季節に応じたメニューが特徴です。
また、お客様の男女比は比較的均等で、年齢層は20代後半から50代前半の方々が多く、ご利用目的としては、ビジネスミーティングやカジュアルなデート、特別な日のディナーなどが一般的です。
席数はおおよそ50席ほどで、少人数のグループから大人数まで対応できるレイアウトになっています。
回答例 2: 実際の情報に基づきつつ、柔軟性を強調
はい、調査させていただきました。
価格帯が比較的リーズナブルで、ランチは1,000円から2,500円、ディナーは3,000円から7,000円くらいで提供されていると思います。
客層は、20代から40代のビジネスパーソンや観光客が多いと伺いましたが、特別な日にはシニア層や家族連れも見受けられると考えています。
席数は60席程度で、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと食事を楽しんでいただけるような配置になっています。
ただ、まだ実際にお店で働いたことがないので、細かな部分についてはお客様から直接学び、さらに深く理解していきたいと思っています。
回答例 3: 予測と興味を示す回答
事前にサイトやレビューを拝見し、概ねではありますが、確認させていただきました。
価格帯は、ランチが1,000円台から2,500円程度、ディナーは3,000円台から5,000円程度で、リーズナブルなメニューからプレミアムな料理まで幅広く提供されているようです。
お客様の男女比については、ビジネスパーソンが多いことからおそらく男性がやや多いと予想しますが、観光客層やカジュアルな食事を楽しむカップルも多くいらっしゃると思います。
年齢層は30代から50代が中心で、仕事帰りのディナーや、旅行先でのお食事の場として利用されることが多いのではないかと考えています。
席数はおおよそ40席ほどで、ゆったりとした配置で、落ち着いた雰囲気が感じられると予想しています。
「これまで、ゲスト対応で困ったことはありましたか?また、その際どのように対応しましたか?」
これまでの接客業務で経験した困ったことや、その際の対応についての回答を求められることがあるようです。
この質問の意図は、咄嗟の判断力やリカバリー力を知るためとのこと。
そのような経験をしたことがある方は、実際の対応内容について簡単に説明できるようにしておくとよいかもしれませんね。困った対応を受けたことがないという方は、対応経験がないということを伝えたうえで、対応をすることになったらどのようなことに気をつけようと思っているかが話せるとよいでしょう。
この質問に対する回答のポイント
- 具体的に説明する
- 問題解決を通じて学んだことや成長した点を述べる
回答例
回答例 1: クレーム対応の経験
はい、以前、ゲストから料理の温度についてクレームをいただいたことがあります。
料理が少し冷めていたため、すぐにスタッフを通じて対応し、再度温かい料理を提供する手配をしました。
また、お詫びとして、次回の利用時に割引券をお渡しすることを提案しました。
ゲストにはその後もお詫びの言葉を伝え、お帰りになる頃には「また来るよ」と言っていただけるまでになりました。
この経験から、どんなに小さな問題でも迅速かつ丁寧に対応することの重要性を再確認しました。
回答例 2: 誤注文対応の経験
以前、ゲストから注文内容に誤りがあったと指摘されたことがありました。
その際は、まずゲストにお詫びし、すぐに正しい料理を提供するよう手配しました。
ゲストの気持ちに寄り添いながら、注文ミスが発生した理由を丁寧に説明し、今後このようなことが起こらないよう確認体制を強化することを約束しました。
結果として、ゲストから感謝の言葉をいただき、リピーターとして再度ご利用いただけることとなりました。
この経験から、ミスがあった際には早急に対応することと、ゲストの信頼を取り戻すための誠実な対応が重要だと学びました。
回答例 3: 困ったことがなかった場合
これまで、特に大きなトラブルに直面することはありませんでした。
もちろん、日々の業務で小さな問題や予期しない出来事はありますが、これまでの経験で培った柔軟な対応力を活かし、冷静に対処してきました。
例えば、ゲストからの細かいリクエストに対しては、事前にしっかりと確認を取り、対応することで問題を未然に防ぐよう心掛けています。
困ったことがなかったことは、これまでの準備やチームワークがうまく機能してきたからだと思っていますが、もし問題が発生した際には、迅速に対処できるように柔軟に対応していきたいと考えています。
料飲職種の面接前に準備すべきこと
ここまでの人事担当者からの内容も踏まえ、料飲職種の面接を受ける際に準備した方がよいことについて把握しておきましょう。
応募先について詳しく調べておく
料飲職種に限らず転職活動におけるすべての面接で言えることですが、応募先について詳しく調べておくことは大切です。
面接は、企業が応募者とのマッチ度を確認する場です。
企業の方針や大切にしている考え方を把握しておき、それに合わせて回答できれば、おのずとマッチ度も上がるでしょう。
特に料飲職種において言えば、応募先で提供している料理・飲み物に関する知識やサービスのスタイルなどを調べておくことが重要かもしれません。
また、事前に詳しく調べたことが分かる回答ができれば、応募先への熱意も伝えられるでしょう。
これまでの経験を振り返って簡単にまとめておく
こちらも料飲職種に限ったことではありませんが、これまでの自分の経験やスキルを振り返り、簡単にまとめておくと安心して面接に対応できるでしょう。
先述したとおり、企業からの質問にはこれまでの経験やスキルを問うものが多くあります。
どのような経験があるか、どういったスキルがあるかを自分の中で整理して、他者にわかりやすく伝えられるようにしておくと、面接当日を焦ることなく迎えられるのではないでしょうか。
身支度を整える
宿泊業界の人事担当者へのアンケート回答にもあった通り、「清潔感」は料飲職種の面接において重要な要素です。
清潔感とは、「汚れのない、清潔な感じ。または人格が正しく誠実であるさまを意味する表現。」と辞書に記載されています。清潔感を構成する要素には以下のようなものがあるでしょう。
- 肌
- 臭い
- 体型
- 髪の毛
- 服装
- 持ち物
- 行動
肌をよく見せるための化粧品を使う、香水が強すぎないか確認する、髪の毛が伸びてぼさぼさなら切る、服についたシワを直す、カバンが壊れているので新調する、など、面接のその場ではどうしようもない要素もあるので、事前に確認できるとよさそうです。
料飲職種の面接で気をつけるべきポイント
最後に、実際の面接の場で気をつけたいポイントについてまとめます。
自分の人柄が伝わるコミュニケーションを心掛ける
先述した通り、料飲職種の面接においてはコミュニケーションスキルが重視されることが多いでしょう。しかし、企業側が見たいのは、取り繕ったものではなく、応募者の素の人柄が感じられる受け応えです。
自分の人柄が伝わるコミュニケーションを心掛けましょう。
質問に対して急いで回答しなくては、と焦ってしまうこともあるかもしれませんが、面接官の質問をしっかりと聞き、理解してから答えるようにしましょう。
焦って話すよりも、質問内容をしっかり考えてから回答する方が良い印象を与えられます。
エピソードは具体的に話す
回答の中で自分の経験やスキルをアピールするときは、なるべく具体的なエピソードを交えて話しましょう。
これまで経験したことや課題を乗り越えた経験を具体的な数値や状況と共に紹介することで、面接官に自分の能力を明確に伝えることができます。
例えば、ゲスト対応で困ったことがあったかどうかを問われた際、
はい、ゲスト対応で困ったことはあります。でも、そういうことは誰にでもあることなので、特に覚えていません。とにかくその場で対処しました。
と回答するのではなく、
過去に、外国のお客様がいらっしゃった際に、英語でのコミュニケーションに苦労した経験があります。その際には事前に基本的な英語を学んでいましたが、専門的な料理用語の理解が不足していました。そこで、すぐにキッチンスタッフから料理に関する説明をもらい、簡潔に翻訳するように努めました。また、次に備えて、主要な料理用語やアレルギー情報を英語でリスト化することで、今後の対応をスムーズに行えるようにしました。この経験から、迅速な情報収集とコミュニケーションの工夫が重要であることを学びました。
と回答した方が、スキルを正しく伝えられるでしょう。
今すぐ準備を始めて、自信を持って面接へ挑みましょう!
宿泊業界の料飲職種は、お客様のステイをより特別なものにする、やりがいに満ちた仕事です。
面接では、あなたの経験やスキル、そしてサービスへの情熱をしっかり伝えることがカギとなります。
本ページのアドバイスを活用し、面接官に熱意が伝わるよう準備を進めましょう。あなたの思いが面接官に届き、よい結果につながることを願っています!