カスハラとクレームの違いがわかる!顧客とのトラブルを未然に防ぐための完全ガイド

お客様からのカスハラやクレームは、接客業に従事している方にとって避けたい問題の1つでしょう。また、クレームとカスハラの境界線が曖昧であることから、対応に悩む方も多いのではないでしょうか?この記事では、カスハラとクレームの本質的な違いやクレームの見極め方を解説します。また、カスハラとクレームの具体的な事例とともに、適切な対応方法を詳しく紹介しますので、対応の心構えを知るための参考にしてください。

カスハラとクレームの違い

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接客業に従事している方を悩ませるものに「カスハラ」「クレーム」があります。

対応したくないと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、どちらも意図せず発生するものであることから、避けようにも避けられないことがあります。

ただし、カスハラとクレームには明確な違いがあります。違いが分かることで、どのように向き合うべきかや適切な対応方法が理解できるはずです。

また、クレームには正当なクレームと不当なクレームがあります。その違いについても理解を深めるとよいでしょう。

カスハラとクレームの違い、正当なクレームと不当なクレームの違い、カスハラと不当なクレームの違いについて見ていきましょう。

カスハラとは?

カスハラとは、カスタマーハラスメントを略した言葉です。顧客などが事業者に対して不当又は過剰な要求をすることや、著しい不利益を与える行為を指します。

中には、要求が伴わない一方的な行為である場合もあります。

 

カスハラといわれる行為は、以下のようなものです。

  • 暴言や脅迫
  • 身体的な攻撃
  • 商品を投げつける
  • 従業員を殴る・蹴る
  • 名誉毀損
  • インターネットで従業員の悪口を書き込む
  • 店頭に誹謗中傷のビラを貼る
  • 業務妨害
  • 無理な値引きを要求する
  • クレーム対応に長時間拘束する

これらの行為には、犯罪行為と判断されるものが多く含まれています。

そのため、顧客からのカスハラに対しては、接客対応ではなく法的措置を含めた毅然とした対応が必要になる場合があります。

また、心身に大きなストレスを抱えたり、業務のパフォーマンスが低下したりするなど、カスハラを受けた従業員にはさまざまな影響が及ぶことがあります。場合によっては、休職や離職を余儀なくされることもあるため、カスハラがあった場合の従業員に対するケアも重要です。

クレームとは?

一方クレームとは、顧客が商品やサービスの品質、価格、安全性などに不満を感じ、事業者に対して改善を求めることを指します。

基本的には、お客様の正当な権利に基づいているもので、事業者にとっては商品やサービスなどの改善の機会になる場合もあります。

クレームというと「苦情」という意味にとらえられがちですが、本来の意味は、改善や対応を求める意見や主張です。そのため、クレームとは言わずに「ご意見」「ご指摘」といった言い方をする場合もあります。

クレームの種類には、以下のようなものがあります。

  • 品質に関するクレーム
  • サービスに関するクレーム
  • 価格に関するクレーム
  • 安全性に関するクレーム

お客様から商品に対するクレームがあれば、商品の品質改善のきっかけになり、サービスに関するクレームがあれば、サービス向上を目指すきっかけになるでしょう。

そのため、お客様からの客観的な意見や指摘が、企業の成長やサービス品質の向上につながる好機になる場合があるのです。

正当なクレームと不当なクレームの違い

クレームは、企業の成長やサービス品質の向上を促す好機になる場合があると紹介しましたが、クレームついては意識するべき重要なポイントがあります。

それは、クレームには「正当なクレーム」と「不当なクレーム」があるということです。

クレーム
正当なクレーム 不当なクレーム
違い
  • 妥当な理由に基づいて行われるクレーム
  • 事業者も認めるべきクレーム
  • 妥当な理由に基づいて行われるクレーム
  • 事業者も認めるべきクレーム
具体例
  • 商品が壊れていたことを理由に返金を要求する
  • サービス提供者の対応が不快なものであったことを理由に、謝罪を求める
  • 商品が壊れていたことを理由に返金を要求する
  • サービス提供者の対応が不快なものであったことを理由に、謝罪を求める

正当なクレームについては、お客様の言葉を真摯に受け止め、適切な対応をするとともに改善に努める必要があります。

一方の不当なクレームは、妥当な理由のない不当なものであることが少なくありません。そのため、お客様の言葉に寄り添う姿勢を見せつつも、企業の立場を明確にしたうえで毅然と対応する必要があります。

いずれも、サービスが不十分であったり対応が不適切であったりなど、企業やサービス提供者に非があったことが原因になることが少なくありません。大きな違いは、起きた事象に対してお客様はどのような要求をするかです。

カスハラとクレームの違い

先述したとおり、クレームには正当なクレームと不当なクレームがあります。

不当とはいえ、クレームは企業やサービス提供者に非があって起こることが一般的です。そのため、カスハラと不当なクレームの境界線が曖昧であると感じる場合があります。

「こちらに非があったのだから……」と、お客様からの悪質な行為に耐えようとすることもあるかもしれません。

しかし、不当なクレームは広義のカスハラです。

商品に落ち度があったりサービスが不十分だったりしたことが原因でも、それに対する要求が不当であったり過剰であったりすれば、カスハラと判断して問題ないのです。いかなる理由があっても、暴食や暴言などの悪質な行為は許されるものではありません。

不当なクレームに対しては、一般的なクレーム対応をしようとせずに、カスハラとして対応するのがよいでしょう。

いくら相手がお客様であっても、カスハラ・不当なクレームを許容する必要はないでしょう。 

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カスハラの事例と対応方法

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ここでは、よくあるカスハラの事例と対応方法について解説します。 

よくあるカスハラの事例 

  • 暴言/脅迫

お客様が感情的になり、乱暴な言葉や、相手を傷つけたり怖がらせたりする発言をする場合があります。 

たとえば「バカ」「クズ」といった暴言、「お前なんかクビにするぞ!」「動画をSNSで拡散する!」といった発言をするなどです。

お客様の言葉に恐怖を感じた場合は、安全な場所へ移動し、相手と距離をおきましょう。

感情的になっている様子に慌てたり怒りが湧いてきたりすることがあるかもしれませんが、相手にしてしまうことでさらにエスカレートする場合があります。冷静に感情をコントロールすることが重要です。 

悪質な暴言や脅迫は、侮辱罪、恐喝罪といった罪になる場合があります。発言内容を記録することができれば、メモを取ったり録音したりするとよいでしょう。

  • 理不尽な要求

お客様の要求に応えることは、接客業における基本的な業務です。しかし、カスハラの場合は、実現不可能なものや常識の範囲を超えた行為を求められることがあります。 

たとえば、怒りが収まらないことを理由に従業員に土下座を求めたり謝罪文の提出を求めたりするなどです。 

このようなケースでは、従業員の立場を下に見て、力関係を示そうとする場合があります。 

本来、お客様と従業員という立場は対等なものです。どのような理由があっても、このような要求に応じる必要はありません。

義務のない行為をさせるような理不尽な要求は、強要罪に問われるものです。明確な理由を述べたうえで、毅然とした態度で断りましょう。

ただし、このようなカスハラ行為を行うお客様は、要求が通るまで執拗に要求し続けたり店内に居座ったりするケースが少なくありません。エスカレートして暴力行為におよぶこともありますので、そのような場合は警察への通報を検討しましょう。

  • セクハラ行為

性的ないやがらせという意味のセクハラ(セクシャルハラスメント)は、職場におけるハラスメントとされることが一般的ですが、お客様から従業員に対するセクハラ行為もカスハラに該当します。

たとえば、接客中に従業員の身体に触れたり、性的な冗談やからかいを言ったりするなどです。

お客様からの行為や行動が不快だと感じたら、その場から離れて対応を代わってもらうようにしましょう。

身体的な接触はなくても、発言内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪が成立することがあります。暴言や脅迫と同様に、発言を記録するなどしておくと、後の対応に役立つ場合があります。

  • 業務妨害

さまざまな行為によって業務の遂行を邪魔することは業務妨害です。実際に妨害されていなくても妨害される恐れがある行為があった場合も該当します。

たとえば、店内で大声をあげたりカウンターを蹴ったりして、ほかのお客様を怖がらせたり迷惑をかけたりするなどです。

暴言や暴力、脅迫などの威力を行使して業務を妨害した場合は「威力業務妨害」、商品に異物を混入させたり虚偽の噂を流したりした場合は「偽計業務妨害罪」です。

業務妨害は従業員に対してだけではなく、ほかのお客様に対する迷惑行為です。このような行為があった場合はすぐに上司に報告し、警察に通報するなどの対応をとりましょう。

  • 名誉毀損

名誉棄損は、不特定多数の人が認識できる環境下に、従業員のプライバシーにかかわる情報や企業にとって不利益になり得る虚偽の情報を流して、個人や企業の評価を下げる行為などを指します。

たとえば、インターネットの口コミに従業員の個人名を挙げて中傷したり、事実無根の情報を書き込みしたりするなどです。

インターネット上やSNS上に情報が載っている場合は、ただちに削除請求をする必要があります。

企業にとって不利益なものであれば、名誉棄損のほかに業務妨害として責任を問うことができる場合もあります。不特定多数の人が目にするものは、どのようにして情報が広まるか分かりません。

名誉棄損であると思えるものには、速やかに対応しましょう。

カスハラを受けた際の具体的な対応方法

カスハラは犯罪行為と判断できるものが多くあります。そのため、お客様の行動や言動に恐怖を感じてしまうこともあるでしょう。しかし、萎縮したり慌ててしまったりすると、事態が悪化することは少なくありません。カスハラへの対応方法を解説します。

  •  毅然とした態度で受け流す

カスハラがあった場合は、お客様に対して毅然とした態度を取り、冷静に受け流しましょう。

 具体的には、以下のような方法です。

  • 「そのようなことを言わないでください」と明確に伝える
  • 「あなたの言動は不快です」と毅然とした態度で伝える

その場から立ち去ることも有効でしょう。

ただし、状況によっては、反発を招いてしまう可能性もあるので、身の安全を第一に行動することが最も重要です。

  •  上司や同僚に相談する

カスハラは一人で抱え込むものではありません。必ず、上司や同僚に相談しましょう。企業に相談窓口があれば、専門家に相談するのも有効です。

状況に応じて、上司や同僚が対応を代わってくれることがあるはずです。

相談する際は、具体的な日時、場所、状況、行為者の言動などを記録しておくと、よりスムーズに相談することができます。

  •  証拠を記録する

カスハラを受けた場合は、可能な限り証拠を記録することが重要です。

  •  日時、場所、状況などをメモする
  • 録音や録画をする
  • SNSでのやり取りを保存する
  • 目撃者がいる場合は、その方の連絡先を控える。

証拠を記録しておくことで、後の対応に役立てることができます。

  •  必要に応じて警察に通報する

カスハラは犯罪です。相手がお客様だからといって、個人で解決しようとする必要はありません。

 上司や専門家と相談したうえで、警察に通報することも検討しましょう。

 「通報することで大事になってしまうのでは……」と感じるかもしれませんが、カスハラは心身に大きなダメージを与える深刻な問題です。

最大限の対応をしても改善されなかったり繰り返されたりする場合は、警察に介入してもらうのが得策です。

参考:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル/厚生労働省

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 クレームの事例と対応方法

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ここからは、クレームの事例と対応法を解説します。正当なクレームと不当なクレームの違いが分かるポイントにも触れていますので、参考にしてください。 

よくあるクレームの事例 

  • 商品やサービスの品質に関するクレーム

購入した商品が壊れていたり、告知していた通りのサービス内容でなかったりした場合、クレームが発生することがあります。 

事実が確認できた場合は、速やかに商品を交換したり状況に応じてお詫びの品を用意したりして対応します。 

商品の破損やサービス内容の不足は、お客様の期待を裏切る行為です。お客様のご意見を真摯に受け止め、再発防止策を講じましょう。 

ただし、商品を交換したのにもかかわらず高額のお詫びの品が求められたり、購入から時間が経過している商品の破損であったりする場合は、不当なクレーム・カスハラになる場合があります。

  • 誤解や認識違いに基づくクレーム

説明書の内容を読み間違えたことで商品が使えなかったり、お客様の勘違いで予約時間が間違っていたりすることでも、クレームが発生することがあります。 

このようなクレームは、お客様の誤解や勘違いによるものであるため、商品や従業員のサービス品質に問題がないことが少なくありません。 

そのため、お客様の誤解や認識違いを正しく理解したうえで、改めて説明したり補足の説明資料をお渡ししたりするなどの対応が必要です。お客様に非があったとしても、まずは傾聴の姿勢を示しましょう。誤解が晴れれば、納得してもらえるはずです。 

ただし、お客様に非があることが明らかであっても、非を認めずに言いがかりをつけられたり理不尽な要求をされたりする場合は、不当なクレーム・カスハラと判断してよいでしょう。

  • 従業員への不満

従業員の行動や言動が不適切であったり、正しく引き継ぎがされていなかったために誤ったサービスを提供してしまったりしたことで、クレームになることがあります。 

不満や不信感を与えてしまった場合は、速やかに謝罪しましょう。もし、自身が対応したお客様であれば直接謝罪をし、場合によっては上司や先輩に対応を代わってもらうのがよいでしょう。

ただし、お客様の個人的な好みによるものや度が過ぎた謝罪を要求されるような場合は、不当なクレーム・カスハラに該当します。可能な限りの対応はすべきですが、エスカレートするような場合は、他の対応が必要になることがあります。

  •  値引きや返金要求

商品の価格に納得がいかなかったりサービスに不満があったりして、値引きや返金を要求されることがあります。

購入後に商品の破損に気がついた、事前に説明を受けたサービス内容とは明らかに違っていたなどが理由であれば、適切な金額を値引きしたり返金したりしましょう。

ただし、値引きや返金については、企業や店舗に独自のルールがあるのが一般的です。個人の判断で対応できるものではありませんし、お客様の個人的な理由だけでは応じる必要はありません。 

理由が明確でない場合や高額すぎる場合は、不当なクレーム・カスハラになる場合があります。

クレームを受けた際の具体的な対応方法

クレームを受けた際には、どのような対応方法が適切なのでしょうか。クレームが正当か不当かにかかわらず、誠意を見せることは基本の姿勢です。そのうえでどのように対応するのがよいのか、流れを説明します。

  •  顧客の話をよく聞く

まず、お客様の話を最後までよく聞くことが重要です。話を遮ったり反論したりせず、共感の態度を示しながら、お客様の気持ちに寄り添いましょう。 

具体的な問題点とお客様の要求を確認したうえで、後の対応を判断します。 

  • 謝罪する

お客様の話を聞いた後は、誠意を持って謝罪することが重要です。たとえ企業や自身に責任がなくても、お客様にご迷惑をおかけしたことに対してお詫びの言葉を述べることは不可欠です。 

ただし、謝罪するのは、不便をかけたことや不快な気持ちにさせてしまったことに対してです。

お客様に非があると判断できるものに対しても謝罪してしまうと、責任の所在を不明瞭にしてしまいます。 

もし、不満に対して謝罪することが不適切だと判断した場合は、「ご意見ありがとうございます」などにとどめておくとよいでしょう。

  • 迅速かつ丁寧に対応する

お客様の話を聞き、謝罪した後は、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。問題解決に向けて、具体的な行動に移りましょう。 

正当なクレームだと判断できるものに対しては、商品の交換をしたり返金したり、再発防止策を提示したりします。

不当なクレーム・カスハラと判断した場合には、上司に相談して適切な対応の指示を求めましょう。

カスハラや不当なクレームには適切な対応を!

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相手がお客様であっても、カスハラや不当なクレームは許されるものではありません。 

不当な要求や悪質な行為があった場合は、毅然した姿勢で対応しましょう。 

そうは言っても、なかなか難しいと感じることもあるはずです。上司や同僚を頼ってよい、逃げてもよいと理解しておくだけでも気持ちが楽になるでしょう。 

決して一人で戦う必要はありません。長く接客に携わるためにも、自身の心身を守るという姿勢を大切にしてくださいね。

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