【パティシエから異業種へ転職】転職理由
苦労してパティシエになったにもかかわらず「異業種へ転職したい」と思うのはなぜなのでしょうか。代表的な理由を見ていきましょう。
労働環境が悪い
パティシエの労働環境は過酷になりがちといわれています。その背景にはひとつの洋菓子を作るのにいくつもの工数がかかることや、傷みやすい食材を使うために作り置きができないこと、小規模店舗では人手不足が深刻化しているといったことが挙げられます。
ワークライフバランスが整っていない日々を過ごしていると「パティシエ以外の仕事の方が良いのかな……」という気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
体力的な負担が重い
パティシエは、非常に体力を使う職業です。重い材料を運んだり、大量の生クリームを泡立てたりと、常に身体を動かすため、体力的な限界を感じて異業種転職を考えることもあるでしょう。
また、腰痛や腱鞘炎といった症状が悪化し、辞めざるを得なくなることも。
低賃金
仕事がハードな割に、賃金が低いことも異業種転職したくなる理由のひとつです。厚生労働省のデータによると、2022年の洋菓子製造・パティシエの全国平均年収は344万8000円。金額だけで考えれば極端に低いとはいえませんが、業務の負荷を考えると「割に合わない」と感じるかもしれません。
また、パティシエの平均年収は地域によって大きな差があります。東京都では393万3000円ですが、沖縄県では267万7000円です。賃金が低い地域で働くパティシエは、低賃金が理由で異業種転職を考えることが多いのではないでしょうか。
参考:洋菓子製造・パティシエの平均年収について/職業情報提供サイト jobtag
キャリアプランが見えない
パティシエをめざした当初は「こんな洋菓子を作りたい」「いつかは自分のお店を持ちたい」「オリジナルのケーキを作りたい」といった希望を持っていたはずです。
しかし、業務に忙殺される毎日の中では、キャリアプランを見失いがち。また、自分の中のビジョンがはっきりしていても、労働環境によってはそれがかなわないこともあるでしょう。
「今の仕事ではキャリアプランが見えない」と感じたとき、パティシエからの異業種転職を考えるのかもしれません。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
【パティシエから異業種へ転職】いかせるスキル
異業種への転職は、ハードルが高く感じるものです。しかし、パティシエの仕事を通して得たスキルは、さまざまな分野でいかせるはず。パティシエ経験者の強みを見ていきましょう。
製菓技術
まず挙げられるのは、高度な製菓技術です。製菓技術は「他の仕事ではいかせないのでは?」と思うかもしれませんが、転職先によっては役に立つことがあります。
例えばカフェやレストランにおいては、サービススタッフとして入社した場合でも新商品の開発に携わることがあるかもしれません。また、食品メーカーや食品工場などでも、これまでに培ってきたスキルをいかせるのではないでしょうか。
衛生管理
キッチン・職場の清潔を保ったり、食材の品質を管理したりする衛生管理のスキルは、食品に携わる職場で役に立ちます。
特に「食品衛生責任者」の資格は、転職の際のアピールポイントとして有効。以下の記事では、食品衛生責任者の資格について詳しく解説しています。併せてご一読ください。
時間管理能力
パティシエの仕事は、時間との勝負です。繊細な洋菓子を作る際には、食材を混ぜたり焼いたりする時間を厳格に守らなければなりません。また「開店までに〇個のケーキを焼き上げる」といった計画もあるため、遅刻は許されないことでしょう。
「決められた時間をしっかり守る」ということは、社会人として当たり前のことのように思えるかもしれませんが、実際にできている方は少ないもの。
時間をきちんと守れる習慣が身についているパティシエ経験者は、異業種に転職しても厚い信頼を得られるのではないでしょうか。
コミュニケーション能力
パティシエはチームワークで進める仕事です。それぞれの段取りを決めたり、助け合ったりしながら商品を作ったことがあるのではないでしょうか。
また、商品の説明をするなどお客様とのコミュニケーションを取る機会もあったのではないでしょうか。そうした経験で培ったコミュニケーション能力は、どのような業種に転職しても役に立つはずです。
忍耐力と柔軟性
先述の通り、パティシエは非常に厳しい職種です。現在、異業種への転職を考えているにしても、パティシエという職業に就き、これまでやってこられたということであれば、忍耐力が身についているのではないでしょうか。
転職後、多少つらいことがあっても「パティシエ時代の苦労を思えば乗り越えられる!」という気持ちになれるかもしれません。
また、季節のイベントや客足によって仕事の量に差があったり、原料の価格が変動したりする業界を経験したことで、柔軟性も培ったはずです。異業種への転職はとまどうことが多いものですが、パティシエ経験者はスムーズに適応しやすいのではないでしょうか。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
【パティシエから異業種へ転職】転職先
パティシエの経験はさまざまな業種でいかせますが、特に適しているのはどのような転職先なのでしょうか。4つの例を紹介します。
飲食店
まず挙げられるのは、飲食店です。洋菓子製造の実務経験は、調理スタッフとして働く際にもいかせるはずです。また、店舗や食材の衛生を管理したり、お客様のニーズをくみ取って商品を提案したりした経験も、飲食店で役に立つでしょう。
提供する商品の種類は違っても「おいしい食べ物で人を幸せにしたい」という気持ちがあるなら、飲食店でもしっかりやっていけるのではないでしょうか。
食品メーカー
加工食品や冷凍食品を製造する食品メーカーも、パティシエ経験者が活躍できる転職先です。洋菓子作りで培ったセンスや技術を存分にいかし、新商品の開発にたずさわれる可能性があります。
また「元パティシエ」という肩書きを持つ人材は、洋菓子を製造する食品メーカーにとって貴重な存在かもしれません。パティシエとしての経歴に自信がある方は、食品メーカーへの転職を視野に入れてはいかがでしょうか。
ホテル・旅館
ホテルや旅館は、ホスピタリティが重視される職場です。「お客様が喜ぶ姿」を思い描いて仕事をしてきたパティシエ経験者であれば、ひとりひとりに寄りそったおもてなしを提供できるのではないでしょうか。
フロントスタッフやベルスタッフといった業種の他に、洋菓子製造のスキルをいかせる調理スタッフやベーカリーといった職種もあります。
製菓教室の講師
「パティシエとして働くことはきついけど洋菓子作りは好き」という方は、製菓教室の講師が向いているかもしれません。
カルチャースクールなどに勤務する他、自宅のキッチンを改装して教室を開く方法もあります。洋菓子作りの楽しさを人に教えることは、パティシエとしての第二の人生といえるかもしれません。
【パティシエから異業種へ転職】転職活動の進め方
パティシエから異業種への転職をめざす場合、転職活動はどのように進めれば良いのでしょうか。適切な動き方を見ていきましょう。
自己分析
転職活動を始めるにあたって、しっかりと自己分析することは非常に重要です。自分がなぜパティシエになったのか、そしてなぜ異業種転職したいのかを明確にしなければ、転職してから後悔することになりかねません。
また、志望動機や職務経歴書の土台としても、綿密な自己分析は不可欠です。志望動機に説得力を持たせ、職務経歴書でスキルをアピールするためにも、自己分析を十分に行いましょう。
履歴書・職務経歴書の作成
自己分析ができたら、履歴書・職務経歴書といった応募書類を作成しましょう。ただ自分の情報や職歴を書き連ねるだけでなく、転職先でいかせるスキルや特技を伝えることを意識してください。
スキルの伝え方としては、数字を用いる方法がおすすめです。1日あたりの生産数や売上高を具体的に記入すると良いでしょう。
また、異業種への転職で重要なのは、パティシエとしての経験と応募先での仕事において、重なる部分に触れることです。自分のスキルや経験が、応募先の仕事でどういかせるのかをアピールしましょう。
面接対策
「パティシエから異業種へ転職する」となると、畑違いの仕事や未経験の業界へ飛び込むことが多いはず。面接官は「なぜパティシエからこの業界に転職したいのか」という理由を知りたいと思うはずです。「本当にこの業界でやっていく気があるのだろうか」と不安に思っている部分もあるでしょう。
面接対策では、その点についての受け答えをしっかりと準備することが重要です。具体的な理由を伝えられれば、面接官の不安を取り除けるのではないでしょうか。
パティシエからの異業種転職には転職エージェントの活用もおすすめ!
パティシエ経験者が異業種で活躍できる可能性は十分にあります。しかし、応募書類や面接における自己アピールや、志望動機の伝え方などで、工夫が必要な点が多いことも事実。
異業種への転職をスムーズに進めるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。自己分析の進め方や応募書類の書き方などについて、ひとりひとりの状況に寄り添ったアドバイスをしてくれるではないでしょうか。また、ライバルが少ない非公開求人を紹介してもらえる場合もあります。ぜひ活用して、転職活動を効率化しましょう!
ホテル・旅館の仕事を探す際には、おもてなしHRが力になります。