サービスとは?
日頃からよく耳にする「サービス」という言葉。
サービス業に従事している方でも、意味を分かっているようで、分かっていないということはないでしょうか?
サービスの良し悪しが企業や店舗の評価につながることは多くあります。だからこそ、サービスの質を上げようと、日々努力を重ねていることもあるはずです。
意味が分からないままでは、本当に提供すべきものが何なのか見えてこないこともあるのではないでしょうか。
サービスは、「タイムサービス」「1ドリンクサービス」というような言葉にも使われることがあります。
サービスを受ける側の視点で考えると、何か得をするようなイメージを持つこともあるでしょう。
しかし、本来の意味を考えると、サービス=お得感とは異なります。
正しい言葉の意味を知って「サービス」について考えることで、サービス提供者として顧客に提供すべきものが見えてくることがありそうです。
サービスの言葉の意味や、日本で使われるサービスという言葉・特徴について紹介します。
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サービスの意味
日本で初めてサービスという言葉を使ったのは大正末期の自動車業界といわれています。
米国を視察した日本自動車会社社長が自動車販売に大きな成果を出している「サービス・ステーション」の存在を知り、日本に広めようとしたことが日本の「サービス」の始まりだそうです。
語源である英語の「サービス」と、日本語の「サービス」それぞれの意味を見てみましょう。
英語が意味するサービスとは?
サービスは英語の「service」が語源です。
- ・奉仕、世話、貢献、尽力
- ・勤務、業務
- ・点検、修理
- ・接客
英語の「service」には、この他にもさまざまな意味があります。
広辞苑が言うサービスとは?
広辞苑でのサービスの意味は次の通りです。
- ・奉仕。他人のために尽力すること。「家族ー」
- ・給仕。接待。「ーのいい店」
- ・商売で値引きしたり、客の便宜を図ったりすること。「付属品をーする」
- ・物質的生産過程以外で機能する労働。用役。用務。「ー産業」
英語と日本語では、サービスの意味にこのような違いがあります。
どちらにも共通するのは、奉仕・尽力という意味を指していることではないでしょうか。
値引きやオマケと言った意味は、どちらにもありません。
ここからも、サービスは「相手のために尽くすこと」が主な意味であることが分かります。
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サービスの4つの特徴とは
サービスには「IHIP」と呼ばれる4つの特徴があるといわれています。
- ・I(Intangibility):無形性
- ・H(Heterogeneity):異質性
- ・I(Inseparability):生産と消費の同時性
- ・P(Perishability):消滅性
それぞれの頭文字を取って「IHIP」といわれる特徴について詳しく説明します。
I(Intangibility):無形性
「無形性」とは、物や実体として確認できないため、作り置きや在庫を確保できない特徴のことです。また、提供者は効果や効能が受け取りにくいというのも特徴でしょう。
ホテルの場合で言えば、お客様に提供するのは「快適な時間と空間」で、それが売り物でもあります。
物体を通してアピールできる有形財とは違い、手で触れたり目に見えたりしないため、サービスをどう顧客にアピールするかが課題として挙げられることがあります。
H(Heterogeneity):異質性
同じサービス内容でも提供者や提供される場所によって品質に違いがうまれます。また、利用者のいる環境や心理状態によっても、受け取り方が異なります。
例えば、同じホテルスタッフでも毎日同じパフォーマンスをすることはできません。同様のサービスであっても、顧客が変われば受け取り方も変わります。
これをサービスの「異質性」と呼び、不確実性がリスクになることもあります。
I(Inseparability):生産と消費の同時性
サービスの提供と消費が同時になされるという特性が「生産と消費の同時性」です。
これは、サービス提供者と顧客の間で共につくられ、その場で消費されるものであるということです。
宴会や結婚式のように、お客様の思い出を共につくることがあります。打ち合わせがあったとしても、本番は一回です。生産と消費が同時に行われるからこそ、失敗は許されません。
この同時性によって、品質を事前にチェックすることが困難であるというのが特徴なのです。
P(Perishability):消滅性
サービスは提供と同時に消滅します。サービスを保存することはできません。
この特徴をサービスの「消滅性」と呼びます。
例えばホテルの場合、宿泊客売上が発生しない日には売上は発生しません。販売できなかった分を、翌日に上乗せすることは不可能です。
在庫が持てない点はサービス業のメリットですが、保存や貯蔵ができないというデメリットもあります。
なお、おもてなしHRでは宿泊業界に特化した転職支援を行っています。ホテルでサービス業の経験をいかしたいという方は、ぜひご活用ください。
サービス業で提供されるサービスとは?
サービスは形のないものですから、サービス業で提供されるサービスにも、形はありません。
サービス業では、顧客の「~したい」「~してほしい」といった様々なニーズに応えることが主な仕事です。
提供しているものは、専門的な技術や知識、体験など、無形と言われるものです。
顧客のニーズを満たすことがサービス業の仕事ですので、顧客のニーズが変われば、それに伴ってサービス業で提供するサービスも変化します。
形がないからこそ、時代に合わせて多様に変化するのもサービスの特徴です。
サービスが指すものは、行為・行動です。
「無料」や「値引き」という意味で使われることが多くありますが、本来の意味から考えると、本当のサービスとは言えないのかもしれません。
サービスを理解することが正しいサービス提供のポイント!
サービスの言葉の意味について紹介しました。日頃使われている意味とは少し異なる印象を持った方もいるかもしれませんね。
もちろん、お得感のあるサービスが全くの間違いであるわけでありません。
お得感を提供することで、お客様に何を感じていただきたいのかという、目には見えない部分まで見据えることが重要なのではないでしょうか。
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