第2のふるさとづくりプロジェクトとは?
「第2のふるさとづくりプロジェクト」は、観光庁が立ち上げた新しい旅のスタイルを提案するプロジェクトです。
「何度も地域に通う旅、帰る旅」というスタイルを推進・定着させることで、国内観光の新しい需要の掘り起こし、地域経済の活性化につなげようと、令和4年度から実証事業を実施しています。
発足の背景には、新型コロナウイルスの影響で、密を避けた自然に触れる旅へのニーズが高まったことや、田舎に憧れを持つ若者が増えたことがあります。
「何度も地域に通う旅、帰る旅」によって、知らない土地が、お気に入りの土地になり、いつの間にか居場所になる。それが「第2のふるさとプロジェクト」です。
プロジェクトの発足に伴い、何度も通いたくなる魅力的な地域作りや仕組み作りが各地で進んでいます。
プロジェクトがもたらす効果やモデル事業を紹介します。
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第2のふるさとプロジェクトがもたらす効果
「旅」と「移住」の間を楽しむ暮らし方ができるのが、第2のふるさとプロジェクトです。期待される効果について紹介します。
新しい市場の創出
宿泊を伴う旅行の目的のうち、全体の6割は「観光・レジャー」で、その他として「出張」「知人・親族の訪問(私用/帰省)」がそれぞれ約2割と言われています。
第2のふるさとプロジェクトは、「出張」や「知人・親族訪問」に近い感覚の旅の需要を刺激して、新しい旅のスタイルとして提案しようというものです。
滞在頻度や滞在日数、個人消費の増加が実現されることで、地場の観光や交通に新しい市場が創出されることが期待されています。
地域の課題解決
プロジェクトに参加する地域では、高齢化による担い手不足で悩む地場産業を再生する取り組みや、体験から就労・起業までの一貫した支援などによって働く場の創出も行われています。
新しい「生き方」や「暮らし方」に気づいてもらう機会を提供することで、第2のふるさととしての実感を強めたり、地域の人の関係性が深まったりします。
コミュニケーションが活性化することで、地域産業の活性化や、企業の競争力向上にもつながるのです。
交流人口の創出
新型コロナウイルス感染症の影響で新しい生活様式が定着しました。リモートワー クの推進や、自然にふれる機会が増加したことで、旅のニーズにも変化をもたらしています。
また、田舎に憧れを持つ若者が増えたり、リアルな繋がりを求める動きが活発になったりと、暮らしに対する考えも流動化しています。
地域での滞在、関係性の深化等を段階的に促すことで第2のふるさとを作り、交流人口の創出にもつながります。
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第2のふるさとプロジェクトのモデル事業
2023年6月には「『第2のふるさとづくりプロジェクト』継続した来訪促進のためのモデル実証事業」で、有識者の審査を経て18地域が実証地域として選定されました。その一部を紹介します。
「おかえり」ではじまる、帰るような旅
プロジェクトの拠点は、新潟県・群馬県・長野県にまたがる雪国エリアです。
冬は豪雪地帯で、古くからある雪と共生する知恵と雪国独自の生活文化があり、仕事も多く存在しています。
家のように過ごすことをコンセプトにした宿泊施設では、自室の掃除や同敷地内にある宿の仕事を手伝いながら滞在することができます。イベントのサポートやスキルをいかした仕事を担うこともあるようです。
新しい仲間との出会いや近所の住民との交流から新しい発見が生まれたりすることで「ただいま」と言える人、場所が作られます。
参考:帰る旅
県の特色を生かしたふれあいを体験
プロジェクトの拠点は、鳥取砂丘が有名な鳥取県鳥取市です。
地域貢献型や地域の特色を活かした体験メニュー、地域の人と触れ合う機会を多数提供しています。
鳥取県に興味がある、鳥取県が好き、といった人を「スナバ国民」と称し、希望者はスナバ国民IDとスナバ国民パスポートを取得できるという、ユニークな取り組みも魅力です。
地域住民や地元事業者との深い人間関係を構築し、何度も訪れてもらうことで関係性を深化させ、鳥取を第2のふるさとと思ってもらいたいという思いが込められています。
参考:スナバ国
アンバサダーをしながら第2のふるさとを見つける
プロジェクトの拠点は、富山・福井・鳥取の3県です。
水先案内人と呼ばれる、地域で活躍する事業者や生産者と共に、「“地域ものがたるアンバサダー”」として、地域を知る旅や交流をくりかえし、自分にとっての第2のふるさとを見つける活動をします。
活動期間は1年で、体験を共有したり情報発信したりする役割が与えられています。
地域の歴史や文化を学んだり、新たな魅力や新しい資源を見つけたりする、5つのプログラムが用意され、地域との縁を段階的に深めていけるのが特徴です。
「何度も訪れたい!」宿泊施設がお客様の第2のふるさとになる
第2のふるさとプロジェクトは、「通う」「帰る」ことをコンセプトにしています。
実現のためには、参加者と地域住民との一方通行ではない関係性が必要です。
これは、お客様と宿泊施設の関係性に置き換えて考えることができるものではないでしょうか。
お客様から「ここに来るとホッとする」「安心する」と言った声をもらったこともあるかもしれません。
お客様との交流によって、宿泊施設がお客様にとっての第2のふるさとになることはできるはずです。
モデル事業を参考に「おかえりなさい」とお客様を出迎える宿泊施設を目指してみるのも良さそうです。