サステナブルツーリズムの成功事例を見てみよう
サステナブルツーリズムとは、地域が持つ本来の姿や魅力を持続することを考慮した旅行のことです。
観光客の増加は地域がにぎわい、経済活動が活発になる一方で、景観が損なわれたり、地域住民の生活が侵害されたりといった問題が起こる場合があります。地域全体の調和を重視し、持続可能な観光を実現することが望まれているのですね。
我が国でもさまざまな地域がサステナブルツーリズムに取り組んでいます。日本国内におけるサステナブルツーリズムの成功事例を把握して、地域観光のあり方を考えましょう!
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
日本におけるサステナブルツーリズムの成功事例5選!
サステナブルツーリズムは比較的新しい旅行の概念ですが、すでに成功を収めた取り組みもあります。日本における成功事例を見ていきましょう。
北海道千歳市・支笏湖の事例
北海道千歳市の支笏湖は、透明度が高く美しい湖でさまざまな水のレジャーが楽しめる人気スポットです。支笏湖では環境美化活動と体験型観光を組み合わせ、ダイビング・シュノーケリングで支笏湖を清掃するツアーが開催されました。
漁業者と連携した地域学習ツアーなども行われ、モニターの結果、環境や自然に対する意識が、事業者側の想定以上だったことがわかったということです。
旅行者の興味・関心の程度を把握できたことは、大きな収穫ではないでしょうか。
京都府南丹市の事例
京都府の南丹市は、ファンクラブの運用で収益獲得に成功しています。
「観光事業で収益を得る」というと、実際に足を運んでもらうことや地域の商品を販売することが一般的です。しかし南丹市では、地域のあり方に共感した都市部の人々から町会費を集めるという画期的な方法で、利益を生み出しているのです。
町会費を支払った人には特産物をもらえたり、プログラムを体験できたりという特典があります。町の収入を増やすだけでなく、地域のことを知ってもらうきっかけが用意されています。
福井県鯖江市の事例
福井県鯖江市は、モノづくりで有名な地域です。漆器や和紙といった伝統工芸品の他、眼鏡や繊維などの生産も盛ん。手作り体験は重要な観光資源ですが、職人の高齢化や後継者不足が問題視されています。
こうした課題への対策として、鯖江市では2016年から作り手と一般の人々が気軽に交流し、モノづくりを体験するための大規模なイベントを開催しています。
イベントの開催をきっかけに、地域のファクトリーショップが新たに誕生しているそうです。また、観光ガイドや販売員といった職人以外の雇用も生まれ、若者の移住も増加しているということです。
東京都中央区・銀座の事例
都市部においても、サステナブルツーリズムの成功事例があります。東京都中央区の銀座アリアは言わずと知れた華やかな街ですが、意外にも養蜂が盛んに行われています。
銀座周辺で働く人が集まり、ビルの屋上でミツバチを飼う活動が始まったことがきっかけで、銀座の街に花や緑が増えたということです。また、この取り組みは学習の機会としても提供されており、屋上養蜂場の見学や採蜜体験などが実施されているようです。
収穫したハチミツは瓶詰めで販売される他、お菓子の材料としても使用されています。東京土産として、多くの人に親しまれているのではないでしょうか。
兵庫県神戸市・須磨海岸の事例
神戸市の須磨海岸は、西日本屈指の人気を誇るビーチです。2017年、須磨海岸を「車いすの方やその家族の方も楽しめるユニバーサルビーチにしよう!」という取り組みがされました。
車いすの車輪が砂にはまらないようにマットを設置し、車いすのままで波打ち際まで行けるようになったということです。さらに水陸両用の車いすを用意したり、バリアフリーのシャワーブースを設置したりと、障がいのある方にない方にも、海水浴を楽しんでもらうための工夫が進められています。
あらゆる人が地域の自然・文化に親しむための環境を整えることも、サステナブルツーリズムのための取り組みと言えるでしょう。
参考:
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
観光業の未来のためにサステナブルツーリズムに取り組もう
今、人々の中では自然環境に対する意識が高まりつつあります。サステナブルへの取り組みがされているかどうかを、旅行で使う施設・サービスを選ぶ際の指針にする方もいるのではないでしょうか。
また、限られた資源を大切にしなければ、将来的に観光業が成り立たなくなることも考えられます。今回の記事を参考に、持続可能な観光の在り方を考えてみてくださいね!