入社後に給与明細を確認したら求人票の金額と違っていた、あるいは内定時の雇用契約書を見て話が違うと気づいた場合、まず知っておきたいのは労働法上の位置づけです。
求人票の記載内容はあくまで採用の誘引であり、雇用契約書や労働条件通知書の内容が法的に優先されます。
ただし、会社側が意図的に虚偽の条件を示した場合は職業安定法違反となる可能性があり、泣き寝入りする必要はありません。
この記事では、求人票と実際の給料が違う場合の法的な考え方や、確認すべき給与明細のポイント、具体的な対処法を解説します。
求人票と実際の給料が違う場合の違法性と判断基準
求人票に書かれた給料と実際の支給額がかけ離れていた場合、状況によっては職業安定法に抵触します。
ただし、すべてのケースが即座に違法となるわけではなく、乖離の程度や経緯によって判断が分かれます。
求人票の法的な位置づけ
求人票は法的に労働者の募集を誘引する文書であり、雇用契約そのものではありません。
そのため、求人票に記載された給料はあくまでも参考情報にとどまり、実際の労働条件を確定するのは雇用契約書や労働条件通知書の内容です。
入社時に書面で合意した条件が法的に優先されるため、求人票と内容が違うことを理由に使用者を直接訴えることは難しい面があります。
とはいえ、求人票の記載は労働者が応募を決める根拠となる情報であり、著しく実態と異なる記載は別の法律で問題となる可能性があります。
違法になるケースの条件
職業安定法第65条は、虚偽の労働条件を示して労働者を募集や採用する行為を禁止しており、違反した場合は行政指導や罰則の対象となりえます。
求人票に意図的に高い給料を記載しておき、採用後に大幅に低い条件を提示するケースがこれに該当します。
具体的には、求人票の月給が30万円と記載されていたにもかかわらず、実際の労働条件通知書に20万円と記載されていたような、著しい乖離が生じた場合は違法の疑いが強くなります。
ハローワークや労働基準監督署に相談すれば、対応の可否を確認可能です。
違法にならないケースの目安
採用時の個別評価によって提示額が求人票と異なるケースは、一概に違法とは判断できません。
経験年数やスキルを考慮した結果、求人票の上限額より低い条件を提示することは、採用実務上よく見られる交渉の範囲内です。
記載と実際の差額が1万円から2万円程度であれば、行政指導よりも労使間の条件交渉として扱われることが多く、入社前の面接や内定時に説明があった場合はさらにその傾向が強まります。
違法かどうかの判断が難しいと感じたときは、専門家や公的機関への相談が有効な手段です。
求人票と給料が食い違う3つの主な原因
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求人票の給料と実際の給与が異なるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。
自分の状況がどれに当てはまるかを把握しておくと、その後の対処がスムーズに進みます。
基本給と各種手当の混同
求人票に記載されている金額が、基本給なのか各種手当を含む総支給額なのかで、実際の手取りは大きく変わります。
たとえば月給25万円と書かれていても、そこに職務手当や役職手当が含まれている場合、基本給はそれより低い金額になります。
残業代や賞与の計算基準は基本給をもとにするケースが多いため、入社後に収入が想定と異なる原因になりやすい部分です。
試用期間中の給与設定
採用後の試用期間中は、本採用時と異なる給与が適用される場合があります。
求人票に本採用後の金額だけが目立つ形で記載されていると、試用期間中の条件に気づきにくいでしょう。
労働基準法上、試用期間中の賃金を本採用時より低く設定すること自体は違法ではありませんが、その旨が労働契約の段階で明示されている必要があります。
応募前に確認しにくい部分なので、面接時に試用期間の条件を具体的に確認しておくことが有効です。
求人票情報の未更新
求人票の作成時期と実際の採用時期にタイムラグがある場合、記載されている給与情報が現状と一致していないことがあります。
ハローワークに掲載されている求人票は、会社の内部規定や給与テーブルが改定されても即座に反映されないケースがあるためです。
悪意のある虚偽記載ではなく、情報の更新漏れによる食い違いも少なくありません。
この場合も、労働条件の最終確認は労働条件通知書や労働契約書などの書面で行うことが重要です。
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おもてなしHRの求人を見てみる給料の食い違いを見抜くための給与明細の確認ポイント
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給与明細を正確に読むことで、食い違いが本当に条件の差異なのか、控除や手当の計算上の問題なのかを切り分けられます。
まず明細の構造を把握することが、適切な対処への第一歩です。
基本給と各種手当の切り分け
求人票に記載された月給額には、基本給のほかに各種手当が含まれているケースが少なくありません。
住宅手当や通勤手当などが合算された金額が給与として表示されていると、基本給だけを比べた際に数字が低く見えることがあります。
給与明細では、基本給と各種手当が別々の行に記載されています。求人票の表示と同じ範囲の金額を合算したうえで比較しないと、差異があるかどうかを正確に判断できません。
採用時に受け取った労働条件通知書や雇用契約書も手元に用意し、明細と求人票を含めた3つを並べて確認することをおすすめします。
控除項目の確認
手取り額が予想より少ないとき、その原因が控除にあるのか、支給総額そのものにあるのかを区別することが重要です。
健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料や税金は、入社後に初めて差し引かれるため手取りが想定より少なく感じられますが、これらは労働条件の問題ではありません。
確認すべきは控除前の支給総額です。給与明細の総支給額欄と、求人票や労働契約書に記載された金額を照合します。
この2つが一致していれば手取りの減少は控除によるものであり、総支給額の段階で差があれば条件の相違として対処を検討可能です。
固定残業代(みなし残業)の扱い
求人票に固定残業代を含むと明示されている場合、その金額は基本給とは別に記載される必要があります。
両者が合算されたまま月給の総額として表示されていると、実際の基本給が想定より低くなっているケースがあります。
労働基準法の解釈では、固定残業代は実際の残業時間に応じた割増賃金の前払いという位置づけです。
実労働時間をもとに計算した残業代が固定残業代の金額を超えた場合、その差額は追加で支払われなければなりません。
給与明細で固定残業代が明記されているか、実残業時間と固定時間数を照合することで不足が生じていないかを判断できます。
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アドバイザーに相談する求人と内容が違うと感じたときに取るべき3つの対処法
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求人票と実際の労働条件が食い違っていると気づいたら、感情的に動く前に事実の確認から着手することが重要です。
手元の書類を確認し、社内で説明を求め、それでも解決しない場合は外部機関を頼るという段階を踏むことで、冷静かつ有効に対処できます。
雇用契約書・労働条件通知書を確認する
求人票と条件が違うと感じたとき、最初に確認すべきは手元の書面です。
労働基準法第15条により、使用者は労働者に対して賃金や労働時間などの労働条件を書面で明示する義務を負っており、口頭での説明よりも書面の内容が法的な拠り所として機能します。
雇用契約書または労働条件通知書と、応募時の求人票を並べて比較しましょう。
基本給や手当の内訳などを一つずつ照らし合わせると、どこに相違があるかが具体的に見えてきます。
もし入社後も書面が交付されていない場合、その交付を会社に求めること自体が労働者の権利です。
会社の人事・採用担当への説明を要求する
書面で相違点が確認できたら、人事や採用担当者に事実確認として説明を求めます。
求人票と通知書で条件が異なる場合、どちらが正しいのかを事実ベースで質問することが有効です。
やり取りはメールや書面で行い、口頭で済ませた場合も内容をメモに残しておくことをおすすめします。
あとから水掛け論になるのを防ぐうえで、記録は重要な証拠です。
会社側の説明が合理的であれば誤解が解消される場合もありますし、明確な回答が得られなければ次の段階に進む判断材料となります。
社内で解決しない場合は外部機関に相談をする
社内での確認や交渉で解決しない場合、外部機関に相談をしましょう。労働基準法違反の疑いがある場合は労働基準監督署へ申告できます。
また、労働条件のトラブル全般については、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーが無料で対応しています。
法的手続きが必要な場合は、弁護士や法テラスへの相談が視野に入るでしょう。
労働契約の内容と実態に明らかな乖離がある場合、公的窓口を活用することが自身の権利を守ることにつながります。
次の転職で求人票の誤差を防ぐ求人の見方
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求人票と実際の労働条件のずれを防ぐには、応募前の読み方と面接や内定時の確認を組み合わせることが重要です。
どちらか一方だけでは見落としが生じやすく、入社後のトラブルにつながる可能性があります。
求人票で押さえるリスクの高い表現
求人票に記載された条件のうち、特に注意が必要なのは見かけ上の数字が実態と乖離しやすい項目です。
たとえば月給25万円という表記は、基本給ではなく各種手当を含んだ総支給額である場合があります。
諸手当込みや固定残業代含むといった注釈が添えられているときは、手当を除いた基本給の水準を個別に確認することが欠かせません。
固定残業代が含まれる場合、その時間数と金額が明示されていなければ実質的な時給が大きく変わる可能性もあります。
面接・内定時の口頭確認事項
求人票の内容に疑問点がある場合は、面接の場で遠慮なく質問することが大切です。
具体的な内容を直接聞くことで、採用担当者の説明と求人票の差異を事前につかめます。
内定後には、労働条件通知書や雇用契約書の内容が求人票の説明と一致しているかを書面で照合することが重要です。
口頭の説明はあくまで参考であり、契約として効力を持つのは書面に記載された条件です。
確認項目の早見表
確認すべき項目とタイミングを表にまとめました。
求人票と面接の双方でチェックを行うことで、情報の精度を高めることができます。
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自分の希望条件を伝える求人票と給料が違う場合に関するよくある質問
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求人票の内容と実際の労働条件が異なると気づいたとき、感情的に動くより書面の確認と対話を優先することが状況を好転させます。
労働契約書や労働条件通知書を手元に置き、記載内容と実態のずれを具体的に示せる状態にしてから会社側に説明を求めると話し合いがスムーズです。
それでも解決しないときは、ハローワークや労働基準法に基づく相談窓口を利用することも一つの方法です。条件の食い違いは、早い段階で気づくほど対処の余地が広がります。
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