飲食店の正社員がきついといわれる理由
飲食店勤務がきついと言われることには、主に体力面やメンタル面の負担が大きいことが挙げられます。また、正社員として働くことにはさまざまな責任があり、それに伴った苦労を感じることも少なくないはずです。
飲食店の正社員がきついといわれる理由を、詳しく見ていきましょう。
体力を使う
飲食店の仕事は、常に店内を歩き回ったり、調理の手を動かし続けたりと、体力を必要とする場面が多く存在します。
お店が忙しいときはもちろんですが、空いている時も立ちっぱなしで待機していることがほとんどでしょう。それが続くことで、体力的にきつい・つらいと感じることがあるようです。
労働時間が長い
飲食店の場合、開店時間にあわせて勤務時間が決まります。モーニングの時間からディナータイムまで営業しているお店で勤務する場合は、労働時間が長くなる場合があるでしょう。お店が混んでいると、仕事を終えるタイミングが見つけられず、残業せざるを得ない状況に陥ることもありそうです。
特に正社員であれば、店舗の責任者として勤務していなければならない時間が長く、ワークライフバランスの取りづらさを感じることが多いかもしれません。
業務の範囲が広い
飲食店の正社員は、店舗運営に関するすべての役割を担うことが一般的です。例えば、接客や調理といった業務の他、食材の発注や従業員のマネジメント、売上の管理などさまざまです。このように多岐にわたる業務を理解し、対応することが求められます。
また、店舗の売上を伸ばすことも正社員が持つ重要な役割です。チェーン店などでは、本部から厳しいノルマを与えられ、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
勤務日・勤務時間が不規則になりがち
飲食店の仕事は、シフト制で勤務することがほとんどです。
日勤の日があれば夜勤の日もあるなど、働く時間は日によって異なります。勤務時間内に長い休憩時間のある「中抜け勤務」がある飲食店も少なくありません。
勤務時間にばらつきがあることで生活が不規則になりやすく、身体や心を休ませにくいという大変さがあります。早朝や深夜など、普通の人が休んでいる時間帯に働くことも、大きな負担になるでしょう。
さらに正社員は、アルバイトやパートの従業員が欠勤した際の穴埋めとして出勤するということも考えられます。生活リズムが整えられず、きつい・つらいと思ってしまうこともあるでしょう。
賃金が低い
働く職場や役職にもよりますが、飲食店は賃金が低い傾向にあります。
2023年の平均賃金を見てみると、全産業の平均賃金が月31万8300円であるのに対し、宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は月25万7400円でした。この賃金には宿泊業界などに勤務する方や、パート・アルバイトとして働く方の賃金も含まれていますが、業界全体の傾向として、やはり賃金は低い方だといえるでしょう。
給料面に対する不満が生まれやすく、余計にきつさを感じるのではないでしょうか。
連休が取りにくい
先述した通り、飲食店はシフト制を採用している職場がほとんどで、連休を取りにくい傾向にあります。特に正社員の場合は、店舗を監督する責任があったり、欠勤者が出た時の対応が必要になったりするため、まとまった休みを取ることは困難かもしれません。
また、飲食店が忙しくなるのは世間の休日です。土日祝だけでなく、ゴールデンウィークや年末年始などの期間も出勤することが多いでしょう。友人やパートナー、家族と予定を合わせにくいということも、飲食店の正社員が感じるきつさではないでしょうか。
人間関係に気を遣う
人間関係に気遣いが必要なのは、どの職種でも同じことです。しかし、飲食店のようにチームワークが重要な職場では、特に気を遣うのではないでしょうか。
スタッフ同士の人間関係に亀裂が入ると、業務が滞ったり報連相が欠けたりと、仕事に支障が出てしまいます。正社員という立場であれば、店舗のスタッフ全員の関係性に気を配る必要があり、精神的なつらさを感じやすいかもしれません。
クレーム対応がある
接客業にはクレームがつきものです。日々、物事に対する考え方や価値観が異なるお客様と接していれば、時には注意を受けたり文句をつけられたりすることもあるでしょう。飲食店はお客様の入れ替わりが多く、さまざまな人がやってくるため、クレームを受ける頻度も高くなりがちです。
そして、パートやアルバイトの従業員では解決できない重大なクレームが発生した場合、対応するのは正社員であることが多いでしょう。
最近では「カスタマーハラスメント」が問題視されるなどサービス業のあり方も変わりつつありますが、クレーム対応を「きつい」と感じている飲食店の正社員は少なくないかもしれません。
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飲食店の正社員でもきつくない職場はある?
飲食店で働いている方の中には、きつい職場に就職・転職したことで、大変と感じている方もいるかもしれません。しかし、飲食店の正社員として、無理なく働ける職場もあるはずです。
「これから飲食店の正社員として働きたい!」「働きやすい飲食店に転職したい」という方に向けて、きつい職場を避けるためのポイントを見ていきましょう。
求人情報の内容をよく確認する
仕事を探す際に求人情報を見ることは基本中の基本ですが、働きやすい職場を見つけるためには書いてある内容をよく確認することが重要です。
飲食店の正社員の求人を見るときは、以下の点を特に意識するとよいでしょう。
(2)有給消化率などの働き方に関する具体的な情報があるか
(3)抽象的な言葉ばかりが書かれていないか
給与を低いと感じるときだけでなく、あまりにも高く設定されていると感じる場合にも注意が必要です。仕事がきつすぎるため、賃金を上げることで正社員の定着をはかっているのかもしれません。
また、ワークライフバランスを重要視するのであれば、有給休暇の消化率など、具体的な情報が載っているかどうかを確認しましょう。有給休暇が付与されていても、多忙だったり人材不足だったりすると、現実的に有給休暇が取れないということがあるためです。
そして抽象的な言葉ばかりが並んでいる求人情報にも注意が必要です。「具体的なことを書くと応募者が集まらない……」といった理由で実態をぼかして書いている場合があります。
求人情報をよく読んで、自分がいきいきと働いている姿をイメージできるかどうかを考えてみてくださいね。
店舗に足を運んでみる
可能であれば、実際に店舗を利用してみるのもよいでしょう。
飲食店は、身近で手軽に利用できる施設です。 スタッフや店内の様子を直接見ることで、求人情報からは読み取れないリアルな企業の情報を得られるかもしれません。
入社後に「思っていたイメージと違う……」と、後悔するリスクも減らせるはずです。
企業を知っている人に聞いてみる
企業の説明会がある場合は、積極的に参加しましょう。その場で出会った社員の方に直接聞くことで、有益な情報を得られるはずです。
このとき、社員の方の表情などにも目を向けてください。従業員が生き生きしている企業であれば、社員からの満足度が高い企業である可能性が高く、大変なことを聞いてもしっかりと答えてくれるかもしれません。
企業について知っている人と話す機会がないときは、転職エージェントが役に立ちます。転職エージェントは企業の内情をある程度把握しているので、求人票からは読み取れない情報を教えてもらえる場合があります。
SNSや口コミサイトで情報が見つかることもありますが、事実と異なる情報が書かれていたり情報が古かったりということも考えられます。鵜呑みにせず、参考程度にチェックすることがおすすめです。
面接官をよく観察する
威圧的な態度を取っていないか、不適切な発言をしていないかなど、面接官の人柄を意識して見てみましょう。
企業の不利益になる態度を取っている面接官であれば、その企業にはブラックな要素があるのかもしれません。面接官の態度が悪いからといって確実にブラック企業とは限りませんが、社員の態度は企業の体質を判断する材料のひとつとして有効です。
よい職場を見つけるためにも、信頼できそうな面接官かどうかを探ってくださいね。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
きついから辞めたい……。飲食店の正社員経験をいかせる転職先は?
「飲食店の仕事が合わない」「ずっと忙しくてきつい」といった理由で、飲食店の正社員を辞めたいと考えている方もいるでしょう。
飲食店での正社員経験をいかせる転職先を見ていきましょう。
販売店スタッフ
飲食店の正社員として働いてきた方であれば、お客様の様子をよく観察するスキルが身についているのではないでしょうか。そのスキルは、販売店の仕事でいかせるはずです。
特定の商品を買うためにやってきたのか、店員のアドバイスを必要としているのか、気ままに商品を見て回りたいのか。お客様の様子からニーズを察知し、適切な接客ができることでしょう。
営業職
営業職も、飲食店の正社員経験をいかしやすい職業です。
営業職は、お客様のニーズに対して自社の製品やサービスを売り込み、売上に貢献する仕事です。「ただ商品を売り込む仕事」と思われがちですが、ターゲットとなる顧客をしぼり、お客様の課題を解決できるように準備しなければなりません。
営業職の仕事は、高いコミュニケーションスキルが求められます。うまくコミュニケーションを取れるかどうかが商談の結果を決めるカギとなるためです。
飲食店の正社員として働き、培ってきた対人スキルで、スムーズに商談をこなせるかもしれません。
食品メーカー
食品メーカーでは、調理の経験がある方を募集していることが多く見受けられます。そのため、飲食店で調理に携わってきた方は経験をいかせるかもしれません。仕事では、食品の企画や製品開発、開発した商品の工程マニュアルの作成といった業務を担います。
調理師としての知識だけでなく、マーケティングの観点で物事を考える力も求められます。「店舗の売り上げを伸ばす」ということに注力してきた方であれば、経験をいかして働けるのではないでしょうか。
ホテル・旅館
ホテル・旅館にはさまざまな職種が存在しますが、どの職種もお客様を第一に行動しています。
高度な接客スキルが求められたりハイレベルな調理技術が必要であったりと、最高峰のサービスを提供するため、常に向上心を持って働かなければなりません。
飲食店の正社員として調理のスキルを磨いてきた方や、責任を持ってお客様対応にあたってきた方であれば、ホテル・旅館でもその能力を発揮できるはずです。
飲食店の正社員から宿泊業界に転職したい方はおもてなしHRにご相談ください!
飲食店の正社員は「自分の責任でお客様においしい食事を提供する」「店舗運営に携われる」といった魅力のある仕事です。しかし「あまりにも仕事がきつくてつらい……」という場合は転職を検討してもよいでしょう。
前述のとおり、経験をいかせる転職先としてはホテルや旅館もおすすめです。宿泊業界への転職に興味のある方は、おもてなしHRにご相談ください。