飲食店の正社員はきつい?辞めたい理由7選と経験を活かせる転職先を紹介

忙しい女性

飲食店の正社員として働くなかで、「きつい」「このまま続けて大丈夫なのか」と感じている方は多いのではないでしょか。

長時間労働や休日の少なさ、給料への不満など、その背景にはいくつかの業界特有の構造があります。

この記事では、飲食店の正社員がきついといわれる代表的な理由を整理したうえで、現職を続ける場合の対処法と、飲食経験を活かせる転職先の選択肢の両面から解説します。

今の働き方に疑問を感じ始めた方が、次の一歩を判断するための材料にしてください。

この記事でわかること
  • 飲食店の正社員がきついといわれる理由がデータでわかる ▼詳細
  • 飲食経験がどの業界でどう評価されるかがわかる ▼詳細
  • 「きつさ」の原因が体力・待遇・精神のどこにあるか10問で自己診断できる ▼詳細

飲食店の正社員がきついといわれる7つの理由

飲食店の正社員は「やめとけ」「底辺だ」といった厳しい声を目にすることがあります。実際に飲食店の正社員を辞めたいと感じている方も少なくないでしょう。

こうした声の背景には、個人の能力や努力では解決しにくい、業界全体の構造的な問題があります。ここでは、代表的な7つの理由を見ていきましょう。

1.長時間労働と不規則なシフト

飲食店の正社員がきついと感じる最大の理由のひとつが、労働時間の長さです。

開店前の仕込みに始まり、ランチ営業、ディナー営業、閉店後の片付けまでを含めると、1日の拘束時間が12時間を超えることも珍しくありません

さらに、通し営業の店舗やピーク帯が昼夜にまたがる業態では、シフトが不規則になりがちです。

深夜帯の勤務が続けば生活リズムは崩れ、体力的な消耗も大きくなります。

サービス残業が常態化しているケースもあり、ワークライフバランスを保つことが難しい環境といえるでしょう。

2.慢性的な人手不足による業務負荷

飲食業界は離職率が高い業界として知られています。

人手不足が慢性化している現場では、ひとり当たりの業務量がどうしても増えてしまいます。

調理・接客・レジ対応・清掃といった本来複数人で分担する業務を、少人数で回さなければならない日も少なくありません。

スタッフが一人でも欠勤すると、残ったメンバーにその分の負荷が集中します

こうした状態が日常化すると、「いつ楽になるのか」が見えないまま疲弊していくことになります。

3.休日の少なさと有給休暇の取りづらさ

飲食店の正社員にとって、休みが少ないことは切実な問題です。

土日祝日や年末年始、ゴールデンウィークといった世間の休日はむしろ繁忙期にあたるため、家族や友人との予定が合わず、プライベートの時間が確保しづらい傾向があります。

実際に、厚生労働省「令和7年 就労条件総合調査」によると、「宿泊業・飲食サービス業」(両業種が合算されたカテゴリ)の年次有給休暇取得率は50.7%で、全16産業のなかで最も低い水準です。

飲食サービス業単体の数値ではないものの、全産業平均の66.9%と比較しても大きな開きがあります。

年間休日数が少ないうえに有給休暇も取りづらい環境では、心身ともにリフレッシュする余裕が持てず、「きつい」と感じるのは自然なことです。

4.仕事量に見合わない給料水準

長時間働いているにもかかわらず、給料が見合わないと感じる飲食店の正社員は多いでしょう。

厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、宿泊業と飲食サービス業を合算した「宿泊業・飲食サービス業」カテゴリの所定内給与額(月額)は269,500円で、全産業のなかで最も低い水準です。

最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」の437,500円とは、月額で約17万円もの差があります。

参考として、前年(令和5年)の同調査を独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が解説した資料でも、「宿泊業・飲食サービス業」は259,500円で、「金融業・保険業」の393,400円などと大きな差があることが示されています。

この水準は年単位で継続しており、業界構造として定着している課題といえます。

長時間労働に加えてサービス残業が発生している場合、実質的な時給はさらに低くなります。

手取りが増えにくい現実は、飲食店の正社員を辞めたいと感じる大きな要因のひとつです。

5.クレーム対応の精神的な負担

飲食店で発生するクレームのなかでも、アルバイトスタッフでは対応しきれない重大なケースは正社員が引き受けることになります。

料理の提供ミスや待ち時間への不満だけでなく、ときには理不尽な要求や感情的な叱責を受けることもあるでしょう。

こうしたクレーム対応は、精神的なストレスが大きく、対応後もしばらく気持ちを引きずってしまうことがあります。

正社員として「最後の砦」の役割を担い続けることは、想像以上に心を消耗させる要因です。

6.職場の人間関係とスタッフマネジメントの難しさ

飲食店は限られたスペースのなかでスタッフが長時間いっしょに働くため、人間関係のストレスが生じやすい環境です。

忙しい時間帯に余裕がなくなると、些細なことで衝突が起きることもあるでしょう。

さらに正社員の場合は、アルバイトスタッフのシフト管理や教育も担います。

しかし飲食業界はスタッフの入れ替わりが激しく、せっかく育てた人材が短期間で辞めてしまうことも珍しくありません。

そのたびに一から教え直す負担は、精神的にも時間的にも大きなコストとなります。

7.キャリアパスの見えづらさ

飲食店の正社員には、店長やエリアマネージャーといった昇進ルートが用意されていることが多いものの、実際にはポストの数が限られている場合もあります。

「頑張っていればいつかは報われる」と思いながらも、具体的な時期や条件が示されないまま年数だけが過ぎていくケースも見受けられます。

また、「飲食しかやったことがない」という不安感から将来の選択肢が狭く感じられ、このまま続けていいのかと悩む方も多いでしょう。

飲食店の正社員に将来性がないとまでは言い切れませんが、キャリアの先が見えづらいことが「きつい」と感じる大きな要因となっています。

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飲食店の正社員として働くメリット・やりがい

スケッチブックに書かれた電球とMERITyumeyume / stock.adobe.com

ここまで飲食店の正社員のきつさを見てきましたが、一方で、この業界だからこそ得られるメリットや、やりがいがあることも事実です。「飲食店の正社員は楽しい」と感じている方がいるのには、きちんとした理由があります。

若いうちから店舗運営や経営に関われる

飲食店の正社員は、売上管理・原価管理・人員配置といった店舗経営の中核に若いうちから携われる点が大きな強みです。

他業界であれば管理職にならなければ触れないような経営判断の場面に、20代のうちから向き合える環境は貴重といえるでしょう。

また、飲食業界は実力主義の傾向が強く、年齢や社歴に関係なく昇進のチャンスが得られる職場も少なくありません。

自分の実力でキャリアアップを目指したい方にとっては、やりがいの大きい業界です。

接客・マルチタスクなど汎用性の高いスキルが身につく

日々の業務で培われるコミュニケーション力、臨機応変な対応力、チームワークといったスキルは、飲食業界に限らず幅広い業界で通用する「ポータブルスキル」です。

忙しい現場を回すなかで自然と身につくマルチタスク能力は、同年代のほかの業界の社員にはない強みになり得ます。

これらのスキルがどのような業界で評価されるかについては、後述の「飲食店の正社員経験を活かせる3つの転職先」で詳しく解説します。

お客さまの反応を直接感じられる

「おいしかった」「また来るね」というお客さまの言葉をダイレクトに受け取れることは、飲食店ならではのやりがいです。

自分が考えたメニューや接客の工夫が、目の前のお客さまの笑顔や感謝として返ってくる体験は、デスクワーク中心の仕事ではなかなか得られません

このやりがいがあるからこそ、きつい環境のなかでも仕事を続けられているという方は多いのではないでしょうか。

\そのスキル、宿泊業界でも求められています/

宿泊業界の仕事をのぞいてみる

飲食店の正社員が「きつい」と感じたときに試したい対処法

pointと書く手元と文房具78art / stock.adobe.com

飲食店の正社員を辞めたいと思い始めたとき、すぐに退職を決断する必要はありません。まずは自分の状況を整理し、段階的にできることを試してみましょう。

自分の「きつさ」の原因を分類する

「きつい」「つらい」と感じているとき、その原因は複数の要素が絡み合っていることがほとんどです。

まずは、自分の不満が体力面(長時間労働・不規則シフト)、待遇面(給料・年収・休日)、精神面(人間関係・クレーム対応)のどこに集中しているかを整理してみましょう

漠然とした不満を言語化するだけでも、「何を変えれば改善するのか」が見えてきます。

次のセクションで紹介するセルフチェックも、原因の整理に役立つのでぜひ活用してみてください。

職場内で改善を相談する

原因が特定できたら、まずは現職のなかでできる改善を検討しましょう。

上司やエリアマネージャーへのシフト調整の相談、業務分担の見直しの提案など、職場内で動ける範囲は意外とあるものです。

大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。

「こんなことで相談していいのか」と思う方もいるかもしれませんが、正社員が疲弊して離職すれば店舗運営にも影響が出るため、まともな職場であれば相談を受ける体制があるはずです。

働きやすい飲食店へ転職する

相談しても改善が見込めない場合は、同じ飲食業界のなかでより働きやすい職場へ移るという選択肢があります。

飲食業界はひとくくりに語られがちですが、実際には企業や店舗によって労働環境は大きく異なります

転職先を探す際は、年間休日数、シフト体制、残業時間の実態、研修制度の有無といった項目を求人情報で必ず確認しましょう。

「飲食業界だからどこも同じ」と思い込まず、比較検討することが、きつさから抜け出す第一歩になります。

飲食店の正社員経験を活かせる3つの転職先

「飲食店の正社員は向いてないかもしれない」と感じたとしても、それは飲食業界の労働環境が合わなかっただけで、あなた自身の能力が否定されるわけではありません。飲食店で身につけたスキルは、異業種でも高く評価されるケースが多くあります。ここでは、飲食経験との親和性が高い3つの転職先を紹介します。

1.宿泊業界(ホテル・旅館)

飲食店の正社員経験を最も活かしやすい転職先のひとつが、宿泊業界です。

ホテルや旅館では接客スキル、クレーム対応力、シフト管理の経験がそのまま即戦力として評価されます。

さらに、飲食部門を持つ宿泊施設では、調理経験も直接活かすことができます。

レストランや宴会場を備えたホテル・旅館であれば、飲食店での経験がダイレクトに役立つ場面は多いでしょう。

飲食業界と同じ「おもてなし」を軸とする業界でありながら、福利厚生や年間休日がしっかり整備されている施設も多く、ワークライフバランスの改善を目指す方にとっても有力な選択肢です。

2.販売・サービス職

アパレルや雑貨、家電量販店などの販売職も、飲食経験を活かせる転職先です。

お客さまのニーズを観察し、適切なタイミングで声をかけるスキルは、飲食店のホール接客で日々磨いてきたものと共通しています。

対面でのコミュニケーション力を武器に、接客の経験者として優遇されるケースもあるため、未経験業界であってもハードルは比較的低いといえるでしょう。

3.営業職

飲食店で鍛えた対人スキルやヒアリング力は、営業職にも転用できます。

お客さまの要望を聞き取り、最適な提案を行うというプロセスは、飲食店での接客と本質的に近い部分があります。

また、飲食店の正社員として売上目標や原価率と向き合ってきた経験は、営業職における数値目標の管理と高い親和性があります。

「飲食しかやったことがない」と不安に感じる方も、日々の業務で培ってきた力は営業の現場で十分通用するものです。

\接客も調理経験も活かせる宿泊業界!/

どんな働き方があるかプロに聞いてみる

あなたの”きつさ”はどのタイプ? 飲食店の働き方セルフチェック

checkをさす指78art / stock.adobe.com

飲食店の正社員を辞めたいと思いつつも、「本当に辞めていいのか」「ただの甘えではないか」と迷っている方は多いのではないでしょうか。漠然とした不安のまま悩み続けるよりも、自分の「きつさ」がどこから来ているのかを具体的に把握することが、後悔のない判断につながります。

以下のセルフチェックで、まずは自分の状況を客観的に確認してみましょう。

🔍 あなたの”きつさ”はどのタイプ?
飲食店の働き方セルフチェック

当てはまる項目にチェックを入れて数えてみましょう!

体力・労働時間の問題

待遇・将来性への不満

精神面・人間関係の問題

▼ 当てはまった数の結果をタップ! ▼

☑ チェック 0〜3個 だった方

【一時的な疲労】タイプ

繁忙期や一時的な業務負荷による疲れの可能性が高いです。まずは休息の確保やシフト調整の相談など、現職内での改善を試みる余地があります。

📝 対処法をチェックする

☑ チェック 4〜6個 だった方

【環境ミスマッチ】タイプ

今の職場固有の問題(人員体制・経営方針・待遇など)が原因の可能性があります。同じ飲食でも環境が大きく異なる職場は多いため、働く場所を変えることで解消できるケースも。異業界も視野に入れて情報収集を始めるのも一つの手です。

\経験が活きる職場、探します/
アドバイザーに相談してみる ▶︎

☑ チェック 7〜10個 だった方

【業界構造との不一致】タイプ

個別の職場の問題を超え、飲食業界の労働構造自体が合っていない可能性があります。飲食で培った接客力・マネジメント経験は他業界でも評価される強みであり、異業界への転職も現実的な選択肢になります。

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大切なのは、「辞めるか・続けるか」の二択に自分を追い込まないことです。

「現職のなかで環境を改善する」「同じ飲食業界でより働きやすい職場へ移る」「飲食経験を活かして異業界へ転職する」という3つの選択肢があることを知っておくだけでも、気持ちに余裕が生まれるはずです。

心身に明らかな影響が出ている場合は、無理に我慢を続けず、早めに行動に移すことが重要です。

飲食店の正社員がきついといわれることに関するよくある質問

Q.飲食店の正社員がきついのは自分だけですか?

A.

個人の問題ではなく、長時間労働・人手不足・休日の取りづらさといった業界全体の構造的な課題が背景にあります。厚生労働省の調査でも「宿泊業・飲食サービス業」の有給休暇取得率や賃金水準は全産業中で最も低い水準にあり、きついと感じること自体は自然なことです。
Q.飲食店の正社員を続けるメリットはありますか?

A.

若いうちから売上管理・原価管理・人員配置など店舗経営に関わる経験を積める点は、他業界の同年代にはない強みです。実力次第で年齢に関係なく昇進できる傾向があり、将来的に独立やマネジメント職を目指す方にとってはキャリアの土台になり得ます。
Q.飲食店の正社員を辞めたら、ほかの業界で通用しますか?

A.

飲食店で培った接客力・クレーム対応力・チームマネジメント経験は、販売職や営業職、宿泊業界など多くの業界で評価されるポータブルスキルです。「飲食しかやったことがない」と感じている方も、スキルの言い換え次第で選択肢は広がります。
Q.飲食店の正社員を辞めるとき、円満に退職するにはどうすればいいですか?

A.

まずは直属の上司に口頭で意思を伝え、退職希望日の1〜2カ月前を目安に申し出るのが一般的です。繁忙期を避ける配慮や、引き継ぎ事項を整理して伝えることで、職場との関係を大きく損なわずに退職しやすくなります。
Q.飲食から未経験の業界へ転職する場合、何から始めればいいですか?

A.

まずは自分の飲食経験を「どんなスキルとして言い換えられるか」を整理することが第一歩です。ひとりでの棚卸しが難しい場合は、業界に詳しい転職エージェントに相談することで、自分では気づいていなかった強みや適性のある職種を客観的に把握できます。

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飲食店の正社員がきついと感じる背景には、長時間労働・低賃金・人手不足といった業界構造の問題があります。

それは個人の甘えや努力不足ではなく、多くの飲食店の正社員が共通して直面している課題です。

現職のなかで環境を改善する方法もあれば、同じ飲食業界で働きやすい職場へ移るという選択肢もあります。そしてもうひとつ、飲食経験を活かして異業界へ転職するという道もあります。

なかでも宿泊業界は、飲食店で培った接客力・調理経験・チームマネジメントのスキルとの親和性が高く、経験をそのまま活かせる転職先として注目されています。

「おもてなしHR」は宿泊業界に特化した転職支援サービスです。

飲食業界からの転職を検討している方も、宿泊業界に詳しいアドバイザーが経験やスキルの棚卸しからサポートします。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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出典:令和7(2025)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省 出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況/厚生労働省 出典:産業別、企業規模別にみた賃金―令和5年賃金構造基本統計調査結果から/独立行政法人労働政策研究・研修機構
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