新しい働き方「ワーケーション」の事例をご紹介！

働き方が多様化する中で注目を浴びているワーケーション。「ワーク（仕事）」と「バケーション（休暇）」を組み合わせた言葉のとおり、リゾート地や地方などで休暇を過ごしながら、働く時間も確保するという仕組みです。実際に導入している企業は、生産性の向上や従業員のモチベーションの向上といった効果を感じているようです。ワーケーションの導入事例、ワーケーションを誘致している自治体の事例をご紹介します。

注目を集めるワーケーション

ワーケーションとは、「ワーク（仕事）」と「バケーション（休暇）」を組み合わせた造語。休暇で訪れた観光地などで、旅行を楽しみながら仕事をするという、新しい働き方・旅のスタイルなのです。ワーケーションとはどのような働き方なのか、リモートワークとの違いはどこにあるのかをご紹介します。

ワーケーションとは

ワーケーションでは、旅行や休暇中の一部の時間に仕事をします。もともとは、アメリカで始まったものと言われています。休暇を過ごす場所で、休暇を兼ねて仕事をするという働き方のほか、リゾート地にあるオフィスで仕事をしたり、施設を指定したりすることをワーケーションと呼ぶこともあります。

リモートワークとの違い

新型コロナ感染拡大防止のため、オフィスから離れた場所で働く「リモートワーク」を導入している企業が増えています。出勤せずに勤務するという働き方ではありますが、会社から認められた特定の場所で働くことが一般的です。また労働時間は通常の勤務時間と変わらないことが多いようです。

リモートワークは、オフィス内や通勤電車での密を避けられるという効果が期待できるほか、コスト削減や人材確保に対するメリットもあります。さらに、時間や場所に捉われない柔軟な働き方ができることで、ライフスタイルの変化があっても仕事を続けやすくなります。

一方のワーケーションも、出勤が必要ないという点ではリモートワークと同様です。大きな違いは、会社や居住地から離れた旅先などでも仕事ができるということ。また、休暇中の一部の時間を仕事に充てるため、労働時間にも制約がないことがほとんどです。一部の企業では、リモートワーク時の勤務場所や労働時間に制限を設けていないこともあります。そのような場合は、大きな違いはないと捉えられることもあるようです。

ワーケーションを導入した企業の事例

実際にワーケーションを導入した企業の事例をご紹介します。

大手航空会社

社内の有給休暇取得率がアンバランスだったことから、有給休暇率の改善を目的にワーケーションを導入した大手航空会社。2017年に、休暇型のワーケーションを導入し、休暇中のリモートワークを可能にしています。休暇型とすることで休暇の時間を多く取るような工夫がされています。

これまでは、休暇復帰後に業務がたまってしまうことへの不安感や、長期休暇を取得することへの抵抗感が、有給休暇取得を妨げていました。不安が軽減されたことで、有給休暇取得率も向上したようです。

大手旅行会社

大手旅行会社では、ホノルルにある支店内にワーケーション用のスペースを設置。休暇を利用してハワイを訪れた従業員だけでなく利用客の利用も可能にすることで、ワーケーションの普及にもつなげています。

海外だけでなく、沖縄にも同様の施設を展開しています。非日常が味わえる開放的なスペースでの仕事は、新しいアイディアがうまれるなどの声もあります。

大手銀行

国内にある自然豊かなリゾート地に保養所を持つ大手銀行。一部にワーケーション専用のオフィスを設け、休暇中でも仕事をすることを認めています。休暇を使って家族と一緒に訪れることも可能です。

自然を感じる環境の中で仕事ができるだけでなく、家族との時間も十分に確保できるという点でも従業員に好評です。

ワーケーションの誘致に取り組む自治体の事例

ワーケーションでは、企業と自治体が連携をとることもあります。自治体が用意した施設を利用してもらうことで、観光需要にも効果があるようです。ワーケーションの誘致に積極的な自治体についてご紹介します。

北海道

北海道では道内の自治体と協力しながら、独自のワーケーションプランを作成。道内に点在する複数のサテライトオフィスを活用しながら、美しい自然環境や美味しい食、多彩なアクティビティなど北海道ならではの魅力を楽しむ。参加者の多様なニーズにオーダーメイドで対応するプランです。

北海道だからできる「北海道型ワーケーション」として積極的な誘致・展開に努めています。専用のポータルサイトやSNS、ワンストップ窓口も用意されています。

長野県

長野県では、信州ならではの魅力を感じながら働く「信州リゾートテレワーク」を提案。ワーケーションに必要な県内宿泊費を支援する制度として、信州リゾートテレワーク実施支援金も用意しています。

ドロップインで利用できるコワーキングスペースや仕事環境が整備された旅館・ホテルが県内各地に用意されています。温泉やスキー場などの観光資源も豊富なため、休暇を存分に楽しむこともできます。

ワーケーションのメリット

ワーケーションのメリットはどのようなところにあるのでしょうか。企業・働き手にとってのメリットをご紹介します。

休暇取得率の向上

福利厚生に連休取得制度があったり、有給休暇が余っていたとしても、なかなか長期で休暇を取得するというのは難しいもの。休み明けの業務量に不安があったり、周囲に迷惑をかけてしまわないかと考えたり、休みたいという気持ちだけでは動けないものです。

不安な気持ちを抱えたまま休暇を取得しても、思う存分楽しむことはできません。休暇中の数日または数時間を仕事に充てることができれば、そのような不安は解消されるため、前向きな気持ちで休暇が取得できます。

パフォーマンスの向上

普段とは違う場所と時間での仕事は、いつもより意欲的になることも。リゾート地などで過ごす場合は、非日常を味わいながらストレスなく働くことができそうです。

休暇中で気が緩んでしまわないのか？と不安に感じる人もいるかもしませんが、実際にはパフォーマンスが向上したという意見が多いようです。ワーケーションでは仕事とプライベートのメリハリが促進され、効率を意識した働き方ができるため、生産性の向上も期待できます。

採用力の強化

注目されているとはいえ、ワーケーションを導入している企業数は決して多くありません。

求職者の関心を集めることで、採用力が強化されることもあるでしょう。

ワーケーションは柔軟で自由な働き方を実現するものです。働き方改革が進む中で、どのような働き方が出来るかという点に関心を持つ求職者は増えています。新しい働き方を積極的に導入している企業という印象を与えることができれば、応募者の獲得にもつながるでしょう。

ワーケーションは新しい働き方の選択肢

ワーケーションを導入している企業では、従業員の心身に対する効果があったという声もあります。従業員のモチベーションの向上、生産性の向上は、企業にとっても非常にメリットが大きいものです。

新型コロナの影響で、生活様式は大きく変化しました。働き方だけでなく、働き続けることについても、考えることも多くあったはずです。ワーケーションは、そんな新しい生活様式にマッチした働き方のひとつなのです。仕事を継続しながら、休暇も楽しめる。生産性と心身の健康が両立できる働き方として、今後さらに浸透していくのではないでしょうか。

ワーケーションはホテル・旅館にとっても宿泊客増加へのチャンスでしょう。仕事環境が整備されていれば、ワーケーションの地として利用されることも考えられます。新しい働き方に合わせた、新しいホテル・旅館の使い方が提案できれば、企業へのアピールにもつながるかもしれません。