宿泊需要は回復傾向にあるにもかかわらず、深刻な人手不足により予約の受け入れを制限せざるを得ない事態が続いています。
現場業務の負担増と採用難が重なり、経営継続の限界から廃業を検討するケースも少なくありません。
しかし、安易な廃業判断は数千万円単位の損失につながるリスクがあります。
この記事では、ホテル・旅館の廃業に伴う複雑な手続きやコストの現実を解説するとともに、経営を維持・再建するための現実的な手段を紹介します。
この記事のポイント
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✔廃業は多額の現金流出を伴う最もコストの高い出口
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✔廃業コストの一部を採用に回すことが、再建への最短ルート
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✔自力での採用が困難な今、業界特化の支援を活用することが存続の鍵
2026年現在、ホテル・旅館の廃業が増加している3つの原因
宿泊需要が回復し、観光地に活気が戻っている一方で、なぜ廃業を選択する宿泊施設が後を絶たないのでしょうか。
そこには、単なる客数不足とは異なる、2026年現在ならではの深刻な3つの背景があります。
1.ゼロゼロ融資の返済本格化
コロナ禍を乗り切るために活用したゼロゼロ融資の返済猶予が終わり、いよいよ元本の返済が本格化しています。
ここで今、宿泊業界で深刻化しているのが、手元資金があるうちに幕を下ろす静かな退場(あきらめ廃業)です。
帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年)では、休廃業する企業の黒字割合が初めて5割を下回りました。
これは、かつての余裕があるうちの廃業から、物価高や返済負担により先行きの希望を失ったことによる廃業へと質が変化していることを示しています。
どれだけ集客しても利益が残らない構造に限界を感じ、心身ともに疲弊した経営者が「これ以上傷口を広げたくない」と決断するケースが後を絶ちません。
2.物価・人件費の同時高騰
運営コストの急激な上昇も、経営を厳しく追い込んでいます。
食材費や光熱費、リネン代といった諸経費の高騰は、宿泊施設の固定費をダイレクトに圧迫し続けています。
さらに、最低賃金の引き上げが追い打ちをかけています。厚生労働省の発表どおり賃金水準が底上げされたことで、パート・アルバイトに頼る現場運営はコストの限界に達しました。
宿泊単価への転嫁が追いつかない施設では、稼働を上げるほど利益が削られる負の連鎖に陥っており、経営を維持する意欲を根本から削いでいます。
3.人手不足による黒字廃業
そして、今の宿泊業界で最も深刻なのが人手不足による黒字廃業です。
ニーズはあるのに清掃や配膳スタッフが確保できず、稼働率をあえて5割程度に抑える機会損失が常態化しています。
東京商工リサーチのデータでも、赤字ではなく「運営体制が整わない」ことを理由とした廃業が目立ちます。
利益を取りこぼし、現場の負担だけが増す中で、余力があるうちに幕を下ろすという、本来回避できたはずの決断を迫られているのです。

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ホテル・旅館の廃業と倒産・休業の違い
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一口に「店を閉める」と言っても、法的な手続きやその後の資産状況によって、取るべき選択肢は大きく異なります。
まずは、それぞれの言葉の定義と特徴を整理して把握しましょう。
事業を停止する際、特に注意したいのは、廃業と倒産は一度手続きを行うと原則として後戻りができないという点です。
現在の悩みが「客足はあるのにスタッフが足りない」という一点にあるならば、安易に廃業届を出すのは得策ではありません。
固定資産税などの維持費は発生しますが、まずは「休業」を選択し、その間に採用体制を整えて再起を図るのが賢明な判断といえます。
ホテル・旅館を廃業するために必要な手続きと費用
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廃業は「明日から営業をやめる」と決めるだけでは終わりません。法的な責任を清算するためには、多大な労力と時間を要する煩雑な手続きが待っています。
【法人・個人別】廃業手続きの具体的な流れ
運営形態が法人か個人かによって、踏むべきステップや直面するリスクは大きく異なります。
法人経営の場合
法人をたたむプロセスは非常に重く、思い立ってすぐに辞められるわけではありません。主な流れは以下のとおりです。
- 株主総会での解散決議:事業を廃止し、会社を解散することを正式に決定
- 解散・清算人の登記:法務局にて、会社を整理する役割の清算人を登記
- 官報公告:債権者保護のため、国の機関紙である官報に2カ月以上の掲載が義務
- 清算結了登記:すべての債務・財産を整理し、ようやく法人として消滅
このように、最短でも2〜3カ月の期間を要するだけでなく、法的な専門知識が必要なため、司法書士や税理士といった専門家の介入が不可欠となります。
個人経営の場合
個人事業主の場合は、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」や「青色申告取りやめ届」などを提出することで手続きを進めます。
法人と比較すれば事務的な手間は少ないですが、見過ごせないのが連帯保証債務のリスクです。
事業用の借入金において経営者本人が連帯保証人となっている場合、廃業してもその債務はそのまま個人に残ります。
手続きの早さに反して、返済義務という重い負担がつきまとう点には十分な注意が必要です。
廃業にかかる見えないコストと金銭的負担
廃業は、単に収入が途絶えるだけではありません。
むしろ、事業を終わらせるために多額の持ち出し(現金)が必要になるのが宿泊業界の厳しい現実です。
▼ 廃業費用の内訳
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項目・対象 |
内容と注意点 |
|---|---|
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解体・処分費 法人・個人 |
建物を更地にする解体費用は規模により数千万円になることも。産業廃棄物処理代も別途発生。 |
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従業員への 法人・個人 |
30日分以上の「解雇予告手当」や退職金の清算など、最後にまとまった現金が必要。 |
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資産価値の 法人・個人 |
「廃業前提」とみなされると足元を見られ、売却時に相場より安く買い叩かれるリスクあり。 |
|
登記・ 法人 |
登録免許税や官報掲載費に加え、司法書士・税理士への代行報酬(数十万円〜)が発生。 |
このように、廃業には想像を絶する経済的負担がかかります。
特に宿泊施設の場合、大型の建物や厨房設備の処分だけで、手元の現預金がすべて消えてしまうケースも珍しくありません。
\廃業手続きは想像以上に高コスト/
無料相談で再建の道を探る人手不足で廃業するのはもったいない。ホテル・旅館の経営を立て直す具体的な方法
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「人さえいれば続けられるのに」という思いがあるなら、数千万円の現金を失う廃業届を出す前に、経営を立て直すための選択肢を整理すべきです。
人手不足という壁を乗り越え、事業を存続させるために検討したい3つの具体的なアプローチを解説します。
DXと業務整理による「少人数運営」
まず着手すべきは、PMSや自動チェックイン機の導入による業務の効率化です。
予約管理や記帳などの事務作業を機械に任せることで、限られた人的リソースをおもてなしの核である接客や料理へ集中させることが可能になります。
機械化はあくまで補助であり、本来人が担うべきサービスへ再配置することが少人数運営を成功させる鍵です。
これにより、スタッフの負担を減らしながら満足度の高い運営を維持する道が開けます。
廃業コストより安い「採用への再投資」
廃業を決断した際に流出する数千万円の損失(解体費や補償金)に比べれば、採用にかかるコストは圧倒的に安価です。
| 🔵 廃業を選択 | 🟢 採用・再建 |
|---|---|
|
費用の目安
1,000万〜
5,000万円超 |
費用の目安
100万〜
300万円程度 |
|
内容
解体費、解雇予告手当、清算費用
|
内容
求人広告費、紹介手数料、DX導入
|
|
資産の行方
すべて消失し、
負債が残るリスク |
資産の行方
稼働率回復により
将来の利益を生む |
廃業して数千万円を捨てるのであれば、その数分の一の費用で優秀な人材を3〜5名確保するほうが、遥かに経済合理性が高いと言えます。
人員が揃い、現在の50%程度の稼働率を80〜90%まで引き上げることができれば、採用投資はわずか数カ月で回収可能です。
ターゲットに届く「求人媒体の見直し」
地方の旅館に人が来ないのは、求人情報がターゲットに届いていないだけの可能性があります。
大手総合サイトは都市部の案件に情報が埋もれやすいため、宿泊業への意欲が高い層が集まる特化型媒体の活用が不可欠です。
移住希望者や接客のプロを目指す層へ直接アプローチすることで、採用効率は劇的に向上します。
「人が来ない」と諦める前に、業界に特化した専門エージェントへ相談し、募集方法を最適化することが先決です。
廃業届を出す前に。宿泊業界専門の採用支援で探る存続の道
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廃業届を提出し、長年守ってきた暖簾を下ろす決断はいつでもできます。
しかし、もし「良い人材さえいれば続けたい」という思いが少しでもあるのなら、最後に一度だけ、業界のプロに今の悩みを預けてみませんか。
定着率を高める特化型エージェントの活用
おもてなしHRは、宿泊業界特有の事情を深く理解した人材のみをご紹介する専門エージェントです。
中抜け勤務や寮生活、地域特有の働き方をあらかじめ承知している方をご紹介するため、ミスマッチによる早期離職のリスクを最小限に抑えることができます。
また、採用が決定するまで費用が発生しない完全成功報酬型を導入。
廃業にかかる莫大なキャッシュアウトのリスクとは対照的に、無駄なコストをかけず、安全に再建の第一歩を踏み出すことが可能です。
再建の糸口が見つかるおもてなしHRへの無料相談
おもてなしHRは全国の温泉地や観光地で多数の支援実績があり、一般的な求人媒体では決して届かない宿泊業を志す層への強力なルートを持っています。
いきなり契約を考える必要はありません。まずは「今の条件で本当に人は来るのか?」「近隣の宿はどうやって人を確保しているのか?」といった現状の診断を無料で承ります。
その客観的なデータを知るだけでも、廃業以外の道が見つかるはずです。
数千万円の支出を確定させる前に、まずは存続の可能性をプロと一緒に探りましょう。
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おもてなしHRに相談してみるホテル・旅館の廃業に関するよくある質問
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ここでは、ホテル・旅館の廃業に関するよくある質問をまとめました。
借金が残っている状態でも廃業はできますか?
従業員への解雇通告はいつまでに行うべきですか?
建物が老朽化していますが、売却は可能ですか?
廃業を回避し、おもてなしHRの採用支援で経営を立て直そう
廃業は、長年守ってきた事業を終わらせるだけでなく、多額の現金を失う極めて重い決断です。
もし、現在の行き詰まりが人手不足によるものなら、その廃業費用を存続のための採用に充て、現場を立て直す選択肢を検討してください。
「おもてなしHR」は全国約5,000施設が利用する宿泊業界特化の採用支援サービスです。
登録者の約6割が業界経験者で、20代〜30代の若手から調理・管理職候補まで幅広く対応しています。
地方採用や移住希望者へのアプローチも強みとしており、専門アドバイザーが貴社の状況に合わせた最適なプランを提案します。
「人が来ない」と諦める前に、まずは現状の診断からお気軽にご相談ください。
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今すぐ採用支援を依頼する出典:2025年(令和7年)の全国企業倒産1万300件/東京商工リサーチ出典:全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年)/帝国データバンク出典:「物価高」倒産動向調査(2025年)/帝国データバンク出典:地域別最低賃金の全国一覧/厚生労働省出典:法人の廃業にかかる費用とは?廃業の流れ、解散・倒産・破産との違いを解説/日本M&Aセンター出典:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続/国税庁


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