採用戦略に必要なフレームワークとは?
フレームワークは、「枠組み」や「構造」、「型」などという意味を持ち、マーケティング戦略や企業戦略を立てるうえでよく使われる言葉になっています。
枠組みが決まっているため汎用性が高く、手順に従えば解決法が見えてくるということから、戦略立案に有効と考えられている手法です。もちろん、フレームワークを採用戦略に活かすこともできます。
では、どのフレームワークを用いれば採用戦略を効率的に組み立てることができるのでしょうか。採用戦略にまつわるフレームワークの情報をまとめましたので、戦略立案にお役立てください。
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採用戦略にフレームワークを用いるメリット
ビジネスの世界で使用されることの多いフレームワークですが、採用戦略を立てる際に使用することで、どのようなメリットを受けられるのでしょうか採用戦略でフレームワークを用いるメリットをご紹介します。
採用活動を効率的に行うことができる
前述の通り、フレームワークはテンプレートに沿った思考法です。型が明確になっているため、思考に無駄な時間を要しません。
採用戦略は、多くの要素を組み合わせて設計する必要がありますが、フレームワークを用いることである程度簡略化できます。ひいては、戦略立案の時間短縮・コスト短縮に繋がることでしょう。
公平・公正な採用選考ができる
フレームワークを用いて採用戦略や採用基準を設計すれば、自社の強みや弱みなどの答えが明確化されます。導き出した答えが1つに定められるのです。
採用戦略設計時に明確となった答えと考え方に沿って、採用担当者は採用活動を行うことになりますが、1つに定められた指標をもとに全員が動くことになるため、採用担当者ごとのブレが生じにくくなります。これは、公平で公正な採用選考の助力にもなることでしょう。
雇用のミスマッチを防止できる
フレームワークの使用は、採用戦略の設計プロセスから結果までの共通認識ができると同時に、採用担当者によってブレが無い採用選考ができることに繋がります。これは、本質のブレない採用活動と言い換えることができるでしょう。
本質のブレない採用活動を行えば、雇用のミスマッチは少なくなるはずですよね。つまり、雇用のミスマッチの最大の防止策は、徹底した戦略設計にあるのです。
もし、雇用のミスマッチに悩む企業があれば、フレームワークを取り入れ、採用戦略を練り直してみるのも良いかもしれません。
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採用戦略のフレームワーク1:3C分析
ここからは、採用戦略の設計に使えるフレームワークをご紹介します。まずは、環境分析の際に用いられる「3C分析」についてみていきましょう。
3C分析は、マーケティング分野で用いられることが多いフレームワークです。下記の「C」の頭文字を取り、「3C」と表現されています。
- ・Customer:市場・顧客
- ・Competitor:競合他社
- ・Company:自社
採用戦略では、Customerは「求職者」や「就活・転職活動市場」、Competitorは「自社と採用活動で競合になり得る企業」、Companyは「自社」に当てはめて考えるのが良いでしょう。
求職者のニーズや今後の市場の移り変わりを中心に、自社の企業理念やビジョン、ビジネスの仕組みと競合他社のそれを比較する際に非常に役立つフレームワークです。自社の立ち位置を明確にすることが、採用戦略設計の第一歩となります。
3C分析では、大きな枠で捉えたうえで、具体性のある例を挙げることが重要です。自社の売上・売上推移・取引先数・従業員数などの自社情報と他社情報、また採用戦略の観点で言えば自社の立地や掲載している求人サイトの数などを比較してみても良いかもしれませんね。
採用戦略のフレームワーク2:SWOT分析
「3C分析」を用いて自社の立ち位置を明確化した後には、「SWOT分析」でより細かく自社を分析していくのがおすすめです。
SWOT分析は3C分析同様、下記のそれぞれの頭文字を組み合わせてできたフレームワークとなっており、採用戦略目標の設定に役立ちます。
- ・Strength:強み
- ・Weakness:弱み
- ・Opportunity:機会
- ・Threat:脅威
フレームワークを行う流れとしては、まず国内の就職・転職活動の市場や業界内で見た時の、自社の強みや弱みを列挙することから始まります。これは専門用語で「内部環境」と呼ばれます。
わかりやすい所で言えば、他社と比較して残業が少ない、入社半年での昇格実績があるなどは、強みとして捉えて良い特徴です。
内部環境の整理を終えたら、外部環境の整理に移りましょう。Opportunityは「自社と求職者の接点」、Threatは「自社のみでの変化させることが難しい脅威」と捉えてください。
求職者との接点は、ホームページのみでの求人情報の提供のみ、脅威は競合他社のリファラル採用や求人サイトの多様化などと考えることができます。ここまで整理ができれば、自然と採用戦略の目標は見えてくるはずです。
採用戦略のフレームワーク3:4C分析
「4C分析」とは、顧客を中心として考える分析方法の1つです。下記の「C」の頭文字を取り、「4C」と表現されていますが、自社の立ち位置の決定に使用した前述の「3C分析」とは全く異なるフレームワークなので注意してくださいね。
- ・Customer Value:顧客にとっての価値
- ・Cost:顧客の負担・犠牲
- ・Convenience:顧客の利便性
- ・Communication:顧客との対話・コミュニケーション
4C分析を採用戦略設計で用いる際には、「求職者が自社に入社するメリット」はCustomer Value、というように顧客を全て「求職者」に置き換えればわかりやすいでしょう。
ConvenienceとCommunicationの扱いが難しいと感じる企業は、それぞれ「求職者が採用活動を行ううえでの利便性(発信される情報・連絡手段・選考方法など)」、「選考実施中のコミュニケーション」と捉えるようにしてください。
採用活動を具体的に考えていくで、便利なフレームワークになっています。採用選考は時代によって変化させることが重要ですので、現在の採用活動を振り返り、必要に応じブラッシュアップさせていってくださいね。
採用戦略のフレームワーク4:その他の分析法
採用戦略の設計に役立つ3つのフレームワークをご紹介しましたが、実際に採用活動を進めていく中で役立つ分析法は他にも存在します。採用活動を実施する際に役立つ3つの分析法をご紹介しますので、採用活動自体にお悩みの企業はぜひ取り入れてみてください。
求人募集時に使える「ペルソナ設計」
求人募集開始の際に重要となるのが、ペルソナの設計です。ペルソナとは、具体的なユーザー像のことを指す言葉で、採用戦略においては「より具体的にした求める人物像」と意訳することができます。ターゲットよりも狭義なものと捉えてください。
例えば、ターゲットを「来年度に学校を卒業をする20代」と設定したとします。いわゆる、新卒採用です。「コミュニケーションスキル」と「高い挑戦心」を併せ持つ、という条件も加えたターゲットを設定したとしましょう。
ターゲットの設定ができたら、ペルソナを考えていきます。仮に外資系ホテルでホテルマンを採用したいということであれば、「国際学部出身」、「接客業のアルバイト経験あり」、「体力に自信あり」、「多趣味」、「TOEIC600点以上」などがペルソナの設定となります。
ペルソナの方がより具体的だとおわかりいただけたはずです。ペルソナを設定すれば、社内で求める人物像のズレが少なくなるため、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
面接時に使える「STAR分析」
- ・Situation:状況
- ・Task:課題・役割
- ・Action:行動
- ・Result:結果・成果
上記の頭文字を取ったものが「STAR分析」であり、採用面接時に非常に使い勝手が良い分析法です。チームワークという採用基準の見極めを例にとって、説明していきますね。
- 「チームで目標達成をしたという経験を教えてください」(Situation)
- 「あなたはそのチームでどんな役割でしたか?」(Task)
- 「なぜその役割を担ったのですか?」「具体的な行動を教えてください」(Action)
- 「その中で学んだことはありますか?」(Result)
このように、S・T・A・Rの順に質問をすることで、応募者の見極めを行うことができるのです。会話を掘り下げていくうえでも便利な思考法になりますので、部下の教育などにも応用することができるでしょう。
一連の採用活動後に使える「PDCA」
採用活動は、決して1度では終わりません。採用に力を入れている企業であれば、年に何度も採用活動を実施したり、中には通年採用を行っているという企業もあることでしょう。
ここで重要となるのが、1度定めた採用活動に固執せず、適宜振り返りを行うことで、次の採用活動をより良いものにするという姿勢です。そこで用いられるのが「PDCA」という思考サイクルです。
- ・Plan:計画
- ・Do:実行
- ・Check:評価
- ・Action:改善
採用活動では、戦略設計(Plan:計画)と、採用活動(Do:実行)は必須でしょう。ただし、実行後にしっかりと評価をし、改善へと繋げるというPDCAで言う所のCとAの流れを組み込んでいる企業はそう多くないかもしれません。
しかし、PDCAのサイクルは、回せば回すほど行動の質が上がると考えられていますので、一定人数の採用ができたタイミングや、四半期に1度のタイミングで採用活動のPDCAを回しているという企業もあるようです。
これは、採用活動以外でも使用できる、ビジネスでの汎用性が高い思考法となっていますので覚えておいて損はありません。行動を細かく細分化して、適宜振り返りを行い、より効率的な採用活動を目指してみてはいかがでしょうか。
宿泊業でも採用戦略のフレームワークを用いるべき?
フレームワークは、業界・業種に関わらず、どの採用戦略にも用いることができます。そのため、宿泊業界の採用戦略でも、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
ただ、いきなり採用戦略の設計でフレームワークを用いるのは少々ハードルが高いという企業の人事・採用担当もいるはずです。そんな時はまず、思考の分析を定着させるために、PDCAを取り入れるところからはじめてみましょう。
応募者への連絡業務の時間削減、求人サイトからの応募者数増などは、積極的にPDCAを回していただきたい採用領域の業務です。
PDCAはどんな些細な業務にも使用することができますので、まずは部内でフレームワークに関わる思考法を定着させたうえで、採用戦略の設計に反映させればスムーズに進むはずです。
採用戦略にフレームワークは重要!
フレームワークを用いなくても、採用戦略は設計することができます。しかし、フレームワークを用いることで効率的な採用が可能になったり、雇用のミスマッチ防止にまで繋がる可能性もあるなど、メリットは計り知れません。
ですので、少しでも興味があるという企業の人事・採用担当者がいるのであれば、ぜひ使用を進めてみてはいかがでしょうか。
またご紹介の通り、採用活動に重要なのは入念な事前準備です。準備が不足していては、いざ求人募集を開始しても応募が集まりません。そんな悩みを抱えている人事・採用担当者であれば人材紹介会社のアドバイザーへ相談するのも一つの手です。
当サイト「おもてなしHR」では、宿泊業界の求人掲載をはじめ、人材紹介を行っています。アドバイザーに相談することによって、俯瞰して自社を評価することにも繋がるかもしれませんので、外部の方に意見を聞いてみたいという方はぜひお気軽にご相談くださいね。