就活を成功させるための経験や、憧れの職業を体験できることを求めて、学生がインターンシップに参加することがメジャーとなっています。人手不足や採用難に悩む企業には、より優秀な人材を確保するため有効な手段として活用されています。今後、インターンシップの受け入れや見直しを検討しているホテルのために、重視すべきポイントをご紹介しますので参考にしてみてくださいね。

ホテル業界がインターンシップを活用すべき理由

ホテル業界は慢性的な人手不足が課題とされているので、多くのホテルでは効率的な採用活動で人材を集めることが必要になっているはずです。

そこでフル活用していただきたいのが、学生を対象としたインターンシップですが、社会人ではない学生をインターンシップとして現場に受け入れることは、とても労力のいることですよね。

しかし、インターンシップの経験が学生の志望度に大きく影響し、相対的にそのホテルへの志望度が上がりやすくなっているのです。

学生のホテル業務への理解も深まるだけでなく、インターンシップに選考を兼ねることも可能です。優秀な学生がいれば、本選考よりも前にインターンシップの段階から、どの企業よりも先にアプローチすることができます。

一部企業によっては、高校生や大学1～2年生のインターンも受け入れている場合もあり、早目に人材確保や企業理解の場として活用している例もあります。

学生が魅力を感じるインターンシップをつくるには？

インターンシップを受け入れるには、学生が魅力を感じる場を用意しなければなりません。ポイントをおさえ、ぜひ役立ててみてくださいね。

競合他社と差別化する

はじめに、インターンシップの受け入れでは、競合他社との差別化を考える必要があるでしょう。

インターンシップを受け入れている企業は自社だけでなありません。ですので、まずは「自社だからこそできることは何か」を整理してみてください。

大半の学生はインターンシップに参加することで「自分を成長させ、この経験を就活に役立てたい」と考えています。それを踏まえ、学生が求める体験や挑戦の場をつくるという意識を持つことが大切です。

比較的、ホテル業界のインターンシップでは、他業種よりも実践的なインターンシップを用意しているところが多いようです。実践的な業務を体験・挑戦させることに加え、社員の生の声を聞かせることで、学生の志望度をより高めるということを重視しましょう。

ターゲットとなる人材を明確にする

インターンシップを受け入れる際は、ターゲット層を明確にしましょう。

採用活動でもターゲットを具体化しますよね。インターンシップも採用活動の一種だと考えるならばターゲット層を作らず、やみくもに活動していると労力だけがすり減る意味のないものになってしまいます。

そのため、インターンシップでもターゲット層を設定することは、とても重要だと言えるでしょう。学生を集める媒体も多種多様で、得られる効果もさまざまです。WEBサイトや人材紹介会社などの力を借りる場合は、慎重に選ぶようにしましょう。

採用コストもかかるので、自社と合ったものだけを運用していくようにしてくださいね。

粘り強く継続的に学生と関わる

もし、インターンシップで自社に合った人材と出会えたならば、継続的にその学生と関わっていきましょう。

なぜなら、せっかく原石を発見できたのにインターンシップが終わってから本選考までに時間が空いてしまい、その間、関わりを絶ってしまえば他社に優秀な人材を流出させてしまう原因になるからです。

優秀な人材の確保につながらなければ、不本意な結果となってしまいますよね。通常は夏から秋にかけてインターンシップを開催し、本選考は2～3月に開始します。その約半年間、粘り強く、継続的に学生との関わりを保ってください。

継続的に学生と関わる工夫ができれば、優秀な人材を採用できる可能性が大きく広がりますよ。

ホテルのインターンシップにはどのくらいの期間を設ければいい？

インターンシップ自体は短期のものから、長期のものまで用意されています。

短期型は2・3日から一週間のものが多く、ホテルの課題解決や戦略などを考えるグループワーク形式ものが多いようです。まれに一日のタイプもあり、企業への理解を促すワークショップ形式をとるものもあります。

長期型は2週間以上のもので、実際に現場の業務にあたることが多いようです。参加する学生は実際に部署に配属され、お客様対応や客室清掃をしたりなど、ホテルで働く感覚を体験することができます。

ホテル業界がインターンシップをするならば、長期型のほうが向いているでしょう。

ただでさえ、ホテル業界は離職率の高い業界です。「ホテルで働く」ということを、学生により近い形で体験してもらい、そのうえで社員がホテルで働く魅力を学生にプレゼンすることで、志望意欲を高めるほうが入社後のミスマッチも起きにくいでしょう。

学生が社員に憧れを持って入社してくれると、業界の理想と現実にギャップを感じたり辛いことがあっても、簡単に退職するという可能性は低くなります。

ホテルがインターンシップ中に重視すべきポイントとは

インターンシップは選考も兼ねて行いたいホテルがほとんどでしょう。その際には、学生に業務を教えることなどに加え、重視すべきポイントがありますのでご紹介します。

コミュニケーション能力があるか

ホテルはサービス業ですので、コミュニケーション能力があるかどうかは重要なポイントです。

また、今後は海外のお客様との円滑なコミュニケーションを行うためにも、語学力の有無も重視したいポイントとなる可能性があります。英語のほか、最近では中国語や韓国語も重視しているホテルもあるようです。

語学力があるかどうかは必須とまではいきませんが、コミュニケーション能力を判断する一つの材料としてみても良いかもしれません。

周囲を観察する力はあるか

ホテル業界はホスピタリティの精神がとても重要です。

インターンシップを行うにあたって、学生にお客様を気遣う姿勢がみられるかどうかなども重視しましょう。また、まだホテルの業務を理解できずとも、困っているお客様に率先して声をかけられるかも大切なポイントです。

他のスタッフと協力して仕事ができるか

インターンシップでいくら優秀な人材を発見しようとも、個人プレーが目立つ学生には注意が必要です。

ホテルの職種はさまざまですが、どの職種もお客様をもてなすということが根底にありますよね。ホテル全体でお客様をもてなすためには、職種を超えて協力していかなければならない場面がたくさん出てくるでしょう。

しかし、そのような連携体制をいつまでも理解せずに業務をこなす学生は、ホテル業務に向いていない可能性が考えられます。

社会人としての自覚が感じられるか

インターン中、学生の社員に対する言葉遣いや、話をするとき・聞くときの態度も重視してください。

もちろん協力することができるのは大切ですが、なれなれしい態度をとるようでは社会人としての意識に欠けています。社員との距離感を上手に保ち、仕事であるという意識を失っていないかというポイントも重要です。

また、約束の時間の15分前には到着することができるなど、時間を厳守できることも必要なポイントです。さらに、身だしなみや、業務中は携帯やスマホを見ずに電源を切るなど、マナーが徹底されているかも確認しましょう。

最近ではスマホを使ってメモをとる学生も増えているようですので、ホテル側で問題だとされる行為については注意するようにしてください。

守秘義務を守れるか

ホテル側がインターンを受け入れる際、学生がホテルの情報を守れるかどうかも忘れてはなりません。インターンシップ中、問題やトラブルが起きやすい事項が守秘義務です。

昨今ホテル業界に限らず、守秘義務を守ることができない学生が増え、その影響で被害が多く出ています。インターンシップの受け入れでは、ホテルの業務内容や内部事情のことを人に気軽に話したり、SNSに投稿しないかを確認する必要があるでしょう。

インターンシップを行う前に、ホテル側から事情を説明し、場合によっては書類に署名させることも考えたほうが良いでしょう。

ホテルでインターンシップを活用する注意点

インターンシップ中は、学生をホテルのスタッフとして捉えましょう。お客様からみれば、ホテルのスタッフであることには変わりません。その意識の有無でホテルのサービスを維持できるだけでなく、学生の社会人としての意識も芽生えさせ、よりよい体験をしてもらうことができるのです。

また、業務中は学生につける担当を一人だけにするのではなく複数のスタッフを用意しておきましょう。お客様からのお問い合わせや、他業務で急用ができたときもスムーズに対応することができます。

インターンシップの段階では、自社の魅力を存分に伝えることが最重要です。それができないインターンシップは意味がないといっても過言ではありません。採用を成功させるためには、学生に参加したいと思ってもらえるような内容を用意し、ターゲット層にうまく訴求することが大きな秘訣なのです。

インターンシップの活用が確実な人材獲得につながる

なかなか自社に合った優秀な人材を確保できないとお悩みのホテルも多いでしょう。しかし、インターンシップを活用すれば、新卒の本選考前に優秀な人材を採用するためのアプローチすることができるのです。

たしかに、普段の忙しいホテル業務に加え、学生の面倒をみなければならないことを考えると倍の負担がかかってしまいます。ですが、学生のインターンシップを受け入れることで、新たな課題が発見でき業務の改善につながったり、採用活動も効率的に行うことができるので、それ相応の効果を得られることを期待できます。

この機会にインターンシップの受け入れを始めてみたり、企画の見直しなどをしてみると良いかもしれませんね。