外国人の方が日本でのキャリアの安定を目指すなかで、永住権と定住権はどちらも就労制限なしで働けるため、違いが分かりにくいと感じている方も多いようです。
永住権は「期間の制限なく一生涯日本に住める資格」であり、社会的信用の面でも優位です。一方で、定住権は特別な事情をもつ方に認められる在留資格であり、数年ごとの更新が必須となります。
この記事では、永住権と定住権の申請を検討している方が、自分の生計や家族の状況に応じてどちらを選ぶべきか、主要な6つの違いを表で比較し、分かりやすく解説します。
今回紹介する情報を参考に、永続的な安定につながる最適な永住許可ルートを見つけましょう。
永住権と定住権の決定的な違いは「在留期間」
永住権(永住者)と定住権(定住者)のもっとも重要で分かりやすい違いは、「在留期間」です。この期間の違いは、日本での生活における精神的な安定感に大きく影響します。
永住者(永住権)は、在留期間の制限がありません。在留資格そのものの更新手続きが不要になることで、数年ごとに必要となる入管への出頭や書類準備の負担から解放されます。
一方、定住者(定住権)は在留期間が最長5年などと制限があり、更新手続きが必須となります。
期限が来る前に必ず更新の申請を行う必要があり、その際には生計維持能力や素行などの再審査もあるため、永続的な安定がない点が大きな懸念となるでしょう。

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永住権と定住権の具体的な6つの違い
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永住権と定住権の違いは在留期間だけではなく、日本での社会的信用や、家族の在留資格にも違いがあります。以下は、特に知っておくべき6つの違いを比較表でまとめたものです。
| 比較ポイント | 永住権(永住者) | 定住権(定住者) |
|---|---|---|
| 1.在留期間 | 無期限(一生涯) | 制限あり(最長5年、1年など) |
| 2.在留期間の更新 | 不要(在留カードの更新は7年ごと必要) | 必須(期限前に更新手続きが必要) |
| 3.就労・仕事の制限 | 制限なし | 制限なし |
| 4.取得条件 | 原則10年以上の在留、生計の安定、納税義務の履行など | 法務大臣が認める特別な事情があること |
| 5.社会的信用度 | 金融機関からの住宅ローンなどで有利とされることが多い | ローン審査などで永住者より不利になる場合がある |
| 6.家族の在留資格 | 永住者の配偶者等として、家族の申請・許可が比較的容易 | 定住者の配偶者等として、家族の申請が可能だが、要件が永住者より厳しくなる場合がある |
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おもてなしHRに無料相談する1.在留期間
永住権と定住権の在留期間には、文字通り「永続性」という本質的な違いがあります。
永住権は、無期限で日本に在留でき、在留資格の更新に気を取られることなく、日本でのキャリアや生計の確立に集中できます。
一方で定住権は、在留期間が最長5年などと定められており、期間満了前に必ず更新手続きが必要となるため、在留資格が不安定になりがちです。
日本で働く外国人の方のなかには、安定したキャリアをもつ方もいるかもしれませんが、そのような方にとって更新の負担から解放されることが、永住権を取得する最大のメリットといえるでしょう。
2.在留期間の更新
在留期間の違いから、更新手続きの必要性にも差が出ます。
永住権は、在留資格そのものの更新(審査)は不要であり、7年ごとの在留カードの更新のみで済みます。
しかし定住権の場合は、在留期間の満了前に、生計維持能力や素行などを含めた資格の継続審査を受ける必要があります。
この審査は、失業や収入減などの状況によって資格が取り消されることもあるため、定住者には永住者ほど在留の安定性が高くない店に注意が必要です。
3.就労・仕事の制限
どちらの在留資格も、就労に制限がないという点では共通しています。
永住権も定住権も、就労活動に一切の制限がないため、日本のどのような仕事にも時間制限なく就くことができます。たとえば、IT企業のSEからホテル業界への転職も、在留資格の変更手続きなしに可能です。
しかし、定住権は更新の際に「安定した生計」が審査されるため、失業中や転職活動中のリスクが永住権をもつ方より高いことが挙げられます。
永住権は、失業しても即座に在留資格を失うリスクが低いため、仕事を自由に選べることに加え、仕事を失う不安がないという精神的な安定にもつながるでしょう。
4.取得条件
永住権と定住権の性質を決定づける大きな違いは、取得条件です。
永住権の要件は、原則10年以上の継続在留、生計の安定、素行の善良さなど、日本への高い貢献度が求められます。
これは、日本社会の一員として永続的に暮らしていくだけの能力を自力で築いた証明となります。
定住権の要件は、「特別な事情」(例:日系2・3世、日本人配偶者との離婚・死別後の継続在留など)に基づき、法務大臣の裁量で許可されることです。
つまり、定住権は「特定の身分に基づく特例的な資格」であり、永住権は「日本での安定性を自力で築いた資格」だといえるでしょう。
5.社会的信用度
永住権は、社会的信用を高めるうえで極めて重要な要素です。
永住権は、在留期間が無期限であるため、「将来的に日本を離れるリスクが低い」と金融機関から判断され、住宅ローンや各種融資の審査で圧倒的に有利になる傾向があります。
これは、生計の安定と日本の身分をもつことの大きなメリットです。
定住権でもローンは組めますが、数年ごとの更新リスクがあるため、金融機関によっては審査が厳しくなったり、団信加入に制限が出たりする場合があります。
6.家族の在留資格
日本で生活基盤を築くうえで重要な、家族の帯同・申請についても違いがあります。
どちらの資格でも、配偶者や子などの家族を呼び寄せることは可能です。
ただし、永住権は日本の身分に基づく在留資格であるため、家族の配偶者等の申請における審査が、定住者の家族よりも比較的スムーズに進む傾向があります。
特に、親の呼び寄せなど、より難しい申請において、永住権が有利に働くケースがあるようです。
【ケース別】あなたが目指すべき在留資格はどちら?
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自分のキャリアと将来設計に基づき、永住権と定住権のどちらを目指すべきか考えてみましょう。
【安定したキャリアと日本での定住を望む場合】目指すは「永住者」
たとえば安定した生計があり、日本語能力やキャリア面で不安がない場合は、迷わず永住権の取得を目指すべきでしょう。
先ほど紹介したように、永住権は在留期間が無期限となり、更新の負担から完全に解放されます。また、住宅ローンなどの社会的信用の面でも、永住権が圧倒的に有利です。
仕事の選択肢も広がり、日本の身分をもつことでキャリアの安定も図れます。
【特別な事情があるが永住権の条件を満たさない場合】まずは「定住者」
日系人の方や、日本人配偶者との死別・離婚後で日本での生活継続を望む方など、「特別な事情」がある場合は、まず定住権の取得を目指すのが現実的です。
定住権は、将来的に永住権への移行を目指す際、通常の就労資格者が必要とする在留期間(原則10年)が5年に短縮される特例が適用されるなど、永住への特例的な足がかりとしての役割も果たします。
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経験を活かせる安定求人を専門チームに相談定住者から永住者へ|ステップアップの移行ルート
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定住権の資格を有している場合でも、将来的には永住権への移行が可能です。ここでは、定住権に適用される永住許可の特例と、申請で重要視されるポイントを解説します。
永住権移行の基本ルートは「永住許可申請」
定住者が永住権を取得するための基本的なルートは、入国管理局への「在留資格変更許可申請」ではありません。
永住権を取得するには、ほかの在留資格とは異なり、原則として「永住許可申請」を行う必要があります。
申請方法としては、定住者として現在の在留期間が続いている間に、法務大臣に対して永住許可申請を行います。
前提条件として、定住者として在留している期間中に、素行が善良で、かつ独立した生計を営むに足りる資産または技能を有していることが求められることも忘れてはいけません。
定住者に適用される永住許可の「在留期間の特例」
永住許可を得るためのもっとも厳しい要件のひとつに「10年以上の継続在留」がありますが、定住者には以下の特例が適用される場合があります。
| 対象者 | 永住許可申請に必要な在留期間の特例 | 通常の要件 |
|---|---|---|
| 定住者 | 5年以上継続して在留していること | 原則10年以上(就労資格をもって5年以上、かつ直近5年継続して在留) |
| 日本人・永住者等の配偶者・子であった定住者 | 引き続き5年以上継続して在留していること ※現に最長の在留期間(3年または5年)を有していることが前提 |
特になし(身分系資格からの申請のため) |
定住者の場合は、一般の就労資格をもつ方が永住権を申請する際の10年という期間要件が、5年に短縮される特例があることは大きなメリットでしょう。
永住許可申請で特に重要視される3つの要素
定住者として5年の在留期間を満たしたとしても、永住許可を得るためには、以下の3つの要素が厳しく審査されます。
<素行の善良さ>
- 犯罪歴や交通違反の有無、納税義務の履行(所得税、住民税、年金、健康保険)などが徹底してチェックされる
- 特に年金と健康保険の「納付期限厳守」が、現在の永住審査でもっとも厳しくチェックされる点に注意が必要
<独立した生計の安定>
- 申請人自身または配偶者の資産や収入が、安定して生活していくのに十分であること
- 安定収入がある方は、この審査で大きなアドバンテージとなる
<国益への適合>
- 公衆衛生上の問題がないことや、日本の国益に反しないと認められることが必要
定住権の更新の手間や、社会的信用の面での不利を解消するためにも、これらの条件を満たしたら早めに申請を検討してもよいかもしれません。
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