「ホテルは社会に新たな選択肢を作れる」株式会社水星 代表取締役CEO/龍崎翔子さんへインタビュー

目次

    今回のインタビュイー

    龍崎翔子さん
    株式会社水星 代表取締役CEO / ホテルプロデューサー。
    ホテルビジネスの常識を捉えなおし、これまでにないホテルを次々とプロデュース。

     

    <プロデュースホテル例>
    泊まれる演劇…ホテルが舞台となり、宿泊しながら演劇を鑑賞することができるプラン

    詩のホテル…“詩に泊まる”というアイデアをかたちにした、“言葉の宿泊体験”を提供するプラン。詩人・最果タヒが書き下ろした詩をいたるところに散りばめられた部屋に宿泊できる

    HOTEL CAFUNE…出産後の母親の心身をケアして回復へ導いたり、育児に取り組む家族をサポートするための宿泊施設

    HOTEL SHE, OSAKA…全客室にアナログレコードプレイヤーが設置され、アーティストのギャラリーやイベントなど、出会いや交流の場にもなるホテル

     

    龍崎さんから見た「ホテル」とは?


     
    ホテルってすごくたくさんの可能性を秘めている空間だと思うんです。にもかかわらず、旅先の寝床としてしか機能させてないようなホテルが、すごく多いなと感じるんですよね。
     
    私の目から見たホテルは、自分の生活とは違う生活を追体験することができる、ライフスタイルを試着する箱でもあるし、その土地の空気感をお客様に対して表現できる空間でもあって、地域の空気感が織り込まれた場所でもあるし、人と人が出会うようなポジティブな予定不調和が生まれる場所でもあるんです。
     
    つまり、ホテルってメディアのような役割を果たすことができるんです。
     
    こんなさまざまな可能性がある中で、それが全く世の中に見出されていない「自分だったら、きっとその可能性をもっと広げられるのに」っていう気持ちが多分根底にあるんですよね。
     
    だからこそ、なるべくその地域の空気感みたいなものを反映させた、ちょっと異質な宿泊体験みたいなものを作りたいと思っています。
     
    別の目的地があってホテルに泊まるのではなくて、旅の目的地そのものになるような場所です。
     
    ホテルというものが、人の生活に入り込むシーン増やしていくということは、自分のやりたいことのひとつなのかなと感じます。

     

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    「ホテル」で、世の中に新しい選択肢を作る


     
    私や株式会社水星というチームがホテルを作る上で一番大きなモチベーションにしていることは、世の中に新しい選択肢を作ることにあると思っています。
     
    例えば、子どもを産んだときって、産院を退院して、すぐに自分の家で育児をするか、里帰りで実家に帰るかの二択が一般的ですよね。でも、そうではない第3の選択肢を作りたいという思いで、産後ケアホテルを作りました。
     
    選ぶのが難しいような選択肢しかない業界や領域、シーンって、いっぱいあると思うんです。それを少しでも潤していくことができる存在に、自分たちのホテルという場所がなったらおもしろいなということは、自分たちのホテルづくりの源泉ですね。
     
    同じ気持ちでホテルを作っている方は、あんまり見たことがないかもしれません。
     

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    地方創生のためにホテルが果たせる役割


     
    地方創生のためにホテルが果たせる役割は2つあるなと思っています。
     
    1つは、地元の人が気づいていない地元の良さとか、その土地の空気感をしっかり反映させたホテルを作ることです。それによって自分たちの街が客観的にどう見えているんだろうということを第三者の目線で見ることができて、且つ、感じることができる。ベンチマークのようなものがあるだけでも、地域への自己理解はすごく深まっていくと思うんですよね。
     
    その地域がどのように盛り上がっていくかということは、結局、そこで暮らす人々のシビックプライドがどう高まっていくかに100%依存しているといっても過言ではないと思います。自己認知のようなものをよりシャープにしていくという意味で、ホテルが担える役割なんですよね。
     
    もう1つは、やっぱりその地域のランドマークになること。
     
    「あそこには、あのホテルがあるから」という感じで、目的地としてそのホテルが成立することが大切なんですよね。周りの人から見ても、「あそこに行ったらこういう体験ができるんだ」とか、「この街って、こういうイメージなんだ」といった感覚が、どんどんシャープになっていくんです。
     
    いろいろな役割をホテルは果たせますが、特にこの2点が役割として大きいんじゃないのかなと感じています。

     

    これからの時代に求められる「ホテル」とは?


     
    私が今後やってみたいことで言いますと、それも2つあります。
     
    1つは、その地域の空気感のようなものや、そこにある風土・テロワールみたいなものを再解釈して、再構築して、宿泊体験に落とし込んでいくような、スモールラグジュアリーみたいなものを作っていくことです。
     
    日本は、今後どんどん人口が都市部に集中していくと思うんです。だけど、今までそれぞれの地域が持っていた空気感のようなものって、人がいなくなってしまうことでだんだん失われていくんですよね。
     
    でも、そういう地域が持っている誰かの日常こそが、最も濃厚な非日常だと思うんです。そういう曖昧な空気感のようなものを、お客さんにきちんと提供できるようなホテルを、引き続き作っていきたいです。
     
    もう1つは、生活とホテルをもっともっと近づけていくこと。
     
    ホテルって、一見「老若男女ウェルカムです」みたいな顔をしていながら、実はそうじゃないと感じています。見えない線を引いて、いろいろな人を排除してしまっているんですよね。
     
    前述した産後ケアホテルのように、生活の機能の一部を補完するようなホテルや、それに付随するようなものを作っていきたいです。実は、アイデアはすでにたくさんあります。その出しどころを見極めながら、仕込んでいっているという感じですね。

     

    理想の「おもてなし」とは?


     
    自分が旅をしているときに一番いいなと思う瞬間は、誰に話しかけられたわけではないけど、その空間の作り手の存在を感じるときなんです。お部屋だったりを通じて、コミュニケーションができる気がするような感覚。そういう瞬間が、本当に一番楽しいんです。
     
    そして、そこで働いている人の人格が、ちゃんと空間にしみこんでいるかというところも大事です。何かをしてくれた、とか、こんなに笑顔だったとか、そういう目に見えるおもてなしの向こう側に行きたいなということは、自分の中で目標として持っているように感じています。

     

    今後、宿泊業界を目指す方へ

     
    ずっと言ってきましたが、私は、ホテルってすごくおもしろい空間だと思うんです。
     
    数ある仕事の中で、ホテルや宿泊業界を選ぶということが、めちゃくちゃイケてる
     
    そのうえで、今あるホテルのあり方を踏襲していくだけではなくて、新しいホテルの在り方っていうものを、切り拓いていけるような役回りをしてくれる人がたくさん出てきたらうれしいです。
     
    それによって、日本で暮らす方の生活も、日本に旅しに来られる方の体験も、もっともっとよくなっていくんじゃないかなという風に思うので。お互い頑張っていきましょう。

     

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    今回のインタビューはYouTubeで動画でも公開中!
    ぜひ、空気感も含めて龍崎さんの紡ぐ言葉を感じてみてください。
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