2023年のホテル業界の動向を解説
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行によりホテル業界は大打撃を受けていました。
しかし、2023年になってアフターコロナに転換したことに伴い、旅行需要は急激に回復しています。ここでは、そんな2023年のホテル業界の動向を確認しておきましょう。
インバウンド増加
2022年10月に外国人観光客の個人旅行が2年半ぶりに解禁されて以降、今もなお日本には海外からの観光客が多く訪れています。
観光庁が公表した2023年9月分の宿泊旅行統計調査によると、ホテルや旅館、簡易宿所などを含めた宿泊施設に泊まった宿泊者数は5027万7890人で、そのうち外国人宿泊者数は953万4860人にも及ぶそうです。
ちょうど1年前の2022年9月分の宿泊旅行統計調査を確認してみると、このときの宿泊者数は2944万6540人で、そのうち外国人宿泊者数は41万190人でした。
個人旅行がまだ解禁していなかった時期とはいえ、2023年は前年の23倍の外国人観光客が日本に訪れていることがわかります。
また、JNTO(日本政府観光局)は2023年11月、10月の外国人観光客数が251万6500人と発表しました。この人数は、コロナ禍前の2019年同月を0.8%上回る数字だといいます。このことから、海外から日本への観光需要も平時に戻りつつあることが伺えるでしょう。
出典:宿泊旅行統計調査/観光庁
参考資料:10月の訪日客251万人、初のコロナ前超え 観光も正常化/日本経済新聞
全国旅行支援の影響で国内旅行者が増加
2022年10月に観光需要を喚起させるために政府が行った全国旅行支援の影響で、国内旅行者が増加しました。
この全国旅行支援とは旅行代金が割引されたり、宿泊するホテルのある県庁所在地で使える地域クーポンがもらえたりするなど、お得なキャンペーンのことです。
2023年になり旅行代金の割引率の引き下げなどはあったものの、まだまだ旅行支援を利用して旅行に訪れるユーザーは多いといいます。
人手不足は深刻化
インバウンドや旅行支援などの影響で宿泊者数を伸ばしている一方で、ホテル業界においては人手不足が深刻となっています。
もともと宿泊業は、コロナ禍以前から慢性的な人手不足が続いていました。その後、新型コロナウイルスの流行で休業を余儀なくされたのです。
コロナがいつ収束するかもわからない中、休業もいつまで続くか分からず収入が減り続ける状況から、生活を維持するために転職せざるを得ない状況となり、宿泊業から流出した従業員は多かったといいます。
しかし、旅行需要が急激に回復します。その結果、コロナ禍で流出した人材の補充が間に合わず、人手不足という環境のまま営業を続けているというホテルも少なくないようです。
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2024年の旅客数はコロナ禍以前の水準以上に回復するとIATAが予測
IATA(国際航空運送協会)は、今年の3月に世界の航空旅客数について最新の見通しを発表し、コロナ禍前の2019年対比で、2023年に94%、2024年に103%になると予測しました。
航空旅客需要が回復するということは、航空機を利用した旅行の需要が回復する可能性があるということです。
このような状況から、来たる2024年に向けてインバウンド対策やホテルの従業員を確保するなどの施策を早急に行う必要があるといえるでしょう。
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2024年以降にホテル業界が取り組むべき施策とは
一部の都道府県では、2023年11月以降も最長12月までと期間を延長して旅行支援を実施しているところがあります。
しかし、各都道府県で設定されている予算がなくなり次第で順次終了となっていることから、いつまでも支援をあてにするわけにはいかないでしょう。ここでは、2024年以降にホテル業界が取り組むべき施策を紹介します。
インバウンド対策
外国人観光客が増えているため、インバウンド対策が欠かせません。たとえば、外国人観光客向けのWebサイトを設計するなどが効果的です。
最近は、多くの外国人がインターネットを使って観光情報を収集しているといいます。英語や中国語、韓国語など多言語に対応したWebサイトを設計することで、ホテルへの集客につながる可能性は高くなるでしょう。
また、多言語に対応できるスタッフを確保することも忘れてはいけません。ホテルで多言語を話せるスタッフがいれば、今後も増加が見込まれる外国人観光客に向けて、充分なおもてなしができるでしょう。
人手不足の解消
ホテルに訪れるお客様に満足のいくサービスを受けてもらうためには、人手不足を解消することも大切です。
求人募集を出し、入職率を上げることも大事なことですが、離職率を抑え、これ以上の流出を防ぐ対策もしなければなりません。
そのためには、労働環境を改善したり、賃金や報酬などを見直したりするとよいでしょう。
SNSマーケティングを活用
少し前までは予約サイトでホテルを探し、条件に一致するホテルを予約するのが一般的でした。しかし、ここ最近は泊まりたいホテルをSNSで探す人が多いそうです。
SNSは写真や動画を気軽に投稿できるため、ホテルの情報を手軽にアピールすることができます。ターゲット層を意識した投稿を行い、宿泊者目線の情報を発信すれば、ホテルを探している人の目に留まる可能性があるでしょう。
リピーター特典を用意
ホテルに宿泊するリピーターを増やすためには、既存客に向けた特典を用意するのも効果が期待できるでしょう。
リピーターを確保するのに有効なのは、会員制度やメンバーカードを作るなどです。あわせて、継続して利用することでユーザー側にメリットがあるサービスを検討します。たとえば、3回宿泊すれば次回の旅行代金を何%引きにする、朝食や夜食のドリンクをサービスするなどです。
このような特典を受けることで、「もう一度利用してみよう」という宿泊者の気持ちも高まっていくはずです。
魅力的な宿泊プランを提供
ホテルに泊まってもらうためには、魅力的な宿泊プランを提供することも大切です。ホテル側が宿泊プランを設けると、ホテルの宿泊に付加価値がつくため、新たな集客の手段となります。
最近は、ホテルと企業が連携し、キャラクターやアニメなどの世界観を体感できるコラボルームを用意したプランを提供しているホテルが多いそう。
このような宿泊プランは作品の世界観を体感できる上、お得さも感じられるため、宿泊者にとって非常に喜ばれるプランとなるでしょう。
ホテル業界で働くなら業界の動向を知っておくことが大切
コロナ禍で大きな打撃を受けたホテル業界ですが、2023年現在、インバウンドや旅行支援の影響で国内外の旅行者が増えたことにより、回復傾向を見せています。
2024年もさらなる回復が予想されるので、インバウンド対策や人手不足を解消させるための施策が急務といえるでしょう。
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