食品衛生法改正による施設基準とは?
飲食による健康被害を防ぐ食品衛生法ですが、この法律は2021年6月に大幅な改正がおこなわれました。
食品衛生法改正に基づき、営業許可が必要な業種の経営を営む際は、都道府県から許可を得なければなりません。
そして、その営業許可を取得するためには、定められた施設基準を満たす必要があります。
営業許可が必要な業種とは、以下のような仕事です。
- ・飲食店営業
- ・飲食店営業(自動車)
- ・食肉販売業
- ・魚介類販売業
- ・食肉処理業
- ・菓子製造業
- ・そうざい製造業
これまで、業種別に施設基準が定められていましたが、同じ業種であっても自治体によって基準が違うという事態が起こっていたようです。
負担の差をなくすために、厚生労働省は2021年の法改正で基準を改善。全国の経営者が、平等にこの施設基準をクリアしなければなりません。
また、施設基準には「共通施設基準」と「個別施設基準」があります。
次の項目で詳しく紹介しますので、それぞれ確認していきましょう。
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食品衛生法改正①:共通施設基準
共通施設基準とは、一部を除くすべての営業施設に共通して定められているものです。
下記に記載している内容は一部に過ぎませんので、詳しくは自治体のホームページなどでご確認ください。
【1】施設全体の基準
施設には、屋外からの汚染を防止し衛生的な作業を継続的に実施するために必要な構造・設備・機械器具が必要です。
また、食品や添加物を取り扱う量に応じて、適切な広さを設けなければなりません。
【2】作業区分に応じた区画整理
食品への汚染を考慮して、作業区分に応じた区画整理ができているかどうかが求められます。
- ・製造工程を踏まえた上で設備を整えている
- ・空気の流れを管理する設備が配置されている
という点も抑えていなければなりません。
【3】施設の構造・設備
廃水・廃棄物による汚染を防止できる構造・設備が必要です。ねずみや昆虫の侵入を防げる環境を整えましょう。
また、食品を取り扱って作業をおこなう場所には、結露や結露によるカビが出ないように設備を配置しなければなりません。
床面・内壁・天井は、清掃・洗浄・消毒がしやすい材料でつくられており、かつ簡単に清掃などをおこなえる構造であることが求められます。
【4】機械器具
機械器具や容器は、適正に洗浄・保守・点検できる構造でなくてはなりません。
作業に応じた機械器具を備えましょう。
食品に直接触れる機械器具は、
- ・耐久性がある材料でつくられている
- ・洗浄が簡単である
- ・熱湯/蒸気/殺菌剤で消毒が可能である
以上の条件を満たしたものを使用する必要があります。
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食品衛生法改正②:個別施設基準
個別施設基準とは、一部の業種に限定して定められている施設の基準です。
共通施設基準とは別に、業種ごとに定められているルールがあります。該当するのは、飲食店営業や食肉販売業、魚介類販売業、菓子製造業などの業種です。
例えば、飲食店営業で自動車において調理する場合は、以下の要件を満たしていなければなりません。
- ・簡易な営業では、1日の営業において約40リットルの水を供給できる、かつ廃水を保管できる貯水設備がある
- ・大量の水を使わない営業では、1日の営業において約80リットルの水を供給できる、かつ廃水を保管できる貯水設備がある
- ・大量の水を使う営業では、1日の営業において約200リットルの水を供給できる、かつ廃水を保管できる貯水設備がある
食肉販売業や魚介類販売業などを見ると、上記とは異なる基準があります。該当する業種に携わる方は、要チェックです。
食品衛生法改正の施設基準について理解しておこう
食品衛生法改正による施設基準について解説しました。
法律や制度は少しばかり難しい一面がありますが、営業者はもちろん、飲食に関わる仕事に携わっている全員が知識として蓄えておくべき内容です。
また、新たに営業する予定だったり、施設を改装したりする方は、まずは保健所の窓口に相談してくださいね。
消費者に安心・安全の食生活を届けられるように、きちんとルールに基づいて運営しましょう。