インバウンド需要の高まりにより、飲食店やホテル、アパレルなどの現場では、英語での接客が求められる機会が増えています。
とはいえ、すべてを英語で対応するのは難しく、「接客でよく使う英語フレーズだけでも知っておきたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、接客業の現場で実際によく使われる英語フレーズを、状況別・業界別にわかりやすく解説します。
英語が苦手でも、基本のひとことや表情・ジェスチャーを活かすことで、お客様にしっかり伝わる接客はできます。
まずはこれだけ!状況別の基本接客英語フレーズ15選
接客業でよく使われる英語フレーズには、いくつかの定番があります。
特に「来店時」「注文時」「会計時」「トラブル対応時」など、シーンごとに使えるひとこと英語を覚えておくと、実際の現場ですぐに活かせるでしょう。
ここでは、まず覚えておきたい基本の接客英語フレーズを状況別にピックアップして紹介します。
お客様が来店したときのフレーズ
お客様が来店したときは、第一印象を決める大事な瞬間。英語でのあいさつや声かけがスムーズにできると、相手にも安心感が伝わります。
ここでは、あいさつ・お出迎えの場面で使える基本フレーズを紹介します。
こんにちは。いかがなさいましたか?
お客様がお店に入ってきた際に最初にかけるひとことです。笑顔とセットで言えば、親しみやすく丁寧な印象になります。
こちらへどうぞ。
席や試着室、レジなどにお客様を案内するときの定番フレーズ。手で方向を指しながら言うとより自然です。
ごゆっくりどうぞ。
声をかけすぎず、自由に見てもらいたいときや、メニューを選んでいるときに使うと◎。やさしい気遣いが伝わります。
少々お待ちいただけますか。
お客様に少しだけ待ってもらいたいときの丁寧な言い回しです。注文を確認している間や、席や商品を準備している場面で活用できます。
ご来店ありがとうございます。
お店に足を運んでくれたことへの感謝を伝えるひとこと。カジュアルで親しみのある言い回しなので、気軽に感謝の気持ちを表現したいときに便利です。
注文・案内・会計のフレーズ
注文を取るときや、料理・商品を提供するとき、そして会計時のやりとりには、ある程度決まった定型表現があります。
一度覚えておけば、どの接客シーンでも自信を持って使えるので、早めに身につけておくと安心です。
ここでは、飲食店・物販店などでよく使われる注文~会計まわりのフレーズを紹介します。
ご注文はお決まりですか?
メニューを見終わった様子のお客様に、タイミングを見て声をかけるフレーズ。より丁寧にしたい場合は「May I take your order?」でもOKです。
ご注文の品をすぐにお持ちします。
注文を受けたあとに伝えるひとこと。料理や商品を準備していることをさりげなく知らせることで、お客様の安心感につながります。
お支払い方法はいかがいたしますか?
現金・カード・電子マネーなど、支払い方法を尋ねる基本表現。丁寧かつスムーズに対応したいときにぴったりです。
現金ですか?カードですか?
よりシンプルに、スピードが求められる支払い場面で使うフレーズ。聞き取りやすい発音で、はっきり尋ねるのがポイントです。
お釣りです。
お釣りを渡すときに添えるひとこと。伝票やレシートと一緒に差し出しながら言うと、丁寧な印象になります。
謝罪・断り・トラブル対応のフレーズ
接客の現場では、どうしてもお客様のご希望に添えない場面や、在庫切れ・営業時間外などのやむを得ない対応が発生します。
そんなときこそ、丁寧な言い回しと落ち着いたひとことで、相手の不満や不安を和らげることが大切です。
ここでは、よくある謝罪・お断り・トラブル対応のフレーズを紹介します。
申し訳ありません。品切れ中です。
商品が売り切れているときに使う基本のフレーズ。まず「I’m sorry.」とお詫びを伝えてから理由を続けると、丁寧な印象になります。
恐れ入りますが、そちらは対応できません。
ご要望に応えられないときの丁寧な断り表現です。強く否定せず、「I’m afraid」をつけることでやわらかく伝えられます。
申し訳ありません、現金のみの取り扱いです。
支払い方法の制限を伝えるときに使えるフレーズです。事前に伝えることでトラブルを防ぎやすくなります。
申し訳ありませんが、明日は休業日です。
お店が休業日のときの基本表現。お客様に予定を変更してもらう必要があるときは、丁寧に案内を添えると◎。
ご理解いただきありがとうございます。
お断りや説明のあとに添える気遣いのひとこと。丁寧さを残しながら、前向きに締めくくれる便利な表現です。
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業界別にチェック!よく使う接客英語フレーズ集
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接客の英語フレーズといっても、業界によって使われる表現や場面はさまざまです。
ここでは、飲食・カフェ、ホテル・旅館、アパレル・小売の3つの業界に分けて、現場でよく使われる英語表現を紹介します。
飲食・カフェで使える英語
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飲食店やカフェでは、お客様の案内から注文、会計、あいさつまで、英語でのやり取りが多く発生します。ここでは、現場でよく使われるフレーズをシーン別にまとめて紹介します。
来店・ご案内時のひとこと
お客様が来店されたときの第一声や案内時に使えるフレーズです。
- Let me show you to your seat./お席までご案内いたします。
- Please follow me./こちらにお進みください。
- It’ll be about a 10-minute wait./10分ほどお待ちいただきます。
注文・おすすめを伝えるときの表現
お客様が注文を決めるタイミングや、メニューを提案する際に役立つフレーズです。
- May I take your order?/ご注文をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- This is one of our bestsellers./こちらは人気メニューのひとつです。
- Would you like to try our seasonal special?/季節限定メニューはいかがですか?
- It comes with a drink and dessert./ドリンクとデザートが付きます。
会計・支払い時の表現
スムーズで丁寧な会計対応に役立つフレーズです。支払い方法の案内や確認は、簡潔に伝えるのがポイント。
- We accept cash, cards, and mobile payments./現金、カード、モバイル決済をご利用いただけます。
- Unfortunately, we don’t accept credit cards./申し訳ありませんが、クレジットカードはご利用いただけません。
- Would you like a receipt?/レシートはご入用ですか?
お見送り・気持ちのこもったあいさつ
お客様の最後の印象を決める、あたたかいお見送りのひとことです。感謝の気持ちを込めて伝えましょう。
- Thank you for dining with us./ご来店ありがとうございました。
- Have a great rest of your day./このあとも良い一日をお過ごしください。
- We hope to see you again soon./またのご来店をお待ちしております。
ホテル・旅館で使える英語
ホテルや旅館では、滞在中を通して丁寧な接客が求められる場面が多く、英語での基本フレーズを知っておくと安心です。ここでは、チェックインからお見送りまでの場面に分けて、役立つ英語表現を紹介します。
チェックイン時の対応
宿泊手続き時に使われる定番フレーズです。はじめの対応は印象を左右するため、丁寧な英語を心がけましょう。
- Welcome to our hotel./当ホテルへようこそ。
- May I have your name, please?/お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- Could you fill out this form?/こちらの用紙にご記入をお願いします。
部屋の案内・説明
部屋番号や施設の案内など、必要な情報を伝えるときのフレーズです。
- Your room is on the 5th floor./お部屋は5階です。
- Here is your room key./こちらがお部屋の鍵です。
- Breakfast is served from 7 to 10 a.m./朝食は7時から10時までです。
リクエスト・質問対応
追加の希望や困りごとに対応するときに役立つフレーズです。
- I’ll check and get back to you shortly./確認して、すぐにお知らせいたします。
- We’re happy to provide extra towels./追加のタオルをご用意いたします。
- I’m sorry, but that service is not available today./申し訳ありませんが、本日はそのサービスをご利用いただけません。
チェックアウト時・お見送り
最後の印象を左右するチェックアウト時のフレーズです。感謝と丁寧なあいさつを添えましょう。
- Did you enjoy your stay?/ご滞在はいかがでしたか?
- Thank you for staying with us./ご宿泊ありがとうございました。
- We look forward to welcoming you again./またのお越しをお待ちしております。
アパレル・小売で使える英語
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アパレルショップや雑貨・小売店では、お客様とのちょっとした会話や提案が重要な接客スキルになります。英語での声かけやサイズ確認、レジ対応まで、自然に使えるフレーズを紹介します。
来店時の声かけ
お客様が店内に入った際や、声をかけるタイミングで使えるフレーズです。やさしく笑顔で話しかけましょう。
- Hello, can I help you find something?/こんにちは、何かお探しですか?
- Please feel free to look around./ご自由にご覧ください。
- Let me know if you need any help./何かございましたら、お声がけください。
商品案内・おすすめ時
商品の特徴を説明したり、おすすめしたりしたいときの表現です。さりげないひとことが購入の後押しになります。
- This item is very popular./こちらはとても人気の商品です。
- It’s available in other colors, too./ほかのカラーもご用意があります。
- Would you like me to check the stock in a different size?/サイズ違いの在庫をお調べしましょうか?
試着・サイズ確認などの対応
試着やサイズに関する案内に役立つフレーズです。体型や好みに合わせた対応を丁寧に行いましょう。
- Would you like to try it on?/ご試着なさいますか?
- The fitting room is right over here./試着室はこちらです。
- How does it fit?/サイズ感はいかがですか?
レジ・会計時のひとこと
最後のレジ対応でも丁寧な印象を与える英語フレーズです。金額や袋の有無の確認にも使えます。
- That will be 5,000 yen, please./お会計は5,000円です。
- Would you like a bag?/袋はご利用になりますか?
- Thank you. Please come again!/ありがとうございました。またのご来店をお待ちしています。
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ジェスチャーでカバー!英語が苦手でも伝えられる接客術
英語がスムーズに出てこなくても、表情やしぐさを使えば、お客様に気持ちを伝えることはできます。ここでは、英語が苦手な方でもすぐに実践できるジェスチャーや、伝わる接客のコツを紹介します。
英語が出なくても伝える接客はできる
英語で話したいと思っても、いざというときに言葉が出てこないことはよくあります。しかし、それは決して恥ずかしいことではありません。
接客で大切なのは完璧な英語よりも、「伝えようとする姿勢」や「相手への配慮」です。たとえ一言しか話せなかったとしても、気持ちが伝われば十分。
無理に正しい文法で話そうとせず、簡単な単語と笑顔でコミュニケーションをとることを意識してみましょう。
現場で伝わる!おすすめのジェスチャー例
英語がうまく出てこないときでも、「ひとことの単語」と「ジェスチャー」を組み合わせれば、お客様にしっかり伝わります。
ここでは、現場でそのまま使えるしぐさと、セットで使いたい簡単な英単語を紹介します。
笑顔でお辞儀をする
Hello/Welcome
軽くお辞儀しながら笑顔であいさつ。言葉が出なくても、歓迎の気持ちが伝わります。
手で方向を示す
This way/Toilet/Cashier
席・トイレ・レジなどを案内するときは、手のひらや指で方向を示すだけでも十分です。
品物を両手で差し出す
Here you are/For you
商品や袋を渡すときに、両手で丁寧に差し出すと丁寧な印象に。笑顔を添えて渡しましょう。
完璧な英語より大切なこと
英語を間違えてしまうのではないか、と心配する人は多いかもしれません。ですが、実際には多少のミスがあっても、接客において大きな問題になることはほとんどありません。
大切なのは、伝えたいという気持ちと、お客様への思いやりです。多くの海外のお客様は、第二言語で一生懸命話そうとする姿勢に対して、好意的であたたかく接してくれます。
また、英語力そのものよりも、笑顔を絶やさずに対応しているか、目を見て誠実に話しているか、そしてゆっくり・はっきりと話そうとしているかなど、接客における基本的な姿勢のほうが、ずっと大切です。
たとえ完璧な英語ではなくても、そうした気持ちが伝われば、安心感や信頼につながります。完璧な英語を目指すよりも、伝えようとする気持ちを大切にした接客を意識してみましょう。
疑問を解決!接客英語のよくある質問
英語での接客に挑戦しようと思っても、「本当にうまくできるかな?」「間違えたらどうしよう」といった不安を感じる方も多いはずです。
ここでは、接客英語にまつわるよくある疑問を取り上げ、安心して一歩を踏み出すためのヒントをお伝えします。
中学英語レベルでも接客できますか?
カタカナ英語でも通じますか?
発音に自信がないけど大丈夫でしょうか?
英語を間違えたら失礼になりますか?
うまく聞き取れなかったときはどうすればいいですか?
英語がわからないお客様に話しかけられたらどう対応すればいいですか?
覚えた英語を実践するコツはありますか?
英語が苦手でも大丈夫!接客業で使えるフレーズから一歩ずつ
英語での接客と聞くと、構えてしまう方もいるかもしれません。でも、完璧な英語を話せなくても、伝えたいという気持ちや相手への思いやりがあれば、それだけで心のこもった接客になります。
今回紹介したようなフレーズは、どれもシンプルで、すぐに使えるものばかりです。まずはひとつでも自分のものにできれば、きっと現場での安心感や自信につながるはずです。
英語が苦手でも、ひとこと・笑顔・ジェスチャーで伝えられることはたくさんあります。できることから少しずつ取り入れて、伝わる接客の第一歩を踏み出してみましょう。
英語を使って働いてみたいと感じたら、英語スキルを活かせる職場を探すことから始めてみるのもおすすめです。
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