オーバーブッキングが起こる原因
ホテル業界におけるオーバーブッキングとは、予約は取れているのに案内できる客室がない状態をいいます。海外のホテルでよく見られますが、実は日本でも起こっているトラブルです。これは航空会社も同様で、予約していたはずなのに満席で搭乗できない、ということがよくあります。
オーバーブッキングが起こる原因は、ホテルや航空会社が直前のキャンセルやNo Show(ノーショー、予約客が連絡もなくやってこないこと)を見越して、定数以上の予約を取っておくことです。どれだけ多く予約を取り付けるかは、過去の予約状況やそのときの需要などを総合的に判断して決めますが、当然ながら予想が外れることもあります。見込みよりもキャンセルが出なかったり、天候状況など突発的な要因でチェックアウトするはずだったお客様が連泊したりすると、客室数が不足しオーバーブッキングしてしまうのです。
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オーバーブッキングを未然に防ぐ方法
できれば、オーバーブッキングは起こしたくないものです。ここでは、オーバーブッキングを未然に防ぐ方法を紹介します。
過去分析の精度を上げる
先述の通り、「予想よりもキャンセルが出なかった」などの見込み違いがオーバーブッキングを起こす大きな要因になります。つまり過去分析の精度を上げることで見込み違いを少なくし、オーバーブッキングを起こしにくくすることができます。
分析の精度を上げるには、
- ・過去の宿泊データや天候、近隣で開催されるイベントなどのデータをもとにキャンセル数を予想する
- ・予想値と実際の宿泊者数を比較し、どれくらい違っていたのかを検証する
- ・次回の予約時に改善する
こうしたPDCAサイクルを回すことが大切です。
サイトコントローラーの仕組みを知る
現在のホテルの宿泊予約は、自社ホームページや旅行代理店の他、インターネット予約サイトを介して行われるのが一般的。サイトコントローラーは、こうした複数のインターネット予約サイトの料金や在庫を一括で管理するサービスです。
例えば空室が10部屋ある場合、サイトコントローラーを介して各サイトに「在庫10」が登録されます。サイト間で在庫数は連動するので、どこかのサイトで予約が入ったら、サイトコントローラーが各サイトの在庫数を最新の情報に書き換えます。しかし場合によっては、予約が入ってから最新情報に更新されるまでにタイムラグが発生するケースがあり、ここで予約が集中してしまうとオーバーブッキングが起こります。
これを防ぐには、サイトコントローラーが最新情報をキャッチするまでの時間(巡回時間の間隔)を短くする、または空室が残りわずかになったら予約を自社ホームページのみに限定する、といった対応が有効になるでしょう。
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オーバーブッキングが起こってしまった場合の対応、対処方法
どれだけ注意していても、オーバーブッキングを完全に防ぐことはできません。とはいえ、ホテルに泊まるのを楽しみにしていたお客様にとって、これほど残念なことはありませんよね。そこで、できるだけお客様の気持ちを害さずに済む対応をしなければなりません。
お詫び
オーバーブッキングは、ホテルや航空会社の利益を守るため、世界一般的に免責事項となっています。しかしだからといって、お客様に対して「満室なので仕方ない。どうしようもありません」といった態度を取るのは禁物です。他にもあるホテルの中から、わざわざ自ホテルを予約してくれたお客様に感謝を示しつつ、不便や迷惑、心配をかけたことに対して真摯にお詫びしましょう。
近隣のホテルを手配する
オーバーブッキングとなり、自ホテルに案内できる客室がない場合は、自ホテルと同等もしくはそれ以上のクラスの近隣ホテルを紹介することになります。これをリロケーションといい、ホテル側が送迎を行い、本来なら発生しなかった交通費や通信費などの費用も負担します。
この際注意すべきなのは、「ハイクラスのホテルに泊まれるのだから文句はないだろう」といった考え方です。お客様がホテルを選ぶ基準は、ハイクラスか否かだけではありません。目的地までのアクセスや、景観、過ごしやすさなどを加味したうえで選んでいるはずなのです。リロケーションを了承していただいた場合も、そうした事情に配慮すべきです。
サービスをプラスする
可能であれば、リロケーション先のホテルレストランでの一品サービスなど、プラスアルファのお詫びの気持ちを付け加えましょう。「オーバーブッキングは残念だったけど、こんなにサービスしてもらえた」と思っていただければ、対応が良かったという理由から「次こそはこのホテルに泊まってみたい」と感じてもらえるかもしれません。
オーバーブッキングが起こったら、お客様目線に立った対応を
オーバーブッキングは、ホテルが実際の客室数よりも多く予約を受け付けることで起こります。この手法自体は古くから行われているため、特に珍しいトラブルではありません。もちろんお客様にとっては気持ちの良いものではないので、過去分析の精度を上げたり予約システムを上手に活用したりして、オーバーブッキングを未然に防ぐ努力が必要になります。
またもしオーバーブッキングが起こってしまった場合は、お客様の気持ちに寄り添いつつ速やかに対処することが大切。誠実に対応できれば、きっとお客様にも納得していただけるはずです。