転職後に妊娠が発覚…とるべき行動と給付金などを解説

転職後に妊娠が発覚し、嬉しい気持ちはあるものの気になるのは周囲の反応。それ以外にも、産休や育休、今後の仕事の引き継ぎなど確認すべきことはたくさんあります。まずは、妊娠が分かったら職場への配慮を優先することが大事です。当記事では、転職後の妊娠に対する周囲の反応や事前にチェックしておきたい給付金などについて紹介します。

転職後に妊娠が発覚!産休や育休は取れるの?

妊娠中の女性

iStock.com/takasuu3

転職後に妊娠が発覚したとき、産休・育休を取得できるのか気になりますよね。

ここでは、産休・育休の仕組みを分かりやすく解説します。

産前産後休業(産休)は入社1年未満でも取得できる

産休とは、主に2つに分けられます。

<産前休業>
出産予定日の6週間前(双子のご出産の場合は14週間前)から取得できる。

<産後休業>
出産翌日から8週間まで取得できる。
ただし、産後6週間を過ぎた後お医者さんから許可されたら復帰できる。

産休の特長は、新しい会社へ入社して1年未満でも原則取得できることです。

さらに、産前産後休業中および休業後の30日間は法律上解雇できないと定められています。

産休は、正社員やパートなどの雇用形態で働いている方も対象なので、会社に確認しておきましょう。

育児休業(育休)取得には条件がある

産休は転職後に妊娠した方も対象なのとは対照的に、育休を取得するためには条件があります。

ただ、2022年4月1日より育休の取得条件である「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」が撤廃されました。

これにより、契約期間のある有期雇用者も育休を取得できますが、改正された育児・介護休業法によると、「育休の申し出時点で、子が1歳6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな場合」のみ取得可能としています。

ちなみに育休の特長は、産休終了日の翌日から1歳の誕生日の前日(または2歳)まで取得できることです。

ただし、勤務先と労使協定を結んでいる方が以下のいずれかに該当すると、育休を申請しても却下されてしまうので注意が必要です。

  • 雇用された期間が1年未満
  • 申し出の日から1年以内(1歳6カ月または2歳までの育休の場合は6カ月以内)に雇用関係が終了する
  • 週の所定労働日数が2日以下

労使協定を結んでいなければ、たとえ転職後すぐの妊娠だとしても、原則として企業は育休申請を断れないでしょう。

ただ、転職後すぐ妊娠した方が労使協定を結んでいても、勤続年数を1年経過すれば育休を取得できます。

<例>1月に入社した方の出産予定日が8月の場合

8月に産前産後休業を取得したら職場復帰し、2年目を迎える翌年1月から育休を取る

また、育休の取得を理由に解雇したり、強制的に職場復帰させたりすることは法律で禁止されています。

産休とは違い、育休の取得は会社によって異なるため、妊娠が分かったらできるだけ早く会社に報告しましょう。

しかし、「せっかく転職できたのに妊娠してしまった・・・・・・」という申し訳ない気持ちで言いにくい方も多いはずです。

次の項目より、在職期間別で妊娠を報告したときの周囲の反応を解説します。

参考:厚生労働省/育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説(令和4年3月作成)

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【在職期間別】転職後の妊娠で考えられる周囲の反応とは?

妊娠中の女性が働いている様子

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転職後の妊娠は、迅速な行動が必要不可欠。

言いにくいことかもしれませんが、誠実な対応がみられると周囲の見方も変わるかもしれませんよ。

在職期間が1年未満の場合

会社が人を採用するということは、現状人手が足りない背景があるからです。

そのため、転職者には1日でも早く業務に慣れてもらい、会社の戦力になってほしいという狙いがあるのでしょう。

しかし、就業して1年未満で妊娠が発覚したら、仕事を覚えて独り立ちできるタイミングで産休に入ってしまうので、職場では快く思わない方もいるはずです。

これまで引き継ぎに要した時間や労力が無駄になってしまい、一から人材を確保しなければならないと感じるのですね。

会社としては、社員を採用したことで発生した人件費などのコストを考えると、頭を痛めるでしょう。

このことにより、転職後1年未満の妊娠は周囲の人にとって迷惑と思われてしまうかもしれません。

在職期間が2年以上の場合

転職後2年以上の妊娠であれば、「早すぎる」と感じる人も少ないので妊娠のベストタイミングと言えます。

就業して2年以上経過すると、周囲の人との信頼関係が築けるうえ、仕事も軌道に乗っているはずです。

そのため、たとえ妊娠を報告しても理解を得られやすく、気持ちも楽になるでしょう。

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転職後の妊娠で職場に迷惑をかけないためにできること

妊婦の女性

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上司への報告・相談する

妊娠が分かった段階で、直属の上司へ報告・相談することが重要です。

先に上司への報告を怠ると、研修スケジュールや人員補充の有無などを検討するタイミングに遅れが生じるかもしれません。

上司への報告を最優先に考えると同時に、妊娠・出産に関する社内制度についても確認しておきましょう。

感謝の言葉や誠意ある対応を心がける

妊娠初期は体調を崩す方が多いため、急なお休みをとったときに周囲の協力・理解が必要です。

大事なことは、産休後もしっかり働く意思があることを伝え、職場の方への感謝の気持ちを忘れないこと。

急な欠勤で代わりに仕事をしてくれる方の気持ちを想像し、産休前後も思いやりを持ち良好な関係を築いていきましょう。

早めに引き継ぎの準備を進める

上司への報告と産休・育休スケジュールを把握したら、早めに業務の引き継ぎの準備を進めましょう。

転職後であれば引き継ぐことは少ないかもしれませんが、あなたしか知り得ないお客様の情報や業務内容があるはずです。

産休中に迷惑をかけないためにも、まずは自分が担当している内容を整理し、そのうえで担当者に引き継ぎましょう。

転職後の妊娠でチェックしておきたい給付金について

貯金をする妊婦

iStock.com/Rostislav_Sedlacek

そもそも、出産に健康保険は使えず、全額自己負担になるのをご存じでしょうか?

ここでは、産休前にチェックしておきたい給付金をご紹介します。

【産休期間にもらえる】出産手当金

産休中の生活も気になるのに、出産前後の費用を工面できるか不安ですよね。

しかし、産休期間中に支給される出産手当金を充てることができます。

出産手当金とは、会社を休んでいる間に健康保険から支給されるものです。

条件は、健康保険に被保険者として加入していることなので注意してくださいね。

支給額は、標準報酬月額の2/3と定められています。

支給期間は、出産日の42日前(双子は98日前)から出産翌日以降の56日までです。

人によっては、出産予定日より遅れて出産する方もいるでしょう。

その場合は、予定より遅れた日数分も加算されて支給されるので心配ありません。

※出産日:出産の日以前の期間に含まれる

【出産後支給される】出産育児一時金

出産を終えた後に支給されるのが、出産育児一時金です。

出産育児一時金とは、被保険者として加入している健康保険もしくはその扶養者が出産したときに支給されるもの。

支給額は赤ちゃん一人あたり42万円で、給付条件は1年以上継続して健康保険に加入していること

ただし、以下の場合は健康保険の加入期間を通算できないので注意してくださいね。

  • 1日だけ空白期間がある方
  • 任意継続被保険者になっていた方

また、支給方法には「直接支払制度」と「受取代理制度」があります。

  • 「直接支払制度」:出産費用を直接病院へ支払う仕組み
  • 「受取代理制度」:出産予定日の2カ月前に健康保険組合へ事前申請することで、出産後病院が組合へ出産費用を請求する仕組み

ちなみに、出産費用が支給額を超えた場合、退院時に医療機関の窓口で差額を支払います。

逆に、出産費用が支給額より少なかったら、差額を健康保険組合へ請求できますよ。

【要件が緩和された】育児休業給付金

出産手当金と出産育児一時金を受け取るための条件がある一方、要件が異なるのが育児休業給付金です。

育児休業給付金とは、雇用保険から支給されるものです。

以下に、給付金を受けるための条件を挙げてみました。

  • 1歳未満の子供を養育するために、育休を取得する雇用保険の被保険者
  • 育休開始前の2年間、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12カ月以上ある

特に転職後すぐ妊娠した方は、賃金支払基礎日数が少ないことも多いため、この給付金を受けられないかもしれません。

一方、2022年10月1日より1歳未満の子について、原則2回に分割して育休および育児休業給付金を受けられるようになります。

ただ、育児・介護休業法に定められている回数制限の例外事由にあてはまれば、3回目以降も受けられますよ。

いずれにせよ、育休のことも含めて、育児休業給付金について会社に確認しておくことをおすすめします!

参考:厚生労働省/令和4年10月から育児休業給付制度が変わります

転職後に妊娠したら、職場への配慮を最優先に考えよう!

会話をする女性たち

iStock.com/Zinkevych

転職後の妊娠は、在職期間によって周囲の反応に差があるので、妊娠が分かった段階で早めに報告することが大事です。

たとえ、妊娠をきっかけに退職に至ったとしても、最後まで誠意ある行動をしていきましょう。

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