床の間

(とこのま)

床の間とは、日本建築における座敷飾りのひとつで、座敷の正面に一段高く構え、掛軸や置物、花などを飾る場所を指します。

床の間は、客を迎える部屋につくられました。そもそも「床」とは、物を乗せたり、位の高い人が座る、一段高い場所のことを言います。床の間は、部屋の中で最も神聖な場所とされていました。家の主人が客人をもてなすために掛軸や花、香炉などを飾り、美術品を飾る場所として発達しました。床の間の起源は室町時代まで遡り、茶会などを催す際、壁に掛軸をかけ、「押板」と呼ばれる板の上に、美術品を置いて鑑賞しました。

床の間には、美術品を印象的にみせるための工夫が施されています。「書院」と呼ばれる窓から光を取り入れ、床の間を柔らかく照らします。一方、床の間の上部には小さな壁があり、これによってできる影が、床の間の空間に奥行をもたせています。これらの光と影によって陰影ができ、掛軸が奥深くみえるのです。

また、床の間の隣に設けられた「床脇」も大切な空間です。床脇は、美術品を手に取って楽しめる場所で、客の好みに合わせて様々なものを飾りました。主人から客へのさりげない心遣いを示す場所でもあったのです。さらに、「床の間」と「床脇」の間にある柱を「床柱」と言います。床柱は、部屋の中で最も大切な柱とされ、材質の良いものが使われます。そのため、「床柱」は部屋の顔、家の顔とも言われ、丸や四角、自然の木をそのまま生かした柱など、種類は様々です。床の間は、日本建築の特性を生かした、小さな美術館と言えます。

現代においては、旅館などで床の間を目にすることがあります。部屋の雰囲気に合わせた美術品や季節感のある植物などが飾られ、床の間が大きな額縁のように感じられます。床の間の意味を知ることで、日本建築の風情を感じ、部屋で過ごす時間が有意義なものになるでしょう。

使用例


・床の間に季節の花を飾る。

・老舗旅館の床の間は風情を感じます。
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