国内外から多くの観光客が訪れる、世界遺産の島・宮島。厳島神社の大鳥居を望む高台に、ホテル菊乃家は佇んでいます。
「いつでも帰ってこられる“宮島の我が家”」というスローガンを掲げ、訪れるお客様を「お帰りなさい」と温かく迎え入れてきた宿です。
一方で、この温かい空間を裏で支えるスタッフにとっては、 フェリーが止まれば本土から切り離される離島という立地は、働く場所としては高いハードルとなります。
今回お話を伺ったのは、全社員が退職する危機から事業を承継し、宿を立て直してきた菊川社長と、開業以来この宿を支えてきた松本専務のお二人です。
離島ならではの採用の現実と、そこで見つけてきた向き合い方を、お二人の言葉でお届けします。


大鳥居を望む高台に。「いつでも帰ってこられる、宮島の我が家」

菊乃家が掲げているスローガンは、「宮島の我が家」です。お客様にとって、いつでも帰ってこられる場所でありたい。そんな思いで、日々お迎えしています。
本館は、海側の客室から大鳥居と瀬戸内海を一望できるのが自慢です。宮島の高台に旅館があるので、大鳥居が一番よく見えると言っていただくこともあります。
昨年の夏には、新築の別邸をオープンしました。全8室で、本館とはまた違うコンセプトの宿です。宮島では、新しく建てた宿泊施設というのは珍しいんですよ。
この別邸では、テラス朝食も始めました。「森の中で落ち着いて過ごせた」と、お客様に喜んでいただいています。
私がずっと温めていたアイデアを、みんなで形にできた一例です。お客様のアンケートでも、本館の眺めと、この別邸は、とくに好評をいただいています。
本館と別邸を合わせても、全部で30室ほど。決して大きな宿ではありませんが、だからこそ、働くみんなの顔も、性格も、お互いによく分かり合える。ちょうどいいサイズ感だと思っています。
形は変わっても、変わらないもの。日々のおもてなしに宿る心

私たちが何より大切にしているのは、お客様を「我が家」のようにお迎えする、その心です。
時代やお客様の変化に合わせて、その表現やサービスの形は少しずつ変えてきました。それでも、根っこにある想いだけは決して変わらない。それこそが、私たちがずっと守り抜いてきたものです。
以前は、折り紙や茶道の体験など、イベントのような形でおもてなしをしていた時期もありました。今は、その形を少し変えて工夫しています。
たとえば、客室にメッセージカードを置いたり、レストランのフォトスタンドに、ちょっとしたエピソードを添えたり。
決まった印刷のカードを事務的に置くのではなく、お客様のお名前を入れて、2〜3行、手書きで。それだけでも、伝わるものが全然違うんです。
1枚ずつ作るのに時間がかかることなのですが、1年ほど前から、若手のスタッフが中心になってやってくれています。
お客様の声を、全員で分かち合う。チャットでつながる現場
お客様からいただく声は、社内のグループチャットで全員に共有するようにしています。
というのも、お客様と直接接するスタッフは、こういう嬉しい言葉を直接もらえますが清掃や調理のスタッフには、なかなか届く機会がないんです。
もし自分が清掃の担当で、「パーフェクトだった」とお客様が言ってくださったと知ったら、きっと励みになる。だから、こまめに共有するようにしています。

みんながお客様の声をリアルタイムで知ると、「じゃあ私も真似してみよう」「自分もこういう声をもらえるように動いてみよう」となるんです。
そうやって社内で分かち合えていることが、うちのおもてなしを評価していただける、一つの強みになっているのかなと思います。
危機を乗り越えて。社員を大事にする会社へ


今でこそ「社員を大事にしたい」と強く思っていますが、その原点には、ある忘れられない過去があります。
それは 今から約15年ほど前、親族から事業を継ぎ、経営を任されたばかりの頃のことです。 当時の親族の振る舞いにスタッフたちが反発し、 全スタッフが一斉に辞めてしまったんです。
でも、この出来事があったからこそ、「何があっても 社員を大事にしないといけない」と、心から思うようになりました。厳しかった頃を乗り越えて、今度こそ、新しい会社を作り上げていきたい。その一心でやってきました。
その思いは、今も残ってくれている社員にも、これから入ってくる人にも、きっと伝わっているんじゃないかと思います。
この経験で学んだのは、結局のところ、会社のあり方こそが、来てくれる人を決めるということ。会社が変われば、集まってくれる人も変わる。そのことを、身をもって知りました。
誰もが憧れる島。けれど働く場所としては「離れ小島」だった

世界遺産で、日本三景。だから「宮島で働きたいな」と思っていただくこと自体は、そんなに難しくないんです。皆さん魅力的だと思ってくださる。
ただ、そこから先が問題で「島か。どうやって暮らすんだろう。寮に入るのかな」と、いざ暮らしを考え始めると、採用までが一気に難しくなるんです。
フェリーは22時が最終便。翌朝6時まで、島は本土から切り離される
広島市内から片道1時間。往復2時間が、通勤の壁になる
求人広告は効果が薄い。だから今は、広告を打っていない
フェリーは15分おきに出ているのですが、22時になると終わってしまう。そこから翌朝6時まで、島は本土から切り離されて、離れ小島になるんです。
もし橋がかかっていれば、話は別なんですけどね。真夜中、家族に何かあったときでも、すぐに帰れる。そういう安心感が、離島にはどうしても持ちにくい。
たとえば広島市内から通うとなると、片道で1時間。帰りもまた1時間かかります。それなら、その2時間ぶん、市内の近いところで働こうと思いますよね。
だから、求人広告を出しても、なかなか効果が出ませんでした。今はもう、広告は打っていません。
実際、先日もある調理師の方を紹介していただいたのですが、仕事の面ではとても良かったのに、住むところがどうしても引っかかって、採用には至りませんでした。それくらい、「島に住む」ということが、大きなハードルになるんです。
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離島・地方の採用について聞いてみる一人、また一人。出会いが、信頼に変わるまで

広告に頼れないなかで、私たちが今のスタッフとどう出会えたのか。その鍵になったのが、おもてなしHRさんを通じた、人材紹介での出会いでした。
不信感を拭い去ってくれた。自然と「次もお願いしよう」と思えた出会い
きっかけは、最初に紹介していただいた一人の女性社員でした。彼女が、本当にきちんと仕事をしてくれましてね。
「いい方を紹介していただいたな、じゃあ次もお願いしようか」と、そうやって自然にリピートするようになったんです。
正直に言うと、人材紹介の会社さんは、いいところばかりではありませんでした。
登録だけして、あとは「電話番号を教えますので、直接電話してください」と、それきりというところも少なくない。信頼していたのに、裏切られたように感じた経験も、これまで何度かしてきました。
そのなかで、おもてなしHRさんは違ったんです。メールも電話も、約束した期限通りに、きちんと返してくださる。当たり前のようでいて、なかなかできないことです。ああ、ここは信頼できる会社さんだなと、そう思いました。
両手で握手を交わした即決の採用。熱心なサポートが結んだ「これ以上ないご縁」
決定的だったのは、二人目に紹介していただいた、調理の方との出会いです。これでもう、私はおもてなしHRさんのファンになってしまいました。
大手の割烹で31年、腕をふるってこられた、中堅クラスのベテランの料理人でしてね。経歴を拝見して、一度オンラインでお話ししたら、もういてもたってもいられなくなったんです。すぐに、お会いしたくなって。
思い立ってから一週間後に、私は応募者に会いに行きました。一時間ほど、向かい合って話したでしょうか。
別れ際には、応募者と両手で握手をして「ぜひ、来てください」「はい、よろしくお願いします」と言葉を交わしました。今思い出しても、いい出会いでした。
その出会いに至るまで、担当の方が、本当に何度も何度も、熱心にやり取りを重ねてくださっていました。
メールでうちの宿の良さを伝えてくださったり、間に立って、いろいろと動いてくださったおかげで、これ以上ないご縁を結ぶことができたんです。本当に、感謝しかありません。

実はこの話には、続きがあります。入社してくれたその料理人が、あるとき私に、こう言ったんですよ。
「おもてなしさんは、本当にいい会社でした。いいところに登録したから、こうしてここに来られたんです」と。
採用したこちら側ではなく、紹介されて入ってきた本人の口から、その言葉が出た。これには、正直、驚きました。
あの一言を聞いて、私のなかで、おもてなしHRさんへの見方が、確かに変わりました。
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採用のプロに相談してみる次の10年へ。若い世代に、宿のバトンを渡していく
この10年ほどは、私と専務の二人で、宿を引っ張ってきたようなところがありました。
でも、次の10年を考えると、そろそろ私たちは一歩引いて、若い世代にバトンを渡していく準備を始めないといけない。今、その時期に来ていると思っています。
具体的には、30代の支配人を筆頭に、これからは若い人たちが中心になって進めていく。そういう体制づくりに、少しずつ取り掛かっているところです。
料理長も同じで、世代交代を図りながら、これから来ていただく料理人の方々も、若い力を迎えていきたいと考えています。
昨年、別邸をオープンしたこともあって、これからは、もっと人の力が必要になります。宿全体を、次の新しいフェーズに持っていきたい。
そのためにも、一緒に働いてくれる仲間との出会いを、これからも大切にしていきたいですね。
同じような採用課題に悩む方へ伝えたいこと

離島や地方で採用に悩む方にお伝えしたいのは、伝え方です。
島のデメリットからではなく、その土地の良さからフォーカスして伝えていく。そのほうが、きっといいものができると思います。
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分業ではないから、幅広い経験が身につく
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外国人のお客様が多く、生きた英語に触れられる
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厨房とお客様の距離が近く、反応が肌で分かる
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一つ屋根の下、30室ほどのちょうどいい規模
そして、会社が良くなればなるほど、いい人材は集まってくる。「ホワイトな会社には、いい人が集まる」と私は考えています。

私がいつもお伝えしたいのは、採用こそ経営の最も大切な仕事だ、ということです。管理職は、採用に全力を注ぐべきだと思っています。
昔、ある方に「一番大切な仕事は採用だ」と言われました。当時はピンと来ませんでしたが、今なら、心からそう思います。

離島という、採用では一番難しい場所かもしれません。それでも、信頼できる伴走者と組むことができれば、きっと道は拓ける。私たちは、そう信じています。
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おもてなしHRに相談する
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