103万円の壁って?人事はアルバイト・パートの103万円の壁を考慮しよう!

103万円の壁は、扶養範囲内で働きたいと考えるアルバイト・パートに非常に気になるものです。しかし中には、入社後に人事に聞けばいいと考えている従業員もいるでしょう。その時「知らない」という回答は避けたいものですよね。103万円の壁についての基礎知識、その他の「〇〇万円の壁」についての理解を深め、人事として自信を持ち仕事にあたれる環境を整えましょう。宿泊業者が103万円の壁を考えるうえで必要な心構えもあわせてご紹介しています。

目次

    103万円の壁とは?

    アルバイトやパートを雇っている企業に勤めている人事であれば、「103万円の壁」のように、「〇〇万円の壁」という言葉を耳にしたこともあるという方も多いのではないでしょうか。

     

    これは、労働者の年収によって扶養の範囲を外れるかどうかというボーダーラインになっているため、扶養の範囲内で働きたいと考える労働者にとって最も気になる部分となっています。

     

    では、103万円の壁を超えてしまえば、労働者にはどのような負担が課せられるのでしょうか。103万円の壁についての基礎知識に加え、労働者・人事ともに気になるQ&A、「103万円の壁」以外の税制の壁についてをご紹介します。

     

    103万円の壁を超えたらどうなる?

    iStock.com/Marcos-Calvo

     

    労働者が気にかける103万円の壁ですが、年収が103万円以上となってしまった場合、労働者にはどのような負担が強いられるのでしょうか。詳しく解説します。

     

    「税制上の扶養の範囲」を外れる

    まず、年収が103万円を超えてしまった労働者は、否応なく「税制上の扶養を外れる」ことになります。

     

    扶養を外れるということはつまり、自力で生活できるとされる被扶養者に認定されるということです。税金や社会保険料等は、自力で生活ができるとされる被扶養者に課されるため、被扶養者となってしまえば本人に税等の支払い義務が生じるようになります。

     

    年収103万円以上は「住民税」と「所得税」の支払い義務が発生

    年収が103万円を超えれば、被扶養者には「住民税」と「所得税」の支払い義務が発生します。

     

    住民税は全国一律10%、所得税は所得に応じて税率が変わる累進課税方式が採用されていますが、年収195万円以上であれば5%となっているため、年収を103万円ぴったりと仮定すると、税金として15万円程度が差し引かれることになるのです。

     

    よって、103万円をギリギリ超えるラインで働くことになれば、103万円を超えない働き方よりも手取り額が減少するということとなり、これを損だと捉える方が多いため「103万円を超えないような働き方」を望むことに繋がっています。

     

    扶養家族の場合は親の税金が増えることも

    扶養は大きく分けて2つに分類されます。1つが、子供として扶養に入る「扶養家族」、もう1つが夫や妻の扶養に入る「配偶者の扶養」です。

     

    配偶者の扶養に関しては、配偶者の年収が103万円を超えても一定の控除が認められていますが、家族扶養の場合は子が年収103万円を超えれば、親側は扶養控除を使うことができなくなります。

     

    そのため、103万円の年収を超えた子本人に税金の支払いの義務が生じるだけでなく、親の増税にも繋がるため、学生アルバイトを雇用しているという企業は注意が必要です。

     

    103万円の壁をアルバイト・パートが超えてしまいそうになったら?

    iStock.com/kyoshino

     

    103万円の壁をアルバイトやパートが超えてしまいそうになったら、どのように対処すべきなのでしょうか。考えられる対処法を2つご紹介します。

     

    出勤日数・出勤時間を調整する

    103万円を超える・超えないの働き方を気にしている方であれば、税制上の扶養の範囲内で働けているかどうかを、本人がしっかりと把握しているはずです。そのため、当人から人事などに相談し、シフト調整を自発的に促すことが多いでしょう。

     

    しかし、学生など知識が浅い労働者であれば、うっかり「忘れていた!」ということも考えられます。その場合は、できる限り出勤日数や出勤時間を調整してあげるようにしてください。

     

    年収は当年の1月1日~12月31日までで計算されます。師走が近づくとともに「103万円の壁」が現れるということを覚えておけば、間違いないでしょう。

     

    控除が受けられないかを確認する

    「103万円を1円でも超えたら終わりなのか?」という疑問も生まれるはずですが、実は必ずしも103万円を超えたからアウトという訳でもありません。扶養者の立場により、一定の控除が受けられるからです。

     

    • ・配偶者特別控除(最大38万円)
    • ・勤労学生控除(最大27万円)

     

    これらの控除により、家族・配偶者ともにどちらの扶養であっても、年収130万円までは一律で税負担は無くなるということを覚えておきましょう。「130万円の壁」については、「社会保険上の扶養」と関わる話であり、今回の「税制上の扶養」とは異なる問題ですので、詳しくは後述します。

     

    103万円の壁についてのQ&A

    iStock.com/metamorworks

     

    103万円の壁は、「住民税」と「所得税」が発生するボーダーラインとご紹介しましたが、103万円の壁にまつわるQ&Aにはどのようなものがあるのでしょうか。

     

    年収はいつからいつまで?

    年収の計算は、前述の通りその年の1月1日から12月31日までに支給を受けた「課税支給額」の合計となります。

     

    基準は「支給日」になるため、月末締め・翌20日払いであれば12月20日に支給される11月分の給与までが当年の年収に含まれます。

     

    ただし、扶養の範囲外となり、本人の社会保険の加入が必要となる・ならないという判断には、前年度年収の他に、直近3カ月の収入の平均を12で掛けた「1年間での収入見込み額」も確認される場合があります。詳しくは、保険会社に相談するのが良いでしょう。

     

    交通費や通勤手当は年収に含まれる?

    交通費・通勤手当は、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」によって異なります。103万円の壁を考えるにあたり気を付けなければならないのは税制上の扶養の範囲内・外であるかどうかであるため、交通費・通勤手当は「年収に含めない」ということを覚えておきましょう。

     

    しかし、社会保険上の扶養であれば、交通費・通勤手当を「年収に含み」ます。社会保険上の扶養は、その他家族手当や住宅手当なども含める必要がありますので、注意してくださいね。

     

    103万円の壁・130万円の壁の違いは?

    前項でもご紹介した「130万円の壁」は、103万円の壁とよく混同しやすいため注意が必要です。

     

    両者では、扶養控除の分類が異なります。103万円の壁は「税制上の扶養」に関するボーダーラインであり、130万円の壁は「社会保険上の扶養」に関するボーダーラインです。

     

    年収が130万円を超えると、会社の健康保険や厚生年金保険を支払う義務が生じます。もちろん、103万円の壁は超えているため、所得税・住民税もあわせて支払う必要があります。個人の負担が大きくなるため、「130万円の壁」を最も重視しているという方も多いようです。

     

    複数のアルバイトを掛け持ちしている人は?

    複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、年収は合算して計算することになります。

     

    アルバイト規定の中に副業について言及されていないという企業も多いはずですので、話を聞いてみたら「実は副業もしていて…」と回答するアルバイトもいるはずです。

     

    その場合、自身で税金や社会保険に対してのやり繰りを行っているはずですが、合算した年収が150万円以上となる、または副業の収入が20万円を超える場合にはおおよその場合で確定申告が必要となります。

     

    今勤めているアルバイト・パートの従業員に脱税をさせないためにも、必要に応じ副業についてのヒアリングや脱税に関する注意喚起を促すようにしてくださいね。

    103万円の壁以外の「〇〇万円の壁」

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    103万円の壁、130万円の壁についてのご紹介をしてきましたが、控除が受けられるかどうかのボーダーラインは他にもいくつか存在します。よく耳にする「〇〇万円の壁」をご紹介しますので、従業員に対する正しい理解促進にお役立てください。

     

    住民税:100万円の壁

    年収が100万円を超えた場合には、「住民税」の支払い義務が生じます。つまり、税・社会保険の負担が発生する最低のボーダーラインは「年収100万円前後」となることを覚えておきましょう。

     

    所得税:103万円の壁・150万円の壁・201万円の壁

    103万円の壁は税制上・所得税課税のボーダーラインとご紹介しましたが、「配偶者の扶養」である場合には、その上限が150~201万円までアップします。

     

    これは2018年の法改正により、「配偶者特別控除」の適用範囲が拡大されたためです。年収150万円の配偶者を持つ扶養者の年収が1,120万円以下の家庭であれば、最大38万円の「配偶者特別控除」を受けることができます。

     

    配偶者の年収があがるにつれて控除額は減少しますが、年収201万6,000円までは控除が受けられることができるため、「201万円の壁」とも呼ばれています。

     

    社会保険:106万円の壁・130万円の壁

    130万円の壁は社会保険上の扶養の範囲内・外のボーダーラインとご紹介しましたが、この加入条件の下限値は、年収が106万円という定めとなっています。

     

    年収106万円の場合、社会保険上での扶養を外れるということはありませんが、大手企業であれば、年収106万円以上であれば厚生年金保険・社会保険の2つの社会保険への加入義務が課せられる場合がありますので、注意が必要です。

     

    一方、年収が130万円を超えた場合は、扶養から外れることになりますので、社会保険の加入が必須となります。

     

    会社の保険・厚生年金を支払うのか、またら国民健康保険・国民年金に加入するのかは条件により異なりますので、130万円を超えるギリギリで働く方がいるのであれば、自社で加入している健康保険の加入条件をしっかりと把握しておくことをおすすめします。

     

    103万円の壁を宿泊業が守るには?

    宿泊業者がアルバイト・パートの103万円の壁を守るために必要となるのは、残業についての扱い方を考えることでしょう。発展して、シフトの組み方にあると言っても過言ではありません。

     

    ホテル・旅館であれば、お客様が中心となり動くことを余儀なくされるため、たとえアルバイトやパートであっても残業が必要となることもあるはずです。その場合ももちろん、勤務時間ないし給与に反映されます。

     

    塵も積もれば山となり、年収が意図せず想定よりも大きくなってしまうという従業員もいるはずですが、ホスピタリティの畑で仕事をしていれば、社内にも遠慮をしてしまい、103万円の壁を気にしているという事実さえ伝えないということも考えられます。

     

    主婦(主夫)であれば、扶養の範囲内で働きたいと考えることも多いはずですので、相談があった従業員の気持ちをしっかりと汲み、シフトや残業などに配慮をしてあげることで、より働きやすい環境を作ることができるでしょう。

     

    103万円の壁は企業も配慮してあげるべき!

    iStock.com/kazuma-seki

     

    103万円の壁が気になるという労働者であれば、自身でしっかり給与計算・扶養控除の申請などを行っているはずです。しかし、中には「企業が配慮をしてくれる」と高を括り、自分で計算もせずに労働をするという方もいないとは言い切れません。

     

    もちろん責任は本人にありますので人事が責められるべきではありませんが、しっかりと配慮を行えば企業の評価もあがるはずです。従業員の立場を守るためにも、人事の仕事を全うするためにも、税・社会保険に関する知識を付け、適切な対応を行うようにしましょう。

     

    また、扶養の範囲内で働きたい主婦(主夫)を雇うには、当サイト「おもてなしHR」がおすすめです。

     

    短時間シフトを増やすことで、人手不足が蔓延る現代でも柔軟に対応ができているというホテル・旅館もあるようですので、短時間シフトを打ち出していないのであればこれを機に考えてみても良いかもしれません。

     

    どんなに小さな悩みでも、採用に関する悩みであればおもてなしHRのアドバイザーにぶつけてください。一緒に解決策を考えます。お問い合わせは無料ですので、気になる方は気軽にご相談くださいね。

     

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