ホテル・旅館の省エネ対策。コストを削減する方法

24時間営業しているホテル・旅館の場合、他業種と比べて水道光熱費などのコストが多く発生します。より利益を出すためには、ホテル・旅館に隠れた「ムリ・ムダ・ムラ」を把握し、削る作業が必要です。今、国全体で宿泊業の生産性向上推進事業が推進されていることもあり、さまざまなコスト削減事例が生まれています。それについて引用しつつ、ホテル・旅館のコスト削減について考えてみましょう。

目次

    ホテル・旅館のエネルギー消費の動向

    電気

    iStock/triloks

     

    省エネルギーセンターの調査によると、ホテルのエネルギー消費で特に多いのが給湯と照明で、消費量はホテルの規模に比例します。また、必要な場所に温水を供給する量を示す給湯負荷のピークは22時前後。7~9時頃にも高い数値を示しており、夜の就寝前と朝のチェックアウト前に給湯使用量が増えることがわかります。

     

    国では宿泊業の生産性向上推進事業として、宿泊業の生産性向上の推進を目指していますが、他業種と比較したときホテル・旅館のエネルギー消費量はどの程度に位置づけられているのでしょうか。

     

    経済産業省「平成29年度エネルギー消費統計調査」によると、宿泊業・飲食サービス業のエネルギー消費量は341,700TJ(テラ・ジュール)。これは、製造業(1,361,975TJ)、卸売り・小売業(438,292TJ)、サービス業(他に分類されないもの、399,413TJ)に次いで多く、ホテル・旅館のエネルギー消費量の大きさを示しています。

     

    出典:財団法人省エネルギーセンター 「ホテルの省エネルギー」

    出典:経済産業省「平成29年度エネルギー消費統計調査」

    出典:観光庁「宿泊業の生産性向上事例集について」

     

    実際にホテル・旅館が行ったコスト削減方法・省エネ編

    ホテルの客室の空調操作パネル

    iStock/yipengge

     

    ここからは、実際に行われた省エネ対策、コスト削減方法を紹介します。

     

    IOT化による水道光熱費の「見える化」

    「コストを削減する」といくら言ったところで、何を・どのように削減するかが明確でなければ意味がありません。家庭で節約を始めるときにまず家計簿のチェックから始めるように、ビジネスシーンにおいても、コストの「見える化」から始める必要があります。

     

    そこでとある宿泊施設では、IOT化によって「今、どこでどれだけの水、お湯、電気、ガスが使用されているのか」を可視化することにしました。その結果はスタッフの目につく場所に設置したモニターに映し出され、スタッフ全員が確認できます。

     

    モニターに表示するのは、特に省エネ効果が高いと見込まれる数値のみに厳選します。これは情報が多すぎると理解できなくなるため。情報を絞ることで、スタッフのコスト削減意識が高まり、省エネ対策もしやすくなります。

     

    清掃時やスタッフしか使わない部屋の照明・空調の調節

    空調の温度設定や節水など、お客様が滞在していらっしゃる時間帯には難しい省エネ対策も、スタッフのみが利用する時間帯・場所であれば簡単に取り入れることができます。具体的には、スタッフしか使わないバックヤードの空調の温度を変更する、客室清掃時につける照明は必要最小限に留める、宴会場のシャンデリアは消費電力が大きいため消しておく、などがありますね。

     

    また冷蔵庫を空にしておき、お客様が入っていないときは電源を落とすことでコスト削減に成功した例も見られます。

     

    一つひとつの対策から得られる効果は小さなものであっても、蓄積することで大きな効果を得られます。ぜひスタッフ間で共有し、すべての人員がコスト削減についての意識を高めてほしいですね。

     

    実際にホテル・旅館が行ったコスト削減方法・人件費編

    ビジネスホテルのベッド

    iStock/blackred

     

    とあるビジネスホテルでは、提供するサービスを厳選することで人件費を削減しました。

     

    ここでは、宿泊客の多くはビジネス客であり「夜にホテルに到着し、ほとんど寝ているだけ」という事実から「安眠」にこだわったサービスを提供しています。ゆったりサイズのベッドや選べる枕、廊下の照明の照度を落とすなどの徹底ぶりです。

     

    一方、安眠とは無関係の部分についてはコストと割り切り、思い切ってカットしています。客室内から電話を撤去することにより、清算の手間や「使った・使ってない」といったトラブルを回避したり、宿泊費を自販機で前払いすることでチェックアウトの手間を減らしたり、といった具合です。この結果、配置するスタッフも必要最低限で済むようになり、人件費の削減に成功しました。

     

    サービスレベルを保ったコスト削減を

    フロントの女性スタッフは笑顔で

    iStock/monkeybusinessimages

     

    省エネ対策やコスト削減は、ホテル・旅館といった宿泊業にかかわらず、事業を継続させるうえで避けては通れない問題です。それには「見える化」による消費量の把握や、「ムリ・ムダ・ムラ」をなくす業務の合理化、生産性の向上などを推進していく必要があります。

     

    その一方で行き過ぎたコスト削減は、サービスレベルを落とすことにつながりかねないという危機感を持つことも大切です。また、スタッフに対するサポートやケアも忘れてはいけません。コストカットのために運用を新しくする場合、現場のスタッフに大きなしわ寄せがいくからです。

     

    ホテル・旅館で提供するサービスの基本はホスピタリティであり、お客様の満足度の追求です。そしてそのためには、スタッフのモチベーションが欠かせません。利益の追求だけでなく、三方よしの視点をもったコスト削減を進めていきたいですね。

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