ホテル・旅館の客室料金の仕組みと料金の決め方

お客様がホテルや旅館を選ぶときのポイントの1つに、客室料金があります。立地や設備、サービスなどが似通っていれば、より安く泊まりたいと考えるのが一般的ですよね。しかし近年では予約時期によって客室料金が変動するホテル・旅館が増えており、タイミングによっては正規価格の数倍もの料金を提示するホテルも見られます。客室料金をいくらに設定するかによってお客様からの評判や客室稼働率が変わり、ひいてはホテル・旅館の売上を左右します。当記事では、顧客満足度を高めつつ売上や利益を伸ばすにはどうしたら良いのか、客室料金の決め方や仕組みについて解説します。

目次

    ホテルや旅館の客室料金の決め方や料金設定の仕組みとは?

    料金は原価から割り出します

    iStock/Ildo-Frazao

     

    ホテルや旅館の客室料金は、どのようにして決められているのでしょうか。大抵は正規料金が設定され、それをもとにバリエーションを持たせる仕組みが一般的です。ここでは、決め方の例を見てみましょう。

     

    原価から割り出す

    ビジネスの基本は、原価に利益を上乗せした価格を設定してそれを買ってもらうことです。これは、ホテルや旅館にも同じことが言えます。ホテル経営においての原価とは、建物の減価償却費や人件費といった固定費と、お客様が宿泊する際に発生する水道光熱費やお部屋のアメニティ代などの変動費に分かれます。これらを合わせて計算し、利益を出せる客室料金をはじき出します。

     

    客室の種類で設定する

    同じホテルであっても、客室の広さや階層、ロケーションなどによって料金が異なります。眺めの良い高層階は高く、低層階はリーズナブルといった具合です。海が近いホテルなら、オーシャンビューかどうかで料金が変動することもあります。

     

    利用者層に応じて設定する

    ビジネス客が多いホテルなのか、家族連れが多い旅館やリゾートホテルなのかによって、客室料金の決め方が異なります。前者の場合、出張でビジネスホテルのニーズが高まるのは平日で、土日はあまり見込めません。そのため平日の宿泊料金を高めに設定し、逆に土日は安くするといった調整が必要になります。後者の場合は逆で、平日は安く、週末や祝前日は高めに設定するのが一般的です。

     

    また、景気動向を把握しておくことも大切です。景気が上向いているときには出張が増えるので高くても売れますが、不景気だと企業は出張費を安く抑えたいと考えるので、客室料金を安くしないと売れないからです。

     

    この他、法人や団体向けのコーポレート・レートという客室料金もあります。これは、法人契約を結んだお得意先限定の割引料金のことを指します。

     

    競合の平均価格に合わせる

    その地域の競合となるホテルや旅館の相場、平均価格をもとに客室料金を設定します。立地や設備面で大きな差がないにもかかわらず客室料金が大きく違うと、お客様の不信感につながり敬遠される恐れがあるため、競合の料金を参考にしつつ足並みを揃えることも大切です。

     

    人工知能サービスを利用する

    近年では、過去の宿泊データを分析し、適切な客室料金を提案するAIが開発されています。ビジネスにおいて適切な料金設定は欠かせない業務ですが、そこまで人材が割けないホテル・旅館が多いのが実情です。こうしたAIをうまく活用することで、人手不足をカバーする効果も見込めるでしょう。

     

    ホテルや旅館の客室料金が変動するのはなぜ?

    考える男性

    iStock/itakayuki

     

    ホテルや旅館の客室料金は一律でなく、予約時期によって変動します。この手法をレベニューマネジメントと呼びます。これは季節、周辺の状況など市場の需要に応じて客室料金を上げ下げし、売上や利益を拡大させるための仕組みです。欧米など海外のホテルでは古くから採用されていた手法ですが、近年は日本でも導入するところが増えています。

     

    例えばハイシーズンのリゾートホテルや、近くでライブイベントが開催される日のシティホテルやビジネスホテルは需要が高く売れるので、ホテル・旅館側としては客室料金を上げて利益を拡大させようとする、という理屈です。

     

    レベニューマネジメントについては以下の記事をご参照ください。

    ホテルの客室料金の改定で売上を落とさないコツ

    分析するビジネスマン

    iStock/PeopleImages

     

    いくら宿泊需要が高くても、やみくもに料金を釣り上げればお客様は離れてしまいます。また、客室稼働率を上げようとして料金を下げれば赤字になります。客室料金をいくらに設定すれば利益が確保でき、且つお客様にも納得していただけるのか、このバランスを見極めねばなりません。そのためには、数字だけを見るのではなく、お客様のニーズを汲み取ることが大切です。

     

    例えば、とあるビジネスホテルでは「早く予約してくれたお客様に損をさせたくない」「日によって客室料金が大きく変わるホテルは、お客様の安心感を損なう」という考えから、料金の変動を少なくしています。一方、宿泊当日まで徐々に値段を釣り上げながらも空室を残しておき、「多少値段が高くても、その日に泊まるところを確保したい」というビジネスマンのニーズに対応するホテルもあります。同じビジネスホテルであっても、まったく真逆の戦略をとっていることがわかります。

     

    たとえ料金が高くても、予約の取りやすさや利便性、設備の充実度などでカバーできれば総合的な顧客満足度は下がることなく、売上や利益もキープできるでしょう。このように客室料金を決める際には、多角的・多面的に考えて対策を講じることが大切です。

     

    ホテルの客室料金は需要と供給のバランスが需要

    気持ちよくやり取りしているホテルスタッフ

    iStock/dima_sidelnikov

     

    客室料金の決め方にはいろいろな方法があり、近年では市場の需要に応じて料金を変動させて売上・利益を拡大させるレベニューマネジメントを採用するホテル・旅館も増えています。その一方で、「いくらなんでも高すぎる」「宿泊日近くになって安くなっているのを見ると、早く予約して損をしたと感じる」といったお客様の声も聞かれます。

     

    料金の変動によるお客様離れ、売上減を防ぐには、需要と供給のバランスを見極めるのが大切です。ニーズを正確に汲み取ることができれば、客室料金を上げても顧客満足度を下げることなく、売上・利益を伸ばすこともできるでしょう。

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