ホテルの「ユニバーサルルーム」とは?原則や工夫をご紹介!

近年、ホテルのユニバーサルルームの認知度が上昇しています。少子高齢化社会を受けて、今後、ユニバーサルルームを主とした宿泊施設の建築や、既存のホテルにユニバーサルルームの増築をご検討されている担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際に行っているホテルの工夫をチェックしながら、ユニバーサルルームの原則なども確認していきましょう。

目次

    「ユニバーサルルーム」とは?

    iStock.com/Ziga Plahutar

     

    ユニバーサルルームとは障害の有無に関わらず、すべての人が使いやすいように配慮された部屋のことを指します。健常者や赤ちゃん、妊婦、けが人なども快適に滞在できることが必須条件で、さらに車いすでも異動しやすいように段差をなくすなど、設計にも工夫を要します。

     

    たとえば、なるべく文字を大きくし読みやすくしたり、国籍や年齢を問わず情報が伝わりやすくさせ、識別しやすい色を使うなどの配慮もしなければなりません。

     

    ユニバーサルルームは「ユニバーサルデザイン」を基本とする部屋を意味しています。

     

    バリアフリールームやアクセシブルルームと呼ばれることもあり、なかには名前だけで「障がい者や高齢者だけが利用するもの」といった偏見を持つ人も多いので、改めて正しい知識を身に付けることが必要でしょう。

     

    ホテルが重視すべきユニバーサルデザインの7原則

     

    ユニバーサルデザインとは、1985年にアメリカのロナウド・メイス氏が提唱した概念のことです。以下のような7つのポイントに基づいて、初めてユニバーサルデザインと呼ぶことができるのです。

     

    (1)公平性:誰にでも公平に利用できること

    (2)自由性:使用するうえで自由度が高いこと

    (3)単純性:使い方が簡単ですぐわかること

    (4)分かりやすさ:必要な情報がすぐに理解できること

    (5)安全性:危険につながらないデザインであること

    (6)省体力:無理な姿勢をとることなく、小さな力でも楽に使用できること

    (7)スペースの確保:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

     

    以上のような概念のもとユニバーサルルームは設計されますが、実際にはホテル側の「必要だろう」という想定とサービスを受けるお客様との間で、意識による大きなズレが生じています。

     

    ホテル側に ”すべての人が快適に過ごせる部屋” という意識が抜けてしまうと、かえってお客様に居心地の悪い部屋を提供してしまうことになるのです。今一度、お客様の目線に立ってホテルに求められていることを整理する過程が不可欠かもしれません。

     

    ホテルが行っているユニバーサルルームの事例

    iStock.com/chee gin tan

     

    2019年に成立した改正バリアフリー法によって、日本では客室を50室以上持つホテルには、出入口の幅が80㎝以上ある客室を全体の1%以上設けることが義務付けられています。

     

    ユニバーサルルームを保有するホテルでは、他にどのような工夫をしているのか気になりますよね。それぞれ具体的にチェックしていきましょう。

     

    「アラート」を設置する

     

    さまざまな方法で「アラート」を設置することは、視覚や聴覚が不自由なお客様にも快適に利用してもらうために必要なポイントでしょう。

     

    インターホンや電話、アラームなどが鳴った際には、ベッドやソファにあるクッションが振動し、テレビの横などに設置されたフラッシュライトなども連動する仕組みを取り入れています。

     

    また、火災・緊急事態が発生したときは、モニターなどに文字とピクトグラムを表示し、室内灯の点滅やクッションを振動させることで知らせる機能も設置されているようです。

     

    必要な備品を貸出しする

     

    ユニバーサルルームで過ごすにあたって、さまざまなお客様に合わせて必要な備品を貸出すサービスを行っているホテルもあります。

     

    車いす利用者や高齢者、足元に不安のある方などには、車いす・シャワーチェア、電動ベッド用の手すり柵、トイレの手すり・背もたれなどを用意しています。

     

    さらに、聴覚障害を抱えている方にはタブレット端末を貸し出しているホテルも。フロントへの連絡にタブレット端末を利用し、スタッフと筆談でコミュニケーションができるようにしているようです。

     

    補助犬を連れている方には、補助犬にエサ・水を与えるためのボウルなどの貸出を行っているホテルも少なくありません。

     

    セーフティボタンを設置する

     

    お客様に緊急事態が発生したときのために、ホテルのスタッフが24時間すぐに対応できるように、客室に何ヵ所かセーフティボタンを設けています。

     

    ベッドサイドやバスルーム、トイレなどに設置されることが多く、お客様の安全を守るという意味で欠かせないものとなっています。

     

    ホテルがユニバーサルルームを増やすメリットとデメリット

    iStock.com/takasuu

     

    すべての人が過ごしやすい空間を目指したユニバーサルルームですが、今後、ホテルがそのような客室を増加させるメリットとはなんでしょうか。デメリットにも目を向けて考えてみましょう。

     

    メリット

     

    ユニバーサルルームを増やすと、利用してもらえるお客様の層が拡大します。家族で利用してもらえるので、思い出作りのお手伝いもできるでしょう。

     

    お客様のニーズを汲み取ったユニバーサルルームであれば、年齢や障害の有無に限らず利用してもらえることから、稼働率もそれほど落ちることはありません。むしろ、今まで以上にお客様の信頼を得られるようになるので、リピート率の向上にもつながるのです。

     

    デメリット

     

    基本的にユニバーサルルームを設置するには、通常の客室の1.4倍の面積が必要になります。そのため、ユニバーサルルームを増やすと、全体の客室数が少なくなってしまい、売上が減少してしまう可能性があります。

     

    しかし、売上が減少するユニバーサルルームは、決まってお客様の求めているものを活かせていない部屋がほとんどです。

     

    広すぎるスペースや壁に張り巡らされた手すり、金属製の後付けスロープなどは、病院のイメージが強くなり「せっかくホテルに来ているのに、病院にいるようで心身が休まらない」というお客様の声が多いことをご存知でしょうか。

     

    ホテル側の「必要だろう」という過剰な設備は、お客様の居心地を悪くし、さらには健常者のお客様を割り当てることも難しくなるので売上が伸び悩みます。ですので、しっかりとお客様の視点でサービスを考えることが不可欠なのです。

     

    ホテルのユニバーサルルームにはお客様の声を聞くことが大事

    iStock.com/SolStock

     

    すべての人に喜んでもらえるユニバーサルルームは、お客様の希望がよく反映されています。対応マニュアルなどを制作して、スタッフがある一定のサービスをできるようにすることも不可欠ですが、時にはお客様の声をよく聞き一緒に考えることも必要です。

     

    たとえば、手すりやスロープは取り外し可能にし、必要な場合に取り付けると、それぞれのお客様に合ったサービスを提供できます。

     

    障害をもつお客様が宿泊されるときには「どうすればもっと使いやすくなりますか?」などのコミュニケーションを取りながら対応することが望ましいでしょう。

     

    ユニバーサルルームを増やすうえで大事なのは、同じ障害でも人によって求めている設備やサービスは異なると理解することです。

     

    健常者から高齢者・障がい者まで、誰が使っても心地の良い空間にすることがユニバーサルルームを増やす条件です。さまざまなお客様の希望を実現させてこそ、完ぺきなユニバーサルルームとして稼働するのかもしれませんね。

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